はじめてのぶちゅー…無し無し、今の無し!
おネエ悪魔のアモーネと契約してしまいました…しかもその内容が『文香とキスすれば、男に戻れる(時間制限付き)』なんて…
トンデモ悪魔の口車に乗せられてしまった、というやつですよねコレ…
ともあれ、先ずは本当にそうなるのか、試さなくてはなりません(じゅるっ)
とりあえず、文香を見つけないと…
━━どうして。
━━何故に。
━━何があった!?
「文香がどこにもいない…」
そうなのです。こんな時に限って、文香が見つからないのです…
「文香ぁー!どこだァーッ!?(チューさせろー!)」
いつもなら勝手に寄ってきてイチャつこうとしてくる文香が現れないのはおかしい…不自然すぎる。
そう言えば、昨日契約してから、文香を見ていない気がする。
━━今朝、先に学校に行ったらしく、顔すら見ていない。
━━学校では姿を見ることなく帰宅した。
━━そして、今…まだ文香は帰宅していないらしい。
「アモーネ…いる?」
今、胸の内にある疑問。それを確かめるには…
『あら、どうしたの?』
おネエ悪魔、アモーネがあたしの前に現れた。
「もしかして、なんだけど」
あたしはストレートに聞くことにした。
「文香にあたし達の契約、バレてない?」
アモーネは悪びれる様子もなく頷いた。
『みたいね…アスタルのバカちんってば、アタシ達のことずっと見てたみたいよ…むっつりスケベなヤツよねぇ〜』
いや、そんな簡単な言葉で終わらせますか!?それじゃどうしようもないじゃ無い!
「それじゃ契約の意味まるで無くない?って言うよりも…」
あたしとアモーネは息を大きく吸い込んで…
『「それって、ちゃぶ台返しなんじゃねーの!?」』
同時に叫んでいた。
『そうよね〜、コレは由々しき事態よねッ!!』
アモーネはそう叫ぶと…
『ちょっと、アスタル!アタシ達の契約の妨害は充分に規約違反に当たるわよ!』
あたしの背後を指さして叫んだ。
「えっ!?」
振り返ると、そこには執事服を着こなした、美形の悪魔が立っていた。
『失礼、妨害など致すつもりではありませんでしたが…』
執事悪魔はあたしに向かって優雅に一礼すると、
『お初にお目にかかります。私めは文香様とご契約頂いておりますアスタル、と申します。以後お見知り置き下さいませ。』
「あ、ご丁寧にどうも…」
思わず頭を下げてしまう。
『騙されちゃダメよ。コイツはこう見えて色欲と傲慢の悪魔だから』
アモーネがアスタルを見もせずにあたしに話してくる。
『コイツ、謙って見えるけどね、実は相手のことバカにしてんのよ…』
当のアスタルは顔色ひとつ変えずに立っている。
『バカにしている、というのは語弊がございます。正確には、尊敬に値されない方々が多数おられる、と言った所でございましょうか…』
ああ、アモーネの言葉の意味、わかったわ。
「まあ、今はそんな事どうでもいいから…文香にあたし達の契約、話したよね?」
あたしの質問にアスタルは丁寧なお辞儀と共に口を開いた。
『確かに、文香様にはお話しさせていただきました。』
やっぱり…
『ですが、そちら様の契約に於ける"条件"については分かりかねましたので何も申し上げてはおりません。』
あ、そうなの?じゃあ文香がいないのは…?
『どうやら、文香様に今、【彼奴等】が接触している様なのでございます』
「【彼奴等】って、誰なの?」
あたしの質問にアスタルは嫌悪の表情を僅かに浮かべつつ答えた。
『我々と人間との契約を妨害する五月蝿い虫けら…』
それって…
『あの忌々しい【天使】共ですよ。』
━━今度は天使かい…ε=(・д・`*)ハァ…
更に登場人物(?)は増えます。今度は天使が絡んできます。もちろん、普通の天使では無いみたいです…