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魔法使いの世界を旅する一年  作者: Zezilia Hastler
序章  魔法使いの世界
3/72

2 行って帰ってまた行く

※お酒もタバコも二十歳から

4:00



 鼓膜を叩くようなアラームで、ぼくは目を覚ました。

 手探りで、目覚まし時計のアラームを止める。

 黄緑色の目覚まし時計、その針は、いつも通り早朝の4時を示していた。


 ぼくは、ベッドの上で背伸びをした。


 ぼくは、まぶたを上げた。「……うおっ」馬鹿みたいにでかいネコが、ぼくの目の前にいた。「っ、いった……」頭が痛く、気分が悪い。二日酔いだ。なんでだろう……。調子に乗って飲みすぎたんだ……。たくっ……。ぼくはベッドから這い出た。


 ジャンボニホニアにゃんが、ベッドからずるりと滑り落ち、うつ伏せになった。


 ぼくは、指先から魔力を送って、ジャンボニホニアにゃんを浮かせた。


 ジャンボニホニアにゃんは、ぼくのベッドの上に、我が物顔で横たわった。他にも、大小様々なニホニアにゃんたちが、ぼくの部屋のあちこちを、我が物顔で占拠していた。デフォルメされたデザインのために、よくわからなかったが、どの子も満足げな表情をしている一方で、その目は焦点が合っておらず、心ここに在らずと行った様子だった。どこ見てるんだきみたちは。あっちの世界に行っちゃってるのか? ひょっとすると故郷のニホニアが恋しいのかもしれない。


 ここは学生寮。2LDK。ぼくの寝室は180cm×240cmと、こじんまりとしたものだが、ぼくの体はコンパクトだし、ベッドもそれに応じて小さいサイズで十分なので、あまり不便もなかった。大きな窓のおかげで開放感もあり、それなりに快適だ。


 ぼくは、ミニクローゼットを開け、着替えを取り出し、寝室を出た。リビングダイニングキッチンは、ぼくの寝室の3倍ほどの広さ。丸テーブルに3脚の丸椅子、3人掛けのソファ、センターテーブル、窓際には、CDやカセットテープを再生できる箱型のコンポと、音質の良いスピーカーが2つ。あとは、壁に絵や写真がかけられている。家具は少なく、それゆえに掃除も手軽に済ませることができた。すっきりとしていて、過ごしやすい良い部屋だ。家具は全て、IKEAで揃えたものだった。


 この空間には、5つのドアがある。

 1つは、部屋の外へ通じる玄関のドア。

 1つは、ユニットバスへ通じるドア。

 1つは、テラスへ通じるドア。

 残りの2つは、ぼくと、ルームメイトの弥子の寝室のドアだ。


 リビングには、弥子のお姉ちゃんであり、ぼくの幼馴染であり、友人であり、もう一人のルームメイトでもあるルナさんがいた。ルナさんは、3人掛けのソファの上で、いびきを描いて眠っていた。


 ぼくはバスルームに入った。シャワーノズルをひねれば、暖かいお湯が流れてくる。

 この寒い時期になると、それがどれほどの幸せなのかが身に沁みてわかる。


 汗を流したぼくは、男物のトランクスを履き、濃紺のデニムを履き、忌々しいスポブラを着けて、その上からTシャツを着て、その上から、少しサイズの大きい白のシャツを着る。靴下を履き、室内用のスニーカーを履く。ドライヤーで髪を乾かす。髪は短くしているので、あまり時間を取られない。櫛で髪をすき、スプレーで固めて、ピンで7:3っぽくする。バスルームから出ると、ルナさんはまだ眠っていた。


 3歳年上のルナさんは、ぼくと違って人間だが、非常に勉強熱心で、7歳で中等部に進学し、9歳で高等部に、12歳で大学に進学、17歳にして深層心理学の博士号を取っていた。今は犯罪心理学の修士号を取るべく、学園の大学に通い直している。将来は刑事になるらしい。


 ルナさんの妹の弥子もまたルナさんと同じく人間だが、ルナさんとは違い、平凡に中学三年生をやっていた。


 ぼくとは、魔法使いと人間でカリキュラムも違うが、弥子は同級生だ。

 弥子は、ルナさんのように突き抜けたインパクトはないが、賢く、知的で、ユーモアもあり、運動も出来る。文武両道で芸術家肌で、性格も明るく、友達も多くて、勉強だけでなく、さまざまなところで知性をのぞかせるタイプだった。


 ぼくは、キッチンに向かい、ステンレスのフィルターに挽いたコーヒー豆を入れ、その上から熱湯を注いだ。淹れたてのコーヒーを飲みながら、ぼくはルナさんの寝顔を見て、ニヤニヤした。


