非難をあつめる班
そんななか、他国の少年兵だったこどもをガーバディが雇い入れたという記事が新聞にのった。
これには、『こどもがかわいそう』という以外の偏見を持ったさわぎもおこった。
「ケン、のことか・・。そういやそんなニュース聞いたようなきがするなあ」
警察が、内部の意見と世論におされてガーバディ警備会社との契約を切ろうとした寸前。
「 当時の福祉省の役人がいきなりケンをほめたたえたんだ。 彼はまえにケンがもぐりこんだ国で大使をしてて、テロがおきたときに家族全員人質にとられた。それを、少年兵だった彼が助けてたってわけだ。 ―― 少年兵はいきなり《ヒーロー》になって、悪口をいってたやつらはだまりこんだ。 だけど、警察内部の不満はそのままだったから、テレスは文句をいいやすいようにしてやった」
『A班』という、未成年から雇い入れたバートを長にした《非難を集めるための班》をつくって。
「 ―― みんな、警察官の頭の固い連中からしてみれば『いやなガキの集まり』だったんだ。 未成年から雇われてるバートにケン。 現役貴族のウィルに、スキップで入った態度が生意気な、おれ」
「ニコルとルイは?ぜんぜんいやな奴じゃないぜ」
いぶかしげにこちらをむく顔にひとつうなずく。
「ニコルは、・・・わかってるかもしれないけど軍隊出身だ」
「だとおもってた。からだとか動きとか、半端じゃねえもんな。 専門学校で引き抜かれたんだろ?おれの同期にもいたよ」
「まあ、そんで・・・、軍隊ってのは命令で動く。 ―― ニコルはその命令にそむいて救える命を救って、命令を出した上官を入院させた」
「・・・それ、ぜってえニコルは正しかったんだよ。なんか理由があって・・」
いいよどむのにあわせ、車の速度がおちるのにジャンはほほえむ。
「そうだな。おれもそう思うし、彼の仲間たちもそう証言したけど、除隊された」
ザックは不服そうにギアをあげ、速度も増した。




