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閑話1 初めての

前話の続きでゲームシーン書いてたら長くなりすぎました。

ストーリー進行に関わる部分はないので閑話扱い。

「二人だから最初には良かったかもな」

「そうですね。知らない人がいると少し緊張しますから」


 三人パーティーのゲームだが、マッチングの都合かゲームが落ちたとかのトラブルかはわからないが、香坂の初戦は俺と二人でのマッチになった。デュオのあるゲームでも良かったが、香坂が一番練習していたのがこのゲームだったのと、今なら一番マッチングが早いと思うので、これにしたわけだがたまたま二人になれたのは運が良かった。


 いきなり激戦区に行くのは厳しいので降下を遅らせて過疎地に行く。周りにほかのパーティーが来ていないことを確認して物資を漁り始める。


「今は敵がいないからゆっくり漁って大丈夫だけど、近くに敵がいる時は武器と防具を優先的に漁って。手に入れていないうちに攻撃されると逃げるしかなくてそのままやられる可能性が高いから」

「はい。両方ありました」


 過疎地というのはいろいろ理由はあるが、物資が少ないからあまり人が来ないことが多い場所が多い。ここもそういう場所なので揃うからどうかわからなかったが、最低限は揃ったので上出来だろう。

 次の安全圏までは距離があるので早めに行動しないといけない。持てるものだけとりあえず持って移動を始める。途中でアイテムを拾いつつ進んでも、早めに動き始めたので時間には少し余裕がありそうだ。


「見渡しが良いところとかは敵が見張っている可能性もあるから気をつけて」

「は、ひゃう!?」

「こっち来て」


 パシュンと弾が地面に当たる音が聞こえたと同時に香坂の体がびくっと跳ねる。慣れないと驚いてしまうのは仕方がない。トレーニングモードだと相手がいなかったので、自分が銃を撃たなければ環境音しかなかったわけだし。

 なんとか段差に隠れて、椅子に座りなおした香坂がプルプルと震えてうつむく。現実で驚いてしまったのは恥ずかしかったのか、髪の隙間から見える顔は少し赤くなっている。

 着弾音しか聞こえなかったので、撃ってきた相手はかなり遠くにいるだろう。射線さえ切っておけばわざわざ詰めてくることもないだろうから、香坂が落ち着くまで少し待つ。


「と、取り乱してすいません」

「いきなりだったから仕方ない。俺だって隠れている相手が急に出てきたらびっくりするし。まあ、驚いてもキーボードとマウスからは手を離さないようにな」

「はい。気をつけます」


 今回みたいな遠距離なら逃げる相手に連続であてられる人はそんなにいない。スナイパーだと連射が効かないし、それ以外の武器なら倒しきるまであてるのはきつい。逆に言うと、止まってしまえば、上手い人なら倒し切られる可能性はある。


 まだこっちを見張っているかわからないが、一応少し遠回りをして移動を再開する。中盤に差し掛かってきたので、そろそろ敵を倒さないと物資の差がきつくなってくる。物資が少なくても、最後に漁夫の利で勝てることはあるが、可能性としてはかなり低い。ある程度は揃えておかないと、相手が複数人だと奇襲だけでは倒しきれない。


「ひゃっ!?」

「向こうで戦いあっているみたいだな。勝てるかはわからないが、通り道だし近づいて狙えるなら狙いにいこう」

「は、はい」


 銃声が鳴りやまないうちに狙える位置まで移動したい。銃声は二か所から聞こえるので撃ち合いは続いているはず、片方が全滅しかけるくらいで横から参戦できれば最高だが、香坂がいるので安全行動でいくしかない。


「今、そこの建物を出たところと、あっちの岩場で撃ち合っている。向こう側は二人ダウンしているから、俺たちは手前のグループを攻撃する」

「はい。がんばります」

「装弾数の多い武器だから、敵が見えたらしっかり狙わずにだいたいで撃ち始めたらいいから」

「わかりました」

「撃ち返されたら引くことを意識して。倒しきれそうなら攻撃しても良いけど、基本的にはダウン取られないように引いて」


 生きていればそれだけで相手は警戒しないといけなくなるから、無理にダメージを与えに行くよりは撃って引いてを繰り返している方が良いこともある。


 銃を持ち建物の陰に移動する。劣勢だった方のパーティーが一人ダウンから起こして下がり始めている。ここで俺たちが出て行ったら向こうはそのまま逃げるか、戻ってきて倒し切るのを選択するか。どちらにしろ、目の前の敵には勝たないと意味がない。

 回復を使用する音が聞こえてきたので、回復しきる前に弱っているところを突きたい。すぐにドアを開けて攻撃する。


「一人落とした。建物を挟んで二人いるから気をつけて」

「わ、あわわわ。ぜ、全然あたらないです!」


 トレーニングモードと違ってゆっくりと狙う暇なんて中距離くらいの戦闘ではない。相手だけでなく、自分も動いているので、縦と横の両方を調整しながら相手の動きに合わせて撃たないといけない。わたわたとしながら撃った弾は全然相手にあたっていないが、それでも相手の意識はそっちに向いている。

 建物の中を通り、サブマシンガンで横からごり押す。一人倒し切ったところで弾が切れたので銃を持ち替えるが、その少しの時間が相手に反撃する余裕を生み出す。


「やった! あたりました!」


 香坂の一撃が、わずかにダメージ量で負けていた分の差を埋めてくれた。あと一発くらっていたらダウンしていたが、なんとか耐えきったのですぐに回復を使用する。


「詰めてきてはないようだな。欲しいアイテムがあったら拾っていいよ」

「弾をいっぱい使ったので弾をもらいますね」

「あとこっちの装備の方が強いからこれも使って」

「ありがとうございます」


 アイテムを拾って一旦建物の中に入る。初の戦闘で勝てたのは運が良かった。完全に後ろから奇襲できたおかげだが、不意打ちでも勝てば良いのだ。


「全然あたらなくて焦りました。動かれると狙えないですね……」

「最初はそんなものだよ。落ち着いて撃てるようになるまでは何度もやって慣れるしかない」

「そうですね。練習が必要みたいです。でも、バタバタしてるのも楽しかったです」


 撃ち合いがうまくいかなくても、楽しめたなら良かった。うまくいかなくて苦手意識を持ったりすると、そのままやらなくなったりする人もいるから、楽しめたというのは良いことだ。


「次もがんばって戦います!」

「次はキルとれるといいな」

「うっ……がんばります」

これだけの描写で椿が使っている武器と元ネタ(?)がわかる人は立派なファン

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