 ルナさんは、よほど楽しい夢でも見ているのか、子供のように幸せそうな寝顔をしていた。起きている時は、おしゃれでかっこよくて優しくてフランクで明るいしっかり者のおねえさんだが、寝ている時は口からよだれを垂らして、いびきをかき、たまに白目を向いたりオナラをしたりして、シャツもはだけて、もう少しすれば色々見えそうな感じだ。彼女のおかげで、ぼくは、物心つく頃には女性に対する幻想を捨てていた。美女もオナラをする。今後の人生に役立つ教訓だった。ぼくは、コーヒーを啜りながら、眠気が消えるまで、寝ているルナさんを楽しもうと思った。寝起きのぼんやり感は、暖かいシャワーでも流し切れなかった。


 ぼくは、魔法使いであることを除けば、これといった特徴もない。人間用に設定された大学部までのカリキュラムは小等部の間に終えるのが、魔法使いたちの常識だ。魔法使いたちの頭の回転は早く、記憶力も感受性なども良い。これらもまた、脳細胞に宿っている魔素の影響だった。中等部からは様々な学問の博士号を取ったり、魔法の技術を高めるための授業を受けるのが一般的な魔法使いの教育課程であり、ぼくも順調にそのルートを進んでいる。ぼくが特別賢いわけではない。魔法使いなら、誰しもが消化するカリキュラムを順当に消化していった結果でしかなかった。


 同じく魔法使いであるグロリアは、高等部をあと数ヶ月で卒業するという段階で、すでに十数個もの博士号を取っていたし、魔法の成績も学年どころか学園トップクラスで、魔法使い向けの身体測定の一つである【エヴェレスト往復】で、3分という化け物のようなタイムを叩き出している。


 保有する魔力の違いはあるのだろうが、それにしたって……、ぼくなんて、この間の【エヴェレスト往復】には3時間もかかったのに、グロリアはどうして……。同じ魔法使いで、同じ純魔なのに、どうしてこれほどまでの差が出るのだろうか。


 コーヒーを啜りながらそう考えていると、ふと、あることが気になった。


 そういえば、ゾーイさんは、いつからあのAWという世界に足を運んでいるんだろう。あの世界では、時間の経過速度が12分の1になる。あそこで練習やら何やらをすれば、少ない時間の中で、急速な老化という代償と引き換えに、大きな成長を果たすことができるはずだ。


 ゾーイというAWへの行き方を知る者を友人に持つグロリアの顔が頭に浮かんだ。彼女は、本当に今、18歳なのだろうか。魔法使いは肉体的な成長を終えるのが早く、死ぬ数年前まで、全盛期の姿のままなので、見た目だけでは、あまりわからない。グロリアはああ言っていたが、知った上で知らないふりをしたということも十分に考えられる。ただ、その場合は、どうして、グロリアがあの世界を隠したがったのかという疑問にぶつかる。


 ぼくは、コーヒーを啜った。


 寝起きで、頭に血が通っていない。


 ぼくは、ひとまずのところ、考えるのをやめ、朝食を作ることにした。冷蔵庫から、卵を6つ、トマトを3つ、バジルの葉を3枚、モッツァレラチーズの塊、オレンジを3つ、ローストビーフの塊、10枚切りの食パンを3枚取り出す。食パンをトースターに入れて、タイマーを3分にセットする。IHのコンロに電源を入れ、フライパンを置く。フライパンにオリーブオイルを引き、油が弾けてきたところで、卵を6つ落とす。抜群の切れ味を誇る包丁で、ローストビーフを程よい厚さにスライスしていく。ローストビーフの塊を冷蔵庫に戻し、手を洗って、卵をひっくり返す。スライスしたトマトの上に、スライスしたモッツァレラチーズを載せ、その上に、ちぎったバジルの葉を載せる。オレンジを切り分けてボウルに盛る。焼き上がった目玉焼きとローストビーフを同じ皿に盛り、焼き上がった3枚の食パンをバスケットに入れれば、朝食の出来上がりだ。魔法で包丁を踊らせたり、冷蔵庫から食材を出し入れしても良いのだけれど、なんだか料理を作るときは自分の手でやりたかった。出来上がった料理を、ダイニングテーブルに並べていく。


