表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヨウジョ・ワールズエンド・ノヴァ・スーパーノヴァ  作者: 森野うぐいす
第三章 ストーンサークルの戦い
27/57

焦げ臭いの種類

「そうね、何か焦げ臭いわ。」と妖女は言った。


 ' ドメスティック・フラワーズ ' は群体である。しかしその花、一輪一輪に意識がある。彼女達は"焦げ臭い"ということについて検討しあったのである。というのもドメスティック・フラワーズには嗅覚器官がないのである。"焦げ臭い"とはどういうことなのか? がわからないのである。


「妖女さま、焦げ臭いというのはどういうことなのでしょうか?」' ドメスティック・フラワーズ ' の一輪は意を決して聞いてみた。


「そうねぇ、うーん、焦げ臭いは焦げ臭いとしか言いようがないわねぇ......」


「焦げ臭いにも良い"焦げ臭い"と悪い"焦げ臭い"があるの。災害や戦禍で街が燃える匂いは悪い"焦げ臭い"。よく熟成されたチーズが焦げる匂いは良い"焦げ臭い"よ。」と妖女は言った。


「そうでございますか。"焦げ臭い"にもいろいろ種類があるのですね......私達は匂いというものが分からないものですから......」


「それはそうと、さっきこの辺りだけ曇天のようになっていたように見えたが、雨でも降ったのかしら?」


「はい。先程、空がとても暗くなりましたが、雨は降りませんでした。」と' ドメスティック・フラワーズ ' の一輪が答えた。


 曇天というのは〈ダトゥル・ドゥ・ジョサ〉の表出のことであるが、ドメスティック・フラワーズは本当のことは言わなかった。妖女はこの家の主人ではあるが、彼女たちの主人というわけではないのである。よって別段、本当のことを言う必要性は彼女たちにはないのである。


 妖女は「そう」とだけ言った。


 妖女は家のドアを開けると、「さあさ、皆さんお入りくださいな」と言った。"焦げ臭い"匂いは家の中から漂ってくる。


「ところで妖女よ、あたいはあんたのこと何と呼べば良いのだ?」と〈幼女〉朝顔は聞いた。


「妖女でいいわよ。あたしは自分の名前を決して言うなと言われているし」と妖女は言った。


「名前を言うなとはどういうことだ?」


「さあ、あの方がそう言うの、ほんと困ったことなのだけど......」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