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3.村の少女を助ける

 俺は王都が犯人である確証を得るため行動していた。民衆は新たな『英雄(レジェンド)』の誕生を歓喜する者と同時に、アイアーンの死を悲しむ者もいた。


 どちらも俺に関係しており、真実を知っているためそこまで目に入る記事ではなかった。大通りの外れにある古い書物が置いてある店に入ると、王都の歴史のが書かれている書物を読み漁っていた。


 買うお金が勿体ないのでバレないように読み漁っている。若干店主の顔色が悪いようだが……気にしたら負けだ。しばらく読んだが手がかりになるものは見つからなかった。


「ホント、ここまで頑張ったのに本を読んでるとか情けないな」


 思わず悲観的な態度をとってしまう。ダメだ、あのとき心に誓ったのだ。俺は次の手がかりを探して店を出た。


 街を歩いていると大勢の人だかりに遭遇する。そこにいたのは、ディランだった。


「あんれぇー、そこにいるのはお金が無くて武器もろくに揃えられない新人『英雄(レジェンド)』さんじゃん」


 俺を煽るように挑発するディラン。彼は俺と同じ『英雄(レジェンド)』クラスである冒険者だ。数年前に『英雄(レジェンド)』になり、その無駄なイケメン顔と無限の財産で数多くの女を抱いている最低野郎だ。今は人々から『勇者パーティ』と呼ばれ、その名を馳せている。俺はわざとらしく咳払いをし、


「んんっ、先輩はここで何してるんですかね」


 どこにいても上下関係というものは厳しく、ディランの方が先に『英雄(レジェンド)』になっているので仕方なく先輩と呼んでいる。さっさと消えればいいのに。


「僕は君と違って才能に恵まれた男だからねえ。ゴミとは一緒にしないでもらいたい」


「あぁそうですか」


 これでも冒険者としての才能は秀でているところがさらにムカつく。


「あれれ〜? もしかしてまだ俺が君を追放したことに怒っているのかな?」


 そう。俺はかつてディランをリーダーとした『勇者パーティ』のメンバーだった。しかし突如『お前は要らない。このパーティから出てってくれ』と言われたのだ。当時から嫌いだったので深く理由を聞いたことはない。


「別に。俺は俺なりにやってくだけですから」


 適当に答えているとディランの女が口を挟む。


「ディラン様。あんな小汚いものと相手にするのではなく私を相手にしてくださいよ」


「あぁごめんね僕のフィアンセ達。さぁ別の場所にいこうか。同じ場所で息をしているだけで死にそうだ」


 言うだけ言うとドレスを着たたくさんの女を引き連れどこかへ行ってしまった。


「こっちが耐えられねえよ」


 俺も吐き捨て、その場から立ち去る。ディランは冒険者でありながらも王都の雇い兵士でもある。いずれアイツをぶん殴るときくるだろう。





「今、兵士さんたちが東の村の方へいったみたいよ」

「なんか急に魔物が現れたみたいだって」

「それに比べて王都は安全ね〜」

「アイアーン様がいてくれればねぇ〜」


 ディランから離れ、歩いているとふとそんな会話が聞こえた。たしかに、多くの兵士たちが馬などを使って移動している。それにしても村か……嫌や思い出が蘇るな。しかし気になるので聞いてみることにした。


「今の話、本当ですか?」


「え、えぇ。まぁ村が滅んでも私たちには関係ないけどね」


 返答は少々イラついたが、会話の中身は間違ってはいないらしい。


 兵士か……魔物といってもここらはレベルの低い魔物しかでないはずだ。そんなことに大勢の兵士を動員してまですることだろうか。


『俺も知らねぇよ! でも村のみんなは殺された。今王都の兵士が向かってる。だから俺たちも逃げないと』


 ふと、チャドの言葉を思い出した。あぁそうだ。たしか、俺の村が襲われたとき、王都の兵士が向かっていた。


 ――嫌な予感がする。


 俺は地図を取り出し、場所を確認すると王都を飛び出した。





 それは太陽が暖かい午前だった。


「いいかい、アリシアは振り返らず逃げるんだ。必ず生き延びろ」


 父上に言われた私は家を飛び出し逃げた。


「なぜこんなことに……」


 突然、たくさんの魔物によって私の村は壊滅状態にあった。当たり前の日常がたった数分で壊された。とにかく今は逃げなくては。


 草むらを走ったせいか、足は傷だらけだった。そしてしばらく走ると人の声が聞こえた。その方向へ行くと数人の兵士がいた。


「あ、あの、助けてくださいっ!」


「お前は村の住人か」


「は、はい。突然村が魔物に襲われてそれで」


「なら話が早い」


 良かった。私は助けてもらおうと兵士の方へ駆け寄ると、持っていた槍を構えられた。


「何を!?」


「王から村人は殺せと命令が下されている。残念だがお前を助けることは出来ない」


 王からの命令ですって! 予想外の言葉に私は驚いた。そんなことがありえるの……だって王都は私の憧れの場所で、いつか王都で暮らすのが私の夢で……


「だから死んでもらうッ!」


 そんな夢など叶うはずもなく、



 スパンッ――――!



 首が跳ねられた。しかしそれは私の首ではなく、兵士の首だった。そのまま首は地面に転がり落ちる。


「よぉ王都の兵士。お前ら、こんなとこで何をしている?」


 私の前に現れたのは私と同じくらいの冒険者だった。


「き、貴様こそ何をしているのだ! ここは王都の関係者以外立ち入り禁止区域だぞ」


「そうか。ここは王都の連中だけが入れるのか……なら好都合だ!」


 一瞬で兵士の懐に飛び込み、持っていた剣で切り伏せる。そのスピードは凄まじく、私の目では追えないほどだった。


「き……さま……」


 ――バタッ!


 兵士はそのまま地面に倒れ込む。一瞬の出来事に私は息を飲んだ。


「……あの、あなたは?」


 彼は剣を鞘にしまうと、


「アルス。ただの『英雄(レジェンド)』さ」






 時は数分前、


 俺が村に来たときには、既に遅かった。クソっ、『英雄(レジェンド)』なったってのに何も出来ないのかよ。辺りを見回すが人が逃げている姿は見えなかった。


 俺は同じ光景を見た。それは俺の故郷と同じだった。家は燃やされ、血の海となっていた。だからもう二度とこんなことにはさせないと思った。しかし、俺の手では救えなかった。何一つ。


 せめてもの報いで襲った魔物たちを片付けようとしたが、近くで声が聞こえそちらへと目を向ける。そしてそこにいたのは村人であろう者と王都の兵士だった。


 ダンッ!


 信用出来ない兵士に俺は電光石火で近づく。これは誓った目標への第一歩。


「――さぁ、復讐の始まりだ!」

「面白い!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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