「ふごっ」


 ぼくは、バッ、と、ルナさんの方を振り返った。


「むにゃむにゃ、もう食べられないよぉ〜」ルナさんは、笑いを堪えるような、楽しそうな、いたずら心に溢れた声で言った。


 ぼくは笑った。「起きてるでしょ」


「バレたか」ルナさんはシャツを直して、髪を指ですきながら、ラジオの電源を入れた。「ソラちゃん、悪いけど、ファドゥーツに繋いでくれる?」


「はい」ぼくは、指を振るって、コンポに魔力を送った。


 ラジオのチャンネルが、ルナさんと弥子の故郷の一つであるリヒテンシュタインのラジオチャンネルに切り替わる。英語の曲がスピーカーから流れてくる。この時間、リヒテンシュタインは夜だ。これから一日を始める人たちのための早朝の音楽も良いが、これから眠る人たちのための夜の音楽を早朝に聴くルナさんの感性も相変わらず素敵だ。


「ありがと」ルナさんは、ダイニングテーブルの方へやってくると、明るい声を上げた。「美味しそう」彼女は、微笑みの浮かんだ顔でぼくを見た。ぼくの頭を撫でて、リビングに置かれているミニクローゼットから着替えを取り出し、バスルームへ向かった。バスルームから出てきたルナさんは、黒のスラックスに、白いシルクのシャツにローファーという格好をしていた。


 血色の良いきめ細やかな乳白色の肌。

 ふんわりとした黒の髪。

 グレーの目。

 白黒写真から出てきたお姫様のような彼女は、リヒテンシュタインとオーストリアと日本の血を引いている人間だった。

 魔法使いとかのヒトなら、その遺伝子に含まれる魔素の影響で目の色や髪の色が決まるものだが、人間であるルナさんの場合は、ただ単にリヒテンシュタインの血とオーストリアの血が目の色や身長の辺りに濃く出ているだけだった。

 ルナさんは、180cmの身長に、スレンダーな肩幅に、それなりに出ている胸、柔らかなシルエットながらも彫りの深い顔立ちといった、モデルみたいな人だった。

 ダイニングテーブルに着いた彼女は、お箸を持って、ローストビーフをつまみ、コーヒーを啜った。「ソラちゃんは良い嫁になるね」と、俺の嫁は言った。


 ぼくはトーストを齧った。「ルナさんならお嫁にもらってあげても良いよ」


「はっ? わたしがなってあげるんだよ」


「そういうことにしといてやろうか」


「今のうちに慣れときなよ。結婚したらソラちゃんの言い分が通ることなんかないし、口喧嘩でわたしに勝てることなんか絶対にないんだから」


 ぼくは肩を竦めた。「ま、今日のところはそういうことにしておきましょうか。いつ式場見に行きます?」


「休みが合えばね」


「最近忙しい?」


 ルナさんもまた、グロリアと同じく学園の仕事を手伝う立場にあった。優秀な生徒は、高等部に上がった段階から、そういったことを任されたりする。ちなみに、ルナさんとグロリアは幼馴染の親友で、ぼくがグロリアと知り合えたのは、幼い頃にルナさんが紹介してくれたおかげだった。「勉強だよ。ソラちゃんは?」


「高等部進級に必要な単位はもう取り終わったから、今は本ばっかり読んでる」


「どんなの?」


「ヴェルの冒険」


 ルナさんの顔に暖かい笑顔が浮かんだ。「冬休みはあっちに帰るの。一緒に来る?」


 ぼくは曖昧に笑った。「正直言って、ファドゥーツは、ぼくには少し退屈で」ルナさんや弥子と一緒なら、別に行っても良いんだけれど、あの楽しそうな世界を知ってしまった今となっては、ファドゥーツかAWか、迷わないはずもなかった。


「ファドゥーツにはドラゴンもユニコーンもいないしね」


 ぼくは笑った。「そんなもん……」あれ……、そういえば……。「ロシアの奥とかギアナとか群馬県にしかいないし……」ぼくは、考えながら言った。「……そんなところ行ってもキツイだけで楽しめないし……」


 そうだ。地球において、幻獣は秘境にしかいない。

 アラスカとかマリアナ海溝とかバミューダトライアングルとかアメリカの群馬県と名高いネブラスカ州とか……。

 欲深く見栄っ張りな人間たちによってツノや牙をへし折られたり、ハゲるほどに体毛をむしり取られたりといった過去の苦い経験をもとに、幻獣たちは人目を避けるため、そんなところにまで引っ込んでしまったのだ。

