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21.復讐パーティは世界を救う

 それから俺たちは一週間の休みを設け、自由に休みを満喫していた。その間にも、俺は図書館へ行き、情報収集をしていたが結局手がかりに繋がるものはなかった。やはり、あのじいさんが言っていた場所に行くしかないか。


 そして最近、妙な視線を感じる。それはアリシアからだ。今まで以上に近い気がする。思い返してみればたしかにあの時、ポイズンスネークを倒すとはいえ身を寄せ合う行為をしていた。多少は恥ずかしいが仕方のないことだ。それはアリシアもわかっているはず。それなのに付きまとってくる。今みたいな俺が一人で店でくつろいでいる時も。


「そんなとこにいないで、顔を出したらどうだ?」


「ぎくっ!?……バレてましたか?」


 バレバレである。


「当たり前だ。なにか話があるなら聞いてやるから」


 俺は向かいの席に座らせる。どこかアリシアはそわそわしているようだ。いつもと雰囲気が違う。


「あ、あの、アルス様は私のことを、その、……どう思っていますか!」


 突然の質問に俺は驚愕してしまった。これはどう答えたらいいのか。とりあえず妥当な返答をする。


「いつも助かっている。アリシアがいなきゃ乗り越えられない場面もあったしな。口だけじゃ感謝が伝えきれないほど」


「そう……ですか。私もお役に立てて嬉しいです!」


 なんかちょっと最初の方元気なくないか。俺の返しが悪かったのか。ダメだ。普段は一人でいるからわからないな。ともかく、素直に伝えればいいか。


「いつも一人だ。どんなときだってその時の感情を分かち合える仲間なんていなかった。だから嬉しいのかもしれない。喜びや悲しみ、色々な出来事を乗り越える仲間がいることを。アリシアが一緒についてくるなんて言ってなかったら、俺はどこかで自暴自棄になっていたかもしれない。だから、ありがとう。これが俺の素直な気持ちだ」


 アリシアに目を向けると、下を向き、顔だけではなく耳まで真っ赤になっていた。


「そ、そうですか。な、なら良かったです」


 だいぶ焦っているようだ。大丈夫か。


「私も、その、お礼がしたくて。私を助けてくれたり、いつも一緒にいてくれてありがとうございます」


 感謝の言葉と一緒にラッピングされたプレゼントをもらう。


「これは?」


「私が選びました。安直な考えですが、これが一番アルス様にストレートにわかってもらえるかなと思いまして」


「開けていいのか?」


「はい。どうぞっ」


 俺は渡されたプレゼントを開ける。内容は赤をベースとしたハンカチだった。


「こんなことまでしなくてもいいのに」


「私がしたいだけですよ。……それにアルス様のことが……好きだし」


「ん?なんか言ったか?」


「い、いえ! ただの独り言ですよ」


 俺はハンカチに感動していたあまりアリシアの言葉を聞いていなかった。まあ、本人が言うならいいのか。


「こんなプレゼントをもらったのは初めてだ。本当にありがとな」


「これくらい、いいんですよ。だから、これからもお傍にいさせてください」


 ガタッと椅子が倒れ、アリシアが俺の顔の横まで急接近する。


「――私はずっとアルス様についていきますよ」


 そう耳元で囁かれ、アリシアはチラッとこちらを見たあとその場から立ち去った。急な出来事に未だに困惑している。


「ちくしょーが。あんなことされたら……惚れるだろうが」


 自分自身ではわからないが、胸の鼓動止まらない。こんな気持ちになったのは初めてだ。


「はぁ、アリシアには叶わんな」


 改めて、そう思ったのである。





「本当に行くのですか?」


「ああ。俺たちにはやらなければいけないことがある。ここにいるのもいいが、それじゃ冒険者の意味がない」


 出発の日。これまで何度も街の人に散々呼び止められていた。うんざりするほど。ここ最近だけで俺たちは随分と有名人になった。歩けば様呼ばわりされて面倒だった。アリシアたちも苦笑いをしながら流しているほどだ。でも、それだけこの街の人にとっては必要な存在になったということか。


「そうですか。私たちギルドはいつでも冒険者様の味方です。どうかそれだけはお忘れなく。この街はいつでもあなた様を歓迎しますよ」


「そう言ってもらえるのは助かる」


「それと、馬車をギルドから用意しましたのでどうぞお使いください」


 向こうを見ると立派な馬車があった。これはちょうどいい。移動手段がなかったから使わせてもらおう。


「感謝する。そっちも冒険者が訪れるように頑張ってくれ」


 互いの健闘を称え、俺はギルドを後にする。馬車の近くまで行くとアリシアがいた。


「もう遅いですよアルス様。何を話していたんですか?」


「別にたいしたことじゃないさ。それにしても俺たちの評価はこの街だと爆上がりだな」


「それもこれも全てアルス様のおかげですよ。なんたって、街を救ったのですから」


「俺だけじゃない。アリシアがいて初めて倒せた。それと、フレンダがいたから隙を作ることができたしな」


「なんじゃ、『それと』は! これでもワシも頑張ったほうじゃぞ」


 馬車の奥からひょいっと出てきた。


「冗談だよ。ともかくこれは俺だけの功績じゃない。おれたちが力を合わせたからできたことだ」


「ま、そうじゃな。ワシの街くらい救っやるのが当然よ」


「ふふっ、そうですね。これからも私たちなら負けることはありません!」


「ああ。そうだな」


 俺たちは互いを確信し、馬車を出発させる。


「アルス様、後ろっ!」


「ん?」


 後ろを振り向くと、そこにはたくさんの街の人がいた。手を振ったり、お辞儀をしたりしていた。


 もし、これが俺たちの行いによって生まれたのなら、世界を救うってのも悪くないな。





 街は見えなくなり、街道を進む。


「たしか、『風魔の里』でしたっけ?」


「そうだ。ここからさらに奥に進むと魔力が濃い森に入る。そこにあると聞いている」


 出発の前夜。俺は二人に次の目的地を教えていた。二人とも聞いたことはなかったようだ。


「それにしても厄介じゃな。魔力結界があるとはな」


 魔力結界によって、肉眼では見えないのだ。魔力を使い、攻略しないとその場所にすら辿り着けない。


「だとしても、そこに手がかりがあるのなら行くしかないだろ?」


「うむ。というかその前からワシらはアルスについて行くと決めておる」


「そうですね。私たちはアルス様のパーティですよ。どこまでもついていきます!」


 二人ともニコリっと笑顔で言った。頼もしい仲間だ。


 馬車はゆっくりと目的地へ進んでいく。過去の俺だったらこんなことになることを想像していただろうか。


「『復讐パーティ』は新たな場所へと出発だ!」


 俺たちならできないことは無い。なんなら世界征服もできそうだ。いや、征服は違うか。この穢れた世界すら救ってしまうそんなパーティだ。いろんな人を助けたり救ったりして。ついでに、



 ――復讐パーティは世界を救う



 って言うのも悪くないな。アリシアたちにつられて、俺もその顔は笑っていた。

「面白い!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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― 新着の感想 ―
[良い点] タイトル回収もしたし、もうこれで完結でいいんじゃないかな・・・
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