これいじょう
羽、かあ・・・
レイの作ってくれた食事をきれいにたいらげ皿を洗いながら口をまげる。
ほんとうならば、ケンが『羽』でけがをしたときいたときに、すぐにでもレイに言えばよかったのだろうが、・・・言えなかった。
だって、レイは、―― あまりにも・・・
ガシャン、と洗い終えてあったグラスがいきなり音をたててくだけた。
皿の泡をながしそっと水切りの中へ置く。
シンクのなかにちらばるグラスの破片をながめ、何度もうなずく。
「 そうか。 ―― おまえ、もうおれの《夢の中》には入ってこられないんだな? どうにもできなくて、いらついてるんだろう? おれがもう、―― レイの《光》に守られているから」
グウガアアアアアアア
窓の外からくるしげな鳴き声がして、大きな羽音がした。
いそいで窓によりみた空には、白い大型の鳥が朝日を黄金色に反射させ、次の瞬間には消えていた。
窓にもたれ、ルイは息をつく。
たぶん、これいじょう、 ――― 黙っているわけにはいかないだろう。