 そういった話を聞けば、美しいものは人目を避ける、という言葉の意味もなんとなくわかった気になれる。

 にも関わらず、ヴェルの冒険で描かれる幻獣たちは、いずれも魔法使いや人間といったヒト族と共存している。

 これはどういうことだろう。ひょっとすると……。


 ぼくは、ローストビーフを噛みながら、頭に浮かんだアイデアについて、思いを馳せた。

 ヴェルの冒険の作者であるヴェルは、誰にも居場所がわからない、ということで知られている。

 ぼくの頭に、ヴェルの冒険の表紙や挿絵の数々と、AWでの思い出が浮かんだ。

 ひょっとすると……、ヴェルは……。



7:00



 ぼくは、授業棟のグランドフロアにある掲示板に、グロリアへの伝言を書き、いつもの談話室に行った。

朝日の差し込む談話室。


 相変わらず誰もいない。

 ぼくだけの空間だ。

 この時間は、誰もいない日の夜と同様に照明もついておらず、朝日だけが室内を照らすので過ごしやすい。

 学園の照明は全て間接照明だった。

 国際色豊かな学園の生徒たちの中には、目の色素が薄い人もいる。

 間接照明は、そう言った人たちへの配慮だった。


 それでも、五感が鋭敏な魔法使いのぼくにとって、人工の明かりは目を貫くように眩しい。

 やはり、明かりは自然のものに限る。


 ぼくは指を弾いた。


 人差し指の先から、マッチサイズの火が伸びる。

 マッチの火は、暖炉の中に飛び込み、薪を炙り始めた。

 暖炉の薪に火がついた。


 指を振ると、人差し指の先から伸びる火が消えた。

 ソファに腰を下ろし、ヴェルの冒険を開く。


 ヴェルは、荷物を持たない旅人だった。

 成熟した魔法使いである彼女には、杖も箒も必要ない。

 彼女は、元々はフランス出身の人間だったが、ある日、天使より貰い受けた指輪によって、魔力を得た。

 そして、魔法の達人である天使の下で、あっという間に魔法を習得し、日常に別れを告げ、冒険の世界に足を踏み入れたのだった。

 彼女は、ヴェルは、魔法によって、旅に必要となる、様々な物を生み出すことが出来た。

 ヴェルは幻獣の声を聞くことが出来た。

 ヴェルは様々な街へ行き、秘境へ行き、美しい景色をその目に焼き付けながら、あちらこちらで人と出会い、成長し、そして、悩める者たちに知恵を授けていく。

 いつだってヴェルの後ろには晴れ渡った空が広がっており、いつだってヴェルの前には鬱々とした曇り空が広がっている。


 フィクションかと思われていたこの物語だが、3年前、ヴェルと会った、と言う女性が現れた。

 その女性は、わたしよりも9歳年上のクラリッサという魔女だった。

 学園の生徒で、魔法使いだ。


 彼女は、魔法界の出版業界から引っ張りだこになった。

 詳しい話を聞いてみると、いくらか辻褄の合わないところや曖昧なところもあったので、出版業界の者たちは眉をひそめた。


 というのも、彼女は、すっかりヴェルに心を奪われ、恋をしてしまっていたために、興奮していた彼女は、ヴェルと過ごしたありとあらゆる時間を夢心地に感じており、大まかなことは覚えていても、細かいところまではよく覚えちゃいなかったのだ。


 加えて、暇さえあれば、夢見心地の恍惚とした様子で宙を見つめ、『ヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんヴェルさんウヘヘヘへへへへへへへへへへへへへへへへへへ〜……』と呟き続けていたらしい。

 クラリッサは精神鑑定にかけられた。


 さまざまな精神科医や、心理的分野に精通した魔法使いや幽霊によって、彼女は、頭の中や心の中を隅々まで覗かれた。


 その結果、信じ難いことに彼女の頭や心や精神や魂は正常で、何一つとして嘘を吐いていなかったということが分かったのだ。


 ちなみに、クラリッサは、その精神鑑定によって人生の貴重な時間を奪われたという主張を基に魔法界の出版関係各所を相手に訴訟を起こし、自分が塀の向こうで精神鑑定を受けている間に自分のことを好き勝手言って名誉を毀損したという主張を基に本好きたちの間において声がよく通る批評家たち相手にも訴訟を起こし、ちょっとしたお金を受け取ったらしい。

 その後に広まった噂によれば、裁判によって名誉を回復したクラリッサは、『うへへへへへ〜……、ヴェルさーん……、じゅるり……』と舌舐めずりをして涎をだらだら垂らしながら愛しのヴェルさんを探す旅に出たとかなんとか。


 居場所のわからない冒険作家と呼ばれるヴェルだが、彼女の居場所がわからないことの一因には、クラリッサの存在があるに違いない。


 そういった騒動をきっかけに、ヴェルの冒険は、魔法史に残るベストセラー(ノンフィクション部門)と呼ばれるようになった。


 もっとも、魔法史に残るベストセラーなんてものは、毎年のようにどころか、季節が変わるごとに生まれているので、その呼び名には、それほど大きな意味は込められてもいなかったが。


