【妖魔】の【干渉】・・・では無くて、【幼魔】の【観光】でした。
今だに身体を震わせている異世界の【妖魔】・・・にしては、随分と小さい、というか幼いというか・・・
『それで?アンタの本当の目的は何?アタシ達にイタズラする為だけにわざわざ次元を越えたりはしてないわよねぇ?』
アモーネが一歩引いた位置から問いただす。
『あの・・・実は、単なる観光が目的で・・・その、イタズラは今"流行"なんですぅ・・・』
━━流行のイタズラ・・・!?
全員の目つきが鋭くなり、小さな【妖魔】・・・もとい【幼魔】は更に小さくなった様に見えた。
『こ、この"記録魔石盤"にその映像を記録して・・・"感覚情報域"に公開するのが流行でして・・・』
アモーネの額に小さく、だがハッキリと血管が浮き出た。
アスタルの瞳が紅く変わった━━無表情のままで。
愛瑠が懐中時計を机に置き、コキっ!と首を鳴らした。
【魔王】は素知らぬ顔でお茶を飲んでいる。
『ところで、お嬢ちゃんのお名前、聞いてなかったわね?』
アモーネが作り笑いの表情を崩さずに問いかける。
『あ、あの・・・どうして今、名前を・・・・・・』
アモーネの質問に質問で返してしまう【幼魔】に・・・
『無論、墓碑銘を刻む為、ですよ』
丁寧に、ややゆっくりと応えるアスタルが滅多に見せない笑顔を【幼魔】にむける。
じりじりと三人が無言で【幼魔】を囲い、その距離を縮め始めたとき━━
『すまないが、お仕置きは少し待ってもらえるかい?』
唐突に割って入る妙に凛とした声が三人の足を止めた。
愛瑠がビクッとして震えながら振り返る━━
『創造神様!?』
いつの間にか、長身で美形、均整のとれた肢体の青年然とした男が立っていた━━フリフリの白いワンピース姿で・・・
腰まで届く長い金髪をサラリとかきあげながら、その【変態神】が三人へと近づいていく。
『その【幼魔】は、きちんとした"次元旅行者"だから、その程度の"悪戯"で処分する事は出来ないんだよねぇ・・・』
そして、震えている【幼魔】の前に来ると、
『念のために"多次元間渡航許可証"を見せて貰えるかい?』
差し出された手にポケットから出した小さなカードを渡す【幼魔】・・・
それを受け取り、手をかざして何かを読み取る【変態】━━
『うん、確かに確認したよ。"次元渡航の法規"に従い、ここからのキミの身の安全はボクが保証しよう・・・【魔王】、イイよね?』
【魔王】に笑顔を向け、無言で頷く【魔王】を確認して三人に声をかける。
『と、言う訳でお仕置きはココまで・・・分かったね?』
柔らかく、絶対に逆らえない響きの声でそれだけ言うと、【女装神】は【幼魔】を立ち上がらせた。
『ところで、"観光"ならば悪意がなかったとしても、だ』
【幼魔】に顔を近づける【創造神】。
『他次元に於ける不干渉は守らなくてはいけないよね?キミは幾つかの事象に於いて干渉してしまっているから、"次元管理局"に報告させてもらったよ。暫くは他の次元に移動できなくなるからね』
その言葉に、【幼魔】が愕然として膝をついた。
『マジっすか・・・?帰ることも出来ないっすか・・・?』
ガックリと項垂れる【幼魔】を余所に・・・
「ただいまぁー!」
真琴達の帰宅を告げる声が玄関に響いていた━━




