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服装には気をつけて

自作PCのすすめ

「……はしくん! 倉橋くん!」

「ん……」

「おはようございます。ケース届きましたよ」

「もうそんな時間か……じゃあ、やるか」

「はい! ちゃんと動画も見ておきました」


 目を開ければ、俺の顔を覗き込んでいた香坂がぎゅっと胸の前で握りこぶしを作りやる気を見せる。

 結局、すぐにパソコンのパーツを買いに行き、そのまま寄り道をすることもなく帰ってきたので十五時過ぎに家には帰ってきていた。ケースが届かないと組み立てもすぐにできる部分しか進めることができないので、香坂には組み立ての手順を説明してくれている動画を見てもらっていた。

 俺は普段外に出歩くことが少ないのと、香坂と一緒ということでいろいろ気疲れしたのか、ゆっくりしているうちに眠ってしまっていたようだ。外を見れば、十一月だから日が沈むのは早くなっているとはいえ、すでに暗くなってしまっている。ずり落ちてしまってはいるが膝のあたりには大きめのひざ掛けが置かれているので、寝てしまってから香坂が掛けてくれたのだろう。こんな柄のひざ掛けなんて家にはなかったはずだし。


「ひざ掛け持ってきてくれたのか。ありがとう」

「少し肌寒かったので。探しても見つからなかったのですが、タオルケットとか薄めの毛布とかないんですか?」

「そんなものはないな。寒いときとかは上着とか被って寝てるから」

「倉橋くんらしいですが、これからの季節はあった方が良いですよ。そのひざ掛けはあげますので使ってください」

「いいのか? くれるなら有難く使わせてもらうけど」

「私もここにいることが多いので、これから寒くなってきたら毎日持ってくるよりはこの部屋にあった方が便利ですので。自分用にももう一つ持ってきているので二枚とも置いといてください」

「それはいいけど」


 俺の家に来るのをやめるという選択肢は無いのね。そういえば、香坂の家に行くのはさすがにダメかなと思ったので、この家でパソコンの組み立てはやるつもりでケースもこっちに届くようにしたが、まさかパソコンをここに置いておくつもりなのか?

 今使っている机は大きいので、俺がモニターを二つ置いていても、その横で香坂がノートパソコンを使ってゲームをしていたくらいにはスペースがある。デュアルディスプレイでサブとして使っていた方のモニターを貸そうと思っていたから、使うスペースはデスクトップパソコン本体の分だけだ。光るのが見えないが机の下に置くか、モニターの裏側になるが机の奥に置けばスペースはどうにでもなる。

 教えながらゲームをするには良い環境だが、本当にここでするつもりなのだろうか。買ってきたパーツを袋から出して床に並べ始めた姿を見ると、今更そんなことを聞けず口をつぐんでしまう。


「まずは静電気対策でしたっけ?」

「一応な。箱から出すのは先にしておいても良いけど。マザーボードはさらに静電気防止の袋に入っているからそのまま取り出しても大丈夫。CPUは中の小さいプラスチックのケースに入っているし」

「あ、本当ですね。これが説明書ですか。こっちがなにかのネジで、これがケーブル、いろいろ入ってますね」

「そのかなり小さいネジは使わないし、そのケーブルは一本だけで良い」


 マザーボードは付属品がいろいろ入っていることが多いからな。今回は安めのやつを買ったから少ないが、最上位のだとキャプチャ―ボードやUSBメモリーなんかも入っていたりする。

 今回はとりあえずSATA接続のSSDを一つだけしか使わないので、使わないものは箱の中にしまっておく。


「CPUってこんなに小さいんですね。箱が大きいからもっと大きいのかと思ったらクーラーが一緒に入っているから箱が大きかったのですか」

「CPUも上位のやつだとこれの数倍のサイズのものもあるけどな」


 コア数とか多すぎるても持て余すだけだし、ゲームとかだと使えるコア数がゲーム側で限られたりするからクロックの高いものの方が良かったりするし。今回はCPUクーラーが付属しているものを買ったから、付属のものを使用する。オーバークロックをせずに、普通にゲームをするくらいならこれでも問題ない。動画のエンコードとかで高負荷をかけたりすると発熱が凄いことになるが、必要になれば良いクーラーを買えば良い。


「じゃあ、始めるか。一応気になるなら静電気対策しとく?」

「そうですね。すぐにできることはしておいて損はないでしょう」


 普段自分のパソコンをいじるときはほとんど気にしないから静電気対策グッズなんてものは持っていないが、金属の棒とか握るだけでも効果あるんだっけ?