 ヴェルの冒険が実際にあった出来事だと知った者たちのうち、熱狂的なファンは、ヴェルを探そうと躍起になっていた。


 そして、ぼくもまた、ヴェルに会いたいファンの一人だった。

 というのも、クラリッサの話によると、ヴェルもまた、ぼくと同じで、心が男性で体が女性であるというのだ。


 もしもぼくがヴェルに出会うとしたら、どんなシチュエーションだろう……。

 多分、深夜の旧市街っぽい感じの、大きな広場だ。

 そばには、耐熱ガラスに覆われた火柱のストーブがあり、テーブルの上には、キャンドルランプやランタン。

 ヴェルは多分、先の折れた魔女帽子を被っている。

 そして、その下に、デニムとTシャツを着ているのだ。

 ヴェルは、温度調節魔法を扱えるから、暑い日も寒い日も、自分が着たい服を着るのだ。あ……、その点に関しちゃ、デブも一緒だな……、デブも体脂肪のおかげで外気温を感じられないみたいだし……、やめろ、考えるな、ほら、デブは着たい服を着れないけど、旅人であるヴェルは、引き締まった体をしているはずだから着たい服を着れるしオシャレなのだ、多分、腹筋は八つに割れていて、二の腕の力コブもすごいに違いない。


「情緒が忙しいね」

 ぼくは、左側から聞こえてきた声に顔を上げ、そちらを見た。


 いつの間にか、グロリアがいた。


 彼女は、ぼくを見て笑っていた。「どうしたの? 可愛い顔して涎垂らしてうへへへへ〜って顔してたと思ったら顔しかめて吐きそうな顔したり希望と理想にすがるような泣きそうな顔したり」


「いや、ちょっと……、ヴェルってどんな人なのかなって思って」ぼくは、ジャケットの袖で涎を拭った。


 グロリアは笑った。「ゾーイと話したよ。オタク同士盛り上がったみたいだね」


「属性が違うよ。ぼくはノンフィクションを追ってる分現実が見えてるけど、彼女はオカルト」


「わたしらにとっては、オカルトも現実でしょう?」


 そんな返しをされて、ぼくは言葉に詰まってしまった。「とにかくぼくは違うのっ。ぼくの方がオタク度合いは軽いんだから」


「はいはい。オタクはみんなそう言って別ジャンルのオタクを下に見るのよね。オタク同士仲良くブヒブヒしてれば良いのに。そんなだから争いがなくならないのよ。ほんと人間って愚かだわ」


「グロリアだってアニメ好きじゃん」


「好きよ。そのために日本に来たんだから。アニメは芸術。今年は春アニメ夏アニメ秋アニメはすでに全作品3周はしてるわ。年明けは全アニメ同時視聴をしながら推しキャラにひざまずいて今年1年についての感謝を捧げて来年1年もまた夢の中で出会えるよう祈って過ごすわ」


 ぼくは笑った。「漫画は?」


「好きよ。芸術だもん」


 ぼくはヴェルの冒険を持ち上げた。「これは?」


「好きよ。面白いもん」


「なら良い。グロリアさ、多分聞いたと思うんだけど」


「あんたのお願いダーリン? 早く中に入れて?」


 ぼくの顔が燃えるように熱くなって爆発した。


 グロリアは笑った。「可愛かったって言ってたよ」ぼくの肉片を浴びたグロリアは、まるでそんなものなど浴びていないかのように、平然と、楽しそうに話を続けた。「わたしは聞いてないけど、ゾーイが聞いたって。恥ずかしそうにもじもじ言ってて可愛かったって。嫁にしたいってさ。良かったね」


 ぼくは、周囲に飛び散った肉片を片付けようとソファから腰を浮かせたが、よく見れば、肉片なんてものはどこにも見当たらなかった。

 あの笑い声は、やっぱり幻聴じゃなかったのだ。


「ちなみに、今夜から合い言葉はいらないみたいよ」

「いらない?」

「からかっただけだって言ってた」


 あの女……。


「許してやって。そういう奴なの」

「しばらく会いたくないですね」

「まったく、困った奴ね。冗談が通じないんだから」

「恥ずかしかったんだもん。そうじゃなくってさ、あれ、聞いたと思うんだけどって、なんだっけ」

「知らん」

「あ、そうだ。あの七不思議なんだけど、本物だった」


「知ってる」グロリアはタバコに火をつけた。「っていうか、高等部生はみんな知ってる。勉強量を消化出来ない奴とかは、時間の引き伸ばしのために、たまにあっちに行って勉強するの。あんたも来年から宿題の量跳ね上がるから覚悟しときなよ」


