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A班活動停止 ― 白いカラスはタキシードを着る ―  作者: ぽすしち
ヒルダ・マクベティのはなし

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『若くて正直』


 ザックは二人のやりとりを眉をよせてながめ、自分の番がくると握手はしたがキスはしなかった。

 

 それでも満足そうにあいてはうなずいた。

「若くて、正直ね。 部屋に入った時からずっと眉間にしわをよせてるもの」



 あわててそこへ指をあてるザックを、この部屋へと案内した女がわらい、「あなたがA班にあたらしく入った子ね。 飲み物はお茶よりジュースのほうがいいかしら?」ときく。


「 そりゃお茶はあんま好きじゃねえけど、こどもにきくみたいにきかないでくれよ」

 と返したザックの頭をジャンがつかんでゆすり、まだちょっと口のききかたがわからない年頃でして、と謝る。


 ザックが言い返す前に女二人が声をたてて笑い、そこでようやくザックは気づく。



「・・・二人して笑い方そっくり。あれ?ってことは、もしかして・・」

 若いほうのこの女は・・・。



「ギャラガー夫人、ほんとすみません。 うちの新人はまだ、《警察官》のほうの顔とか名前がおぼえきれてなくて」


「いいのよ。当然だわ。警察官でもわたしの顔を知ってる人なんて限られてるし」


「あ、やっぱ長官の奥さんなんだ。しらなくてごめん」


 ザックが謝るのにまた笑いがおこり、上司はしぶい顔をした。





 しばらくしてみんなが片手に冷えた炭酸ジュースのビンを持ち、男たちも長椅子と同じ臙脂色の布が張られた椅子にこしかけると、ギャラガー夫人が、いかに警備官たちに警察官が助けられているかを母親に(ややおおげさに)説明した。





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