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16.彼女の魔力は『○○魔力』

「どうすれば倒せるのでしょうか?」


「神聖魔力で浄化すれば再生することはできない。ただ、そもそもその魔力をもっている者が少ないからな。完全に討伐するにはいくつもの壁がある」


「そうなのです。だから誰も討伐することができなくてですね。少しずつ冒険者がいなくなってしまい、このような現状にななっているのです」


 事態は思っていたより深刻だな。冒険者の評判はガタ落ち。おまけにここに住んでいる人たちも困っている。ダブルパンチは相当キツイ。


「なんとかならないでしょうか?」


 アリシアがこちらを見つめる。助けてやりたいが、今回ばかりはどうすることもできない。神聖魔力を持つ者を同行させない意味がない。また周りの生命力を奪うだけだ。


「残念だが、俺の力ではなんともできんな。悪いが冒険者登録だけしてもらってもいいか」


「えぇ。かしこまりました。少々お待ちください」


 ギルドの人は席を外す。ここにいるのは俺たちだけだ。


「さっきの話、王都からの冒険者って」


「ああ。多分、あのバカ三人衆だろう」


 王都で名を馳せていて、それなりの実力がある冒険者。加えて三人。俺が一度入る前の『勇者パーティ』だろう。俺がいないと何もできないのにな。俺はあいつらに常に支援魔法でステータスを向上していた。だが、それすらも気付かず、己の力と過信している。今頃、ダンジョンにでも潜って絶望しているんじゃなかろうか。


「倒し方も知らずに挑むとはアホにも限度があるだろ」


「じゃが、対策を取ったとしても厄介じゃろ」


「そうだな。だが、こんな街の近くにポイズンスネークがいることすら驚きだ」


「それはワシも思った。想定外の相手じゃな」


 ポイズンスネークは湿地帯を好む習性がある。なのにこんな森林に生息しているってことは、誰かが解放させた可能性が高い。


「ともあれ、理由はわかったがこれだとあの図書館を使えないな」


「困りましたね。せっかくここに来たのに何もできないなんて」


 なんとかしたいが、障害がデカすぎる。


「お待たせしました。こちらへ」


 戻ってきたギルドの人が案内する場所へと向かう。


「冒険者登録って何をするのですか?」


「基本的に報酬をもらえるようにしたり、その人のスキルを鑑定してもらったする。まだアリシアはスキル鑑定もしてないだろ」


「でも私、ちょっとした回復魔法しか使えませんよ」


「スキルはいつどこで覚醒するかわからない。ちゃんと調べる価値はあるだろ」


 不安ながらもアリシアは同意する。


「ではこの石版に手を当ててください」


 身長ぐらいある石版の前に立ち、手を当てる。石版が光る色に応じてスキルの属性が決まる。ちなみに俺がやると赤く光り、フレンダがやると黄色に光るだろう。


 そして光り輝く色は、


「――しろ?」


 おいマジかよ。これは……また逸材が集まったパーティだな。


「おめでとうございます! 白は滅多にいない基本属性とは違う属性のスキルですよ」


 四大元素とは違う属性のスキルを持つ者は多くない。何かしらの特殊な力を宿す。石版に書かれた文字がアリシアのスキル名になる。そこに書かれていた文字は、



無限支援(ムゲン・アシスト)



 ――支援魔法をどんな時でも使用可能。また、効果量が通常の二倍になり、支援魔法による魔力消費はなくなる。



 またさらに聞いたこともないスキルだ。名の通り、この世界にある全ての支援魔法を使えるのだろう。俺は独学でほとんどが使えるようになったが、支援魔法は俺と同等レベルか。


「これが……私のスキル……」


 アリシアは己のスキルに驚いていた。だが、本当にすごいのはそこじゃない。石版が白に輝くことはさっきの通り滅多にない。その理由は、


「白に光ったってことは、アリシアの魔力はただの魔力じゃない。――神聖魔力の証だ」


「えぇ! ってことは!」


 ほんと、どこまでもお人好しなんだな。まあ、そんなところがアリシアの取り柄でもあるが。


「一応、ポイズンスネークを討伐するピースは集まっているな」


 純粋な火力役としてフレンダ、支援魔法と神聖魔力を兼ね備えたアリシア、そしてそのどちらをも持ち戦うことの出来る俺、みたいなところか。


 またしてもアリシアは俺の方を見て目をキラキラ輝かせている。こうなってしまったアリシアは誰にも止めることはできない。


「ギルドからのポイズンスネーク討伐のクエストはまだ受付中だよな?」


「えぇ。まだ誰も討伐してませんし」


「なら、決まりだな」


 意図を読み取ったのか、2人とも仕方なさそうな顔をしていた。


「ま、ワシの手にかかれば楽勝ってものじゃな」


「わ、私も頑張りますっ!」


「で、ですが、いくら神聖魔力をお持ちの冒険者がいたとしても、ポイズンスネークはかなりの高レベル魔物です。三人だけじゃとても……」


 普通のパーティーなら非力そうな三人でどうこうできる相手じゃない。けど、俺たちは違う。


「大丈夫ですよ。――俺たち最強なんで」


 こうして、『復讐パーティ』の本格的な魔物討伐が始まる。




「くれぐれもお気を付けてください〜っ!」


 ギルドの人の応援を背に、俺たちはポイズンスネークがいるであろう森へと向かう。


「やっぱりこういうのって緊張しますね」


「今回ばかりはそうかもな。全てはアリシアにかかっている。頑張ってくれよ」


「はいっ! アリシア、この命にかけて頑張りますっ!」


 いやそこまでしなくてもいいんだが。ちょっとプレッシャーかけ過ぎたかな。


「安心せい。ワシがいるじゃないか。そうそう緊急事態になることはなかろう」


 そう。今回からはフレンダがいる。この幼女のような容姿をしていて忘れてしまっていたが、実は大魔女……大魔幼女なのである。


「そいえば、フレンダのダンジョンってどうなったんだ?」


「ああ、あれか」


 前回、よくわからん冒険者に爆発されてしまい、大変なことになってしまっていた。フレンダいわく、あそこは家っぽかったらしい。あんな無惨に粉々にされたと思うと胸が痛む。


「魔法でちょちょちょいっ、と全て治しておいたわ。ついでにワシが作ったゴーレムも添えてな」


 あんな底辺ダンジョンにゴーレム置いたらダメだろ……。


「今頃、冒険者たちがワシのゴーレムにフルボッコされてそうじゃな」


 本当にありえそうだから怖いな。ま、俺が抜けた『勇者パーティ』なら余裕で突破できそうか。それすらも攻略できなかったら笑っちゃうけど。


「あの、ポイズンスネークって神聖魔力で浄化するっていってましたけど、私はどうすればいいんですか?」


「それなら心配はいらない。戦闘した瀕死になった状態で神聖魔力を込めた一撃をくらわせてやればいい。その時になったら俺が教えるから」


 今はなるべくプレッシャーを与えないようにしないといけない。


 アリシアには出発する前にある程度の支援魔法を教えた。これ以上教え込むとパンクしそうになるしな。


「ともかく今は急ごう。夜になる前に突破するぞ!」


 無駄口を吐かず、俺たちはさらに奥へと進む。

「面白い!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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