「って。ちょっと待って! ストップストップ!」

「はい? どうしたんですか?」

「なにしてんの!?」

「服がこすれて静電気が発生することもあるって動画で言っていたので、ブラウスはゆったりしていてこすれるので脱いでおこうと思いまして」

「いや着てていいから! むしろ着ていてください!」

「そうですか? じゃあ着ておきます。静電気大丈夫ですかね?」

「そこまで気にしなくて良いから。椅子の脚の部分が金属だから、触る前にそこを握っておいて」


 言ってることは間違ってはいないけれど、もっと考えることが他にもあるだろうが。ブラウスの下に何も着ていないというわけではなかったから良いのかもしれないが、体のラインがくっきりとわかるぴったりのTシャツ姿で目の前にいられるのはさすがにきつい。さらに、そのTシャツが無地の真っ白の少し生地の薄いものだというのがたちが悪い。白いシャツから透けるピンクの下着が脳内に焼き付いて離れない。

 ……大丈夫。あんなの妹で見慣れてるだろ。それと一緒だ。変に思うからダメなだけで、気にしなければどうってことはない。いや、普通気にするだろ。


「……じゃあ、最初はマザーボードを袋から出して。ちょっと部品のでっぱりとかでしっかり持つと痛かったりするから気をつけて」

「ふー、これがマザーボードですか。ここが光るんですね。すごいなー」


 素が出てるのでそれは隠しておいてもらえませんか。そのままいられると俺の心臓が持ちそうにない。


「まずはCPUをマザーボードに。ピンを折らないように位置を合わせて置くだけで良い。で、その次はCPUクーラーをネジ穴に合わせて置く。新品だからグリスが最初からついてるから接触部分は触らないように」


 動画を先に見ておいたおかげもあるのか、スムーズに作業を進めていく。真剣にやっているので、返事は「はい」と短く言うか頷くだけだが、そのおかげで俺も落ち着くことができた。

 ドライバーでCPUクーラーのネジを締めて香坂が息を吐き出す。クーラーがしっかり止まっているか確認するためにCPUクーラーのファン部分を掴んで持ち上げるが、しっかりマザーボードごと持ちあがり、ぐらついた様子もない。


「問題ないな。次はメモリだからそこの二個目と四個目のスロットの端についてるレバーを下ろして、切込みの位置で向きを合わせて押し込む」


 メモリを押し込むと、カチッと音が鳴ってレバーがもとに戻る。それを二本ともやれば終わりだ。


「じゃあ、次はケースにマザーボードをつける。このケースはもともとこのサイズのマザーボードに合わせた位置にスペーサーがついてるから、そのまま位置だけ合わせて置いて」


 I/Oバックパネル一体型って楽だな。あれ取り付けるの意外と面倒なんだよね。


「こうしてセットすると達成感がありますね。この白いケースも可愛いです」

「これからが一番面倒なんだけどな。まあ、拘らなければそこまでしんどくもないけど」


 電源のケーブルの裏配線に関しては好みだから、普通にやるか隠せればよいって考えならそんなに大変ではない。一旦香坂が休憩がてら飲み物を取りに行ったので、その間に電源とSSD、グラフィックボードを持ってきて取り付けるだけはしておく。


「パソコンの組み立ても、やってみると意外と簡単なのですね」

「こういうシンプルな構成ならな。拘ればこだわるほど大変にはなるから、最初はこういうので慣れる方が良いと思う」


 本格水冷は俺もやったことがないし、使うパーツが増えればそれだけやることも増え、相性だったりつける位置だったりと考えることも増える。


「後はケーブルをつけていくだけだからささっと終わらせるか」

「はい。指示をお願いします」

作者は自作した2台ともryz〇nです。

( ゜∀゜)o彡°A〇D!A〇D!


まあ、どっちでも良いのですが。好みと値段とやりたいことで決めるのが一番。

自作をするときの服装も手袋も道具もパーツのメーカーも結局は好み。


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