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始まり
ソレは、ある日突然現れた。
最初は、黒い小さな泥の塊のようなものだった。
しかしそれはただの泥ではなく、無数の目玉がついた異様な姿をしていた。
最初にそれを発見した人は、さぞ驚いたことだろう。
趣味の悪いおもちゃか何かだと思ったに違いない。
しかし、ぎょろぎょろと四方を眺める目玉と、ナメクジのように這うその動きは、到底作り物とは思えなかった。
研究所に持ち込まれたそれは、既存の生物のどれにも当てはまらず、新種の生き物として扱われた。
そして発見から約3ヶ月後、再び市街に現れたそれは、
29人の人間を喰らった。