「大丈夫。ちゃんと計画通りにやれる。たまにって言った?」

「うん。たまに。あっちって文化レベルが18世紀19世紀で止まってるから、ところどころで不便なのよね。都市部とかだとトイレとかはちゃんと現代だけど、あっちってアニメも漫画もないし、退屈だから、行くヤツあんまいないのよ。マックも牛丼屋もないし、わたしも一年の時は物珍しさで何度か行ったけど、それっきりね。ニホニアにゃんとか、あざとすぎて嫌いだし」

「好きそうじゃん」

「ああいうあざとさは萌えない」

「そうかな……、可愛いじゃん。ぼくはちょっとだけお土産に買っちゃったけど」


「ソラちゃんは可愛いね」と、グロリアはぼくの頭を撫でた。


「昨日は、あの世界のこと知らないフリしてたのに」

「あの世界のことは、中等部生以下には教えちゃいけないの」

「でも教えたよね。あんな寸劇までしちゃって」

「あんたがつまんなそうな顔してたから」

「そりゃつまんないよ。退屈だもん。中等部生には教えちゃいけないってなんで」

「多感な時期にあっちに行っちゃうと、あっちに居ついちゃって、元の世界に馴染めなくなるから。21世紀の人が18世紀に馴染むことは割と出来るけど、18世紀の人が21世紀に馴染むのは大変みたい。個人的には、どっちも大変だと思うけどね。地球と違って、あっちは文化レベルも精神レベルも価値観も常識も発展途上だから、そんな世界に慣れちゃったら、故郷の地球に馴染むのが難しくなる。学園の生徒の中身が18世紀になることを心配してのことよ」

「文化レベルに関しちゃそんな感じだったね。そこが良いんだけど。電磁波とかワイファイとか3Gとかが飛んでなかったから落ち着けたし」


 魔法使いであるぼくたちにとっては、ワイファイやら3Gやらといった電磁波は、魔法族の肌荒れの原因になるし、ピリピリした感触がストレスになる。

 今度は4Gなんてものも出てきたみたいだけれど、今から恐ろしくてしょうがない。


 学園側も、在籍している人間の学生たちのために、アメリカの学園やロシアの学園、スカンジナヴィアをはじめとした北欧の国々の学園で、オンライン授業の導入を徐々に推進していたが、ぼくが卒業するまでは勘弁して欲しいところだった。


 肌荒れやピリピリとした感触といったストレスに目を瞑れば、【旅行しながら勉強してみませんか?】ということも可能らしい、ということが、学園のホームページには書かれていた。

 センスの良い写真とともに記されているのは、【イビサ島の浜辺や、ヴェネツィアのゴンドラの上や、パリのカフェ、オーロラの下、フィヨルドを漂うクルーズ船の上、シロクマの腕の中、日差しの差し込むセノーテまで、世界中のありとあらゆるところが教室になる……】といった内容のキャッチーな写真と文章がホームページには掲載されていたけれど、ぼく個人としては、そんな世界は地獄だ。

 旅行中くらいは学生であるという事実を忘れて、目の前の美しい街並みや雄大な自然に心を奪われたいものだ。

 旅行先でも勉強をするとか、どんだけマゾなんですか。


「1985年の人間は埃のつかない本っていうのを思いついたけど、実際のところ、2010年の今は電子書籍っていうのが出始めてる。1985年の人間には電子書籍なんて発想は異次元過ぎて想像もつかないのよ。私らは未来の人で、連中は過去の人。わたしらはあちらを理解することが出来ても、あちらがわたしらを理解することは出来ない」


「そんなふうには感じられなかったけどなー」ぼくは、グロリアからタバコを一本もらった。タバコを咥え、先に火をつけ、煙を吐く。「天才と変態は紙一重だね。天才は未来っていう異次元に触れる人で、変態は並行世界に触れる人って感じ」


 グロリアは笑いながら首を傾げた。


「天才は狭い分野で遥か先の未来を見据えて文化を進める文化的な先導者で、変態は広い視野を持つ精神的な先導者って感じがする」


 グロリアは笑った。「ソラは変態って感じだね」


「ありがと」ぼくは笑いながらタバコの煙を吐いた。


「グロリアは両方って気がする」

「ソラちゃんはわかってるね。だから好きだよ」

「今夜も行くけど、一緒にどう?」


 グロリアは肩を竦めた。「わたしが興味あるのは未来だから」


「ビールとか酒とか美味しかったよ」


「あの世界の酒は楽しんだし、別に良いかな……。主要な観光都市は観て周ったし……」グロリアは、iPod nanoを操作して、動画を見せてきた。「『お、お願ぁ〜い、ダ〜』、あ、これじゃない」と、腕を引っ込めて、再び動画を探し出す。「えっとね……」


