第二次聖魔対談:ただのお喋りだと思っていたのは【天使】だけでは無かった筈だ。
頭を擦りながら上目遣いに睨むアモーネを余所に、【魔王】はアスタルに顔を向けた。
『さて、ここ迄は本当にただのお喋りなのじゃがな・・・』
そして、愛瑠に視線を戻す。
『時に【天使】・・・他の者に知られずに【神】に今すぐに渡りをつけられるか?』
その一言に場が凍りついた━━突然、【魔王】が【神】に会談を求めたのであるから、尋常なことでは無い━━
『え?その・・・私が直接、というのは難しいと思います。が、直ぐに連絡をとれる者ならば呼べますが━━』
愛瑠の困惑気味の答えに、【魔王】が少し考え込む━━
『出来るだけ関わる者は少ない方が好いのだがな・・・仕方あるまい、その者を呼んでくれぬか?』
これも尋常なことでは無い・・・【魔王】が【天使】に頼み事をしているのだ。
『えっと・・・お姉さま・・・!?』
愛瑠がアモーネの方をうかがった・・・
『どうやら只事じゃないみたいね・・・ミカを呼ぶんでしょ?イイんじゃない?』
愛瑠は頷いて、魔石の付いた懐中時計を取り出した。
『"ミカ兄様・・・ミカ兄様・・・"』
『"━━やあ、珍しいな、愛瑠君・・・だが、この回線は緊急事態用なのは十分に理解しているだろう?"』
見返の声はのんびりしている様ではあったが、勿論それは相手を落ち着かせて正確な情報を得る為の方便である。
『"兄様・・・実は、【神様】とお話をしたいと云う御仁が居られまして━━"』
愛瑠が少し言いにくそうにしていると、連絡装置であろうその懐中時計を【魔王】が無造作に奪い取った。
『"あー、聞こえるか?余は【魔王】である。声に"魔力"を付与しているから分かるな?"』
一瞬、息を呑むような音がして、しばらく応答は無かった・・・
『"確かに、【魔王】のようですね・・・一体、何が起きているのですか?"』
見返の問いに【魔王】は一言だけ応えた。
『"異界からの"介入"が起きている、と【神】に伝えろ。それで分かる筈だ━━"』
無造作に放たれたその一言に、全員が凍りついた━━
『ちょっと、るーしぃ・・・それ、事実なの!?』
【異界】からの"介入"━━それは、聖魔大戦等とは比べようもないほどの世界の危機・・・
『"成程━━それは由々しき事態ですね・・・直ぐに連絡を取ります。愛瑠、貴女はそのまま連絡係としてその場に待機していて下さい・・・一度回線を切りますので━━"』
そして、声が途絶えた━━
『今のうちに少し話を聞かせてもらえるかしら?』
アモーネが【魔王】に向き直る。その表情はいつもの飄々としたものではなく、緊張に満ちたものに変わっていた。
『よかろう、お主たちには働いてもらわねばならぬであろうからな・・・』
そして、【魔王】が【人間界】に現れた本当の理由が語られ始めた━━




