29.人類の頂点に立つ者の姿
「実に愚かです。神に等しきこの力を持って断罪します!」
そしてヘレスは手を突き出し、金属らしきものを生成し、形を変え槍となり俺たちにむかって飛んでくる。
「避けろッ!」
――キンッ!
何とか避けたが金属は壁に突き刺さっていた。やはり、思っていた通り強敵だ。
「ほう。この一撃をかわすとは。下等な人間でも生きれるものですね」
「アルス様大丈夫ですか!?」
「ああ。なんとかな。さて、次はこっちの番か」
俺は戦況をみて考え、指示を出す。
「アリシアは支援魔法。フレンダは足止めの攻撃魔法。俺とハヤテは突っ込むぞ!」
「がってんしょうちだせ師匠。やってやるって話だ!」
ハヤテに続き皆頷く。
「支援魔法行きますっ!」
アリシアは支援魔法の詠唱を始める。
――攻撃力上昇
――防御力上昇
――移動速度上昇
――回避率上昇
――全属性耐性付与
――常時回復付与
――回復速度上昇
――クリティカル率上昇
――クリティカル威力上昇
――ダメージ軽減付与
一度に大量の支援魔法がパーティ全員に付与される。しかもアリシアの場合、効果量は二倍だ。
「さすがだ。修行したかいがあったな」
「行くぜ師匠!」
「ああ!」
俺も魔剣を取り出しステータス上昇し、一気に加速し、接近戦へと持ち込む。
「「はあああああああああああああああああああああ」」
「くっ、人間がここまでとは。二人だけですが、少々面倒ですね」
「二人だけじゃないぞ。ワシもだ!」
立て続けに攻撃魔法はクリティカルヒットする。
「ウグッ!」
ヘレスはよろけ後方へ下がる。
「なるほど、これが人間の力ですか。ならこれならどうですッ!」
ドドドドドドドドッ!
今度は大量の金属が生み出され、いっせいに飛んでくる。回避率が上昇しているため、簡単に避けれたが、
「この金属、追従してくるのか!」
「私は金属を自在に操ることができます。そのくらい容易いことです」
俺たちはなんとか応戦するが苦戦していた。
「危ねぇッ!」
「キャッ!」
悲鳴が聞こえ振り向くとハヤテがアリシアの身代わりとなって攻撃をくらってしまう。
「大丈夫か!?」
「私は大丈夫です。ですが、ハヤテさんが……」
「師匠、俺なら大丈夫だ。足をやられた。しばらく動けそうにない」
「そうか。アリシアは回復魔法でできる範囲で応急処置をしてくれ」
血は出ているがなんとかなりそうだ。それにしても厄介だ。ここから一人だと突破は難しい。やるしかないのか。
「仲間を守るその心。そこだけは褒めてあげましょう。しかしこうなったのも己のせい。考えることができるのに非常に残念ですね」
「お前、随分と上から目線じゃないか。相当な勝つ自信があるそうだな」
「当たり前です。人間が私に勝てることなどありません」
「そうか。ならここで覆してやろう。人間の力ってやつを」
そして、俺はアリシアに、
「アリシア。俺だけに支援魔法をかけてくれ」
「了解です!」
「何を今更。まさか魔法だけで倒せるとでも思っているのですか」
そして俺はため息を吐く。
「お前は人間を舐めすぎだ。最強の力を今ここで見せてやるよ」
そして俺は魔力を全身に溜め込む。
「はああああああああああああああああああああ」
「支援魔法かけます!」
今回は『神獣』は使わない。これほど人間をバカにされたんだ。後悔してももう遅い。
「――これが人間の最高到達点だ」
「なんだ! その姿はッ!」
俺から紅いオーラが溢れ出る。これが俺の魔力を最大限まで高め、体に憑依させた状態。名前を付けるなら、
「――天上天下・魔力武装。ステータスの底上げをしてもらい、さらに俺の魔力によって極限まで高めたこの身体能力。泣いて喚いてももう遅い」
その瞬間。俺は高速移動し、ヘレスの目の前まで来ていた。
「――最強、舐めんなよ」
ドンッ!
繰り出した膝蹴りがヘレスの顔面に直撃し、吹っ飛ぶ。
「まだまだこれからだ。楽しませてくれよ」
その戦場はアルスの独壇場となっていた。
「チッ、人間如きなぜがそんな力を」
「お前は人間の可能性をこれっぽっちも理解していない。たとえどんな屈辱を受け、絶望しても、立ち上がることができる。それが俺であり……俺たちだ!」
「そうか。私が人間の価値を見誤っていたか。なら、ここで守護者の力を全てだして……」
「――黙れうっせぇよ。少しはその脳ミソで考えやがれ」
スパン!
俺は瞬時に背後に回り、俺の魔剣によって左腕が切り飛ばされる。そしてそのまま蹴り飛ばし、壁に激突する。
「やはりその程度か。期待した俺が馬鹿だったか」
「調子に乗るなよ人間。私を倒すなど……できるはずが、なああぁぁぁぁぁい!」
全てを捨て魔力を全て使い、雄叫びを上げながら追従する金属を生成し、襲ってくる。俺には滑稽にみえた。
次は夕方頃です。
「面白い!」
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