 なんだか、ぼくが、なにかにおねだりでもしているかのような甘えた声が聞こえてきた気がした。「なに今の、まさか……」


「あ、これこれ」

「ま、まさか、あんたもいたの?」

「良いから良いから」


 ぼくは、グロリアの手の中にあるiPod nanoを見た。

 動画では、グロリアがどこかのバーで、他の客たちと一緒に乾杯をして、


『ハッピーニューイヤーっ! ハッピーハロウィーンっ! ハッピークリスマースっ!』

『『『いぃぇえ〜いっ!』』』


 と叫びながら、ビールを飲んだり、頭からビールを浴びたりして、狂ったように笑っていた。

 なんか見覚えのある内装だ……、あれ? ティムさん? ウェスタン・サルーンの店主にそっくりな人が見えた気がしたが、一瞬だったのではっきりとはわからなかった。


『え? なに? あの子?』と、グロリアの声が聞こえてくる。

『そうそう』と、女性の声が聞こえてきた。

『くぁんわいいじゃ〜んっ! イェ〜イっ!』

『『『ウェ〜イっ!』』』

『ウェイウェイっ!』

『おぉ? ウェイっ?』

『ウェイウェイっ!』


 と、画面の外から、グロリアと会話相手の声が聞こえてくる。画面の端では、ユニコーンが馬鹿でかい木の桶に入ったビールを飲み、ご機嫌な様子で尻尾を振っていた。


『おっ? おぉ……』


 声の様子から、グロリアもそのユニコーンに気を引かれたらしく、ゆらゆらと揺れるカメラは徐々にユニコーンに近づいていく。

 画面の外から入ってきたグロリアの手が、ユニコーンのツノを柔らかく握り、それがまるで何かの象徴であるかのように、優しく、艶かしい手つきで撫でた。


『う〜ん……? おいちぃ? おいちぃのぉ?』


 と、酔った様子のグロリアの卑猥すぎる猫撫で声が聞こえてきて、ぼくと画面の向こうの男たちは、時を越えて同時に勃起した。ま、ぼくは生えて無いけど。


 ふしゅるるるるぅ、と鳴くユニコーンは、唐突に、跳ねるようにジャンプをすると、後ろ足で立ち、前脚を振り回してダンスを始めた。そのリズム感を見るに、クラブのノリには慣れている様子だった。ユニコーンと肩を組んで楽しそうにしているグロリアが、目を見開いてあっかんべーをしたところで、ビデオは終わっていた。


