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第六話 畑

 朝になり食事を終えた後、桃太郎は巾着から鎧を出しました。

「小梅、これから行く先々で鬼どもと遭遇するかもしれないから鎧を付けておこう」

「そうね。装備したまま違和感なく戦えるように慣れておかなきゃね」

 足軽のような簡易な鎧を二人とも装着し終えたら、一匹の猿が話しかけてきました。


『桃太郎様、小梅様、皆様は鬼ども退治に行くと言われていました。どうか私も連れて行って下さい。仲間の仇を取りたいのです。お願いします』

 桃太郎と小梅は顔を見合わせました。

「桃太郎、いいんじゃないかな。仲間は多い方が助かると思う」

「そうだね。じゃ一緒に行こう。名前はなんて言うのかな?」

『はい。ありがとうございます。(うるみ)といいます』

「じゃよろしく、(うるみ)


 桃太郎はそう言った後、巾着から組紐と吉備団子を出しました。


「この組紐は僕たちの証だから首に結ぶよ。いいかい?」


 潤は頷き、桃太郎は潤の首に組紐を結びました。

 月白にも組紐を首に付けてあげました。

 月白には前の飼い主の首輪があったのですが、「僕たちは仲間だ」ということでお揃いの組紐を首輪を残したままその上に組紐を結びました。

 潤も月白も気に入ったようです。


「それからこれは僕のお婆さんが作ってくれた吉備団子。仲間の証に一緒に食べよう」

『はい。いただきます!』


 潤は桃太郎、小梅、月白と吉備団子を食べるのでした。

 潤も吉備団子が気に入ったようです。

 

 そして一息して、桃太郎一行は南御伽村へ向けて旅立ちました。

 山に残った猿達に見送られながら。



 幾つもの村落を通り過ぎると、雉の叫び声が聞こえます。

 月白が雉の叫び声のする木の向こう側の畑で鬼どもの臭いがすると言って走り出しました。

 桃太郎たちも後を追いかけます。桃太郎は走りながら巾着から薙刀を取り出します。

 

 木のそばまで行き、隠れながら鬼どもを見つけました。七匹います。

 そのうち一匹が一つ角、一匹が二つ角です。二つ角は一つ角より更に大きいです。

 その中で雉が1羽駆け回りながら鬼どもに攻撃に挑んでいます。


「あの雉は無茶だ。かなうわけないない。月白、潤、強化の術をかけるぞ」


 月白と潤は強化されました。


「まず角なしから倒していこう。みんなが戦っている間、僕はすぐに雉に強化の術を掛け一緒に戦うよ」

『『はい』』「わかった!」


 小梅がすぐさま鬼の一匹に矢を当てます。

 まず月白が飛び出し、鬼の注意が月白に向きます。

 そして潤が飛び出して鬼のすねを懐刀で切り回します。

 潤は手が使えるので強化された懐刀を持たされました。  

 鞘は紐で背中に括り付けています。

 脛を切られて怯んだところへ月白が首元を噛み付いて止めを刺します。

 鬼どもが混乱している隙に桃太郎は一匹を切り裂き、雉の元へ辿り着きました。


「雉さん、今から雉さんに身体の強化の術をかける。力や素早さが上がるから一緒に鬼をやっつけよう」

『え?……わかった。たのみます』


 桃太郎は雉に強化の術をかけました。

 すると桃太郎の背後から鬼が襲ってきます。

 雉はすぐさまその鬼に飛び出して、くちばしで鬼の額を突きました。

 鬼が後方に倒れました。額は酷く陥没して即死したようです。


『すごい……』


 雉は自分で鬼を倒したことに驚いています。


「雉さん、助かった。でも驚いていないで残りの鬼も倒すよ」

『わかった!』


 鬼は次々倒され、残りは大きな二つ角の一匹だけ。

 まず小梅の矢が左肩に刺さった後、潤に背後から踵をを切られました。

 鬼は跪いてしまい、そこへ棍棒を持っている右腕に月白が噛み付きました。

 鬼は前屈みになり苦しみます。左手で月白を剥がそうとしますがはなれません。

 そこへ側面から雉が飛び込み、顳顬こめかみを嘴で粉砕して鬼を倒しました。

 

「よし。すべて倒したね」

『はい。ありがとうございました。おかげさまで仲間の仇を討つことができました』

「じゃ、もしかしてここには君以外に雉はいないの?」

『え?自分の話解るの?』

「あぁ、僕は動物の言うこと解るよ」

『えっ!そうなんですか』


 雉の話によると、それぞれの縄張りにいた雄雉は鬼どもに次々と殺され、雌が自分のところに逃げ込んできたけど全て殺されました。結局この周辺では一羽だけになったいうことです。


「そうなんだ。大変だったね」

「僕の仲間の犬も猿も一緒に行動する前は、同じように鬼どもに主人や仲間を殺されたんだよ。雉さんも一羽だけになったのなら、一緒に鬼退治に行かないか?」

『はい。一緒に行かせてください。よろしくお願いします』

「分かった。一緒に行こう。ところで雉さん、名前はなんというの?」

浅葱あさぎです』

「じゃよろしく、浅葱」


 桃太郎は組紐を出し、これは仲間の証だから脚に括り付けていいから尋ねたら了解してくれたので結んであげました。

 そしてみんなで吉備団子を食べました。

 浅葱は美味しいと喜んでくれました。


 小梅は浅葱に死んだ雉たちを埋めようか尋ねたら、人間のように埋めることは出来ないから放置していていと言われました。浅葱はすぐにでもここを出発していいようです。

 人間二人と犬、猿、雉は南御伽村を目指して歩き始めました。


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