「楽しんでるね」

「十分楽しんだから、しばらく良いかなって。こういうノリだと、あんた楽しめないだろうし」

「まあ……」

「一人でいる時とあんたといる時じゃ、楽しみ方が違うのよ」


「ぼくだってクラブに行ったことはあるよ」と言っても、この場合のクラブっていうのは、中等部に上がってすぐのテニスクラブ見学だけれど。


「ほんと? 知らなかった」


「ぼくって意外性のある奴だろ?」ぼくは肩を竦めた。「こうしてるのと、クラブにいるのと、どっちの方が楽しい?」


「どっちも同じくらい」

「一緒に行きたいな……」


 グロリアは、笑顔を浮かべると、立ち上がった。「しょーがないなっ、奢り?」


「酒はね。料理は奢って」

「おけ」

「真夜中じゃないと、ドアは開かないんじゃないの?」

「あ、それもゾーイのでまかせ」

「あの女……」


 グロリアは笑った。



7:50



 ぼくたちは先日の用具室の前へ向かった。

 グロリアは、手の平でどうぞ、とぼくに示したが、ぼくは遠慮した。

 この盗撮女は、今度はどんなイタズラを考えているのか……。


 グロリアは、「あの純粋なソラちゃんが、こんなに疑り深くなっちゃって……」と言った。


「お前のせいだ」

「動画は後で消しといてあげる」

「おう、頼むわ」


 グロリアは、笑って、例のリズムでドアをノックしてから、ドアに魔力を流し込み、その表面を撫でてから、ぼくを振り返った。ニチャリ……。


「おいっ」ぼくは笑った。「やめろ」


「おんねがぁ〜いダァ〜」「やめろって」ぼくはグロリアの肩を叩いて笑った。


 グロリアも笑った。


 ぼくは振り返って、ゾーイさんや、後ろから痴態をつけ狙ってくる変態を探そうとしたが、それらしい気配はどこにもなかった。

 今日は撮られていないようだ。

 それもそのはず。

 盗撮女は、目の前にいる。


 ドアを潜れば、そこには、昨日と同じ景色。

 だが、今日は人が違かった。

 小麦色の肌の、背の高いおねえさんだった。




表記の使い分けです。物語をより楽しんで頂けるよう、記載をさせて頂きます。


ヒト、ヒト族、ヒト属=人間、魔法使い、吸血鬼、バンパイア、ヴァルキリー、エルフ、精霊など、人の姿をしたものたち


人間=人間


魔法族=魔法使い、吸血鬼、ヴァルキリー、エルフ、精霊などの、魔法を扱うヒト


吸血鬼、バンパイア=呼び方が違うだけで、同じものを指す。主人公である空は、日本人なので、吸血鬼という呼び名の方を自然と使うが、バンパイアという呼び名も割と普通に使う。


ドワーフはいないの? とのお声を頂いたのですが、ドワーフは扱う魔力の性質が違うため、登場人物たちにとって、主なヒト族である人間、魔法使い、吸血鬼、ヴァルキリー、エルフ、精霊などと比べて、ほんの少しだけ存在感が薄いですが、きちんと魔法族の一員として認知され、魔法社会に馴染んでいます。




魔素=魔力の素となる元素。ヒトの細胞に含まれている。人間の細胞にも、ほんの少しだけ含まれている。


魔力=魔素から生み出すエネルギー。魔法の素。物質への変化が可能。生命を生み出すことは出来ない。生命力を一時的に向上させる効果あり。ヒトを惹きつける魅力を持った人間のほとんどは、無意識に魔素を魔力に変換させている。人間は基本的に魔法を扱えないが、時々、スプーンを曲げたり、触れるだけで人を癒したりといった微弱な魔法を扱える人間が生まれることもある。


魔法=魔力によって生み出されるもの。火を起こしたり、風を呼んだり、水や土を生み出したり、物を浮かばせたり、物質を生み出したり、空間に変化を及ぼしたり、ヒトの精神への干渉なども可能。



AW=魔法族のために生み出された世界。魔法族は、魔法を扱えない人間や動物たちへの影響を抑えるために、地球上での魔法使用を控えている。そんな魔法族が、のびのびと過ごせる世界。地球が元。物語中2010年時点では、総人口は約360億人。地名は、地球上の土地名をもじったものとなっている。


ニホニア=日本

グレートブリタニア=イギリス

アメリック=アメリカ

カナドゥア=カナダ

スペーニア=スペイン

トルキア=トルコ

ウズべキスタニア=ウズベキスタン

ヴェネズーラ=ベネズエラ

ロームァ=ローマ

アテリア=イタリア(まだ物語には出ていませんが、ついでなので紹介します)


空=主人公。15歳の魔女。身長156cm。体重42kg。目の色は黄金色。髪の色は黒。服装や髪型はシンプルで中性的なものを好む。トランスジェンダーで、体は女、心は男。一人称はぼくで、先生などに対しては私という風に使い分けている。英語が共通語の学園内では、一人称について、あまり指摘されることがない。冒険小説【ヴェルの冒険】が好きで、物心ついた時から、何度も繰り返し読んでいる。


グロリア・グローティウス=空の友人で幼馴染。18歳の魔女。身長180cm。体重66kg。目の色はアンバーで、澄み切った琥珀の様。髪はウェーブがかった黒。肌は小麦色。優秀な成績を認められて、学園の仕事を手伝っている。


ゾーイ・マクスウェル=グロリアと一緒にいた精霊とエルフのハーフ。身長168cm。体重51kg。緑色の光輪のある黄金色の目。グロリア曰く、オカルトが好きとのこと。グロリアからは頭がイっちゃってると思われているが、ゾーイは気づいていない。上品な笑い方をする。


用具室の男性=ラテン系。背が高い。Tシャツとデニム。


ティモシー=空がニホニアで出会ったヴェネズーラの男性。旅好きなスペーニアの魔女に恋をして、彼女と一緒にニホニアに来た。居心地の良さを感じ、そのまま定住。スペーニアの魔女とは自然消滅。気さくな性格。和食を勉強している。


ルナ=空のルームメイト。18歳の人間。身長180cm。体重63kg。グレーの目。日本とリヒテンシュタインとオーストリアの血を引いている。秀才で、深層心理学の博士号をもっている。現在は犯罪心理学を勉強している。将来の夢は刑事。妹の弥子と違って、勉強は出来るが、運動は苦手。優秀な成績を認められて、時々学園の仕事を手伝っている。


弥子=空のルームメイト、友人、幼馴染。15歳の人間。姉のルナほどではないが、頭も良く、運動も出来て、人当たりも良い。学業でもプライベートでも、あらゆる場面で知性を発揮するタイプ。未登場。



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