僅かな希望(のぞみ)は薄氷よりも薄っぺらなおネエでした。
そんなこんなで数日が経過して━━
毎日のように文香には風呂を襲われ、寝ようとするといつの間にかベッドに潜り込んでくる始末…
「あたしはノンケなのッ!!普通の女の子が好きな健全な青少年なんだからね!」
そう力説しているあたしにジト目を向ける文香。
「お姉ちゃんが女の子好きだって言うならノンケじゃないじゃん」
Σ(´□`;)そっか、女の子になってるんだ、あたし…
このままでは文香とふたりで『ガチ百合姉妹』確定になっちゃうじゃん!?
「このままじゃきっと、そうなっちゃうよねぇ…」
ダメ!それじゃーダメでしょ!何とか男に戻る方法を探さなくちゃ…
『お手伝いしてあげよぉ〜かぁ?』
━━不意に頭の中に響く声━━?
「誰ッ!?」
ソイツは突然目の前に現れてた…腰まである長い髪、真っ赤なベストに長袖のフリルのシャツ…切れ長のややつり上がった目、大きめな口に真っ赤な口紅…?
「あんた、誰?…ってか、あんたオトコだよね!?」
目の前にいたのは…美形だけど女装したような…おネエ系の悪魔でした。
『アンタのその希望、アタシが叶えてあげてもイイわよ〜』
「まさか、あんたが文香と契約した悪魔!?」
どこが執事みたいな美形悪魔だって!?まるで違うじゃん!?
『あ、それは違うヤツよ』
やっぱそうだよね〜この人、もとい悪魔、どう見てもおネエだもんね…
『そもそも、契約中の悪魔は他の人間とは契約出来ないのよ〜』
ふーんそうなんだ…
『どうしてアタシが現れたかって、今疑問に思ってるわよねぇ?』
「まあね…」
『何か薄いリアクションね〜…ま、いいわ』
しなしなと怪しげなポーズをとりながら、悪魔は薄笑いを浮かべてる。
『アタシとしてはね、アンタの元の姿がイケてると思ってたのよ…なのにアスタルのバカちんがそんな姿にしちゃったもんだからさ…』
と、言うことは元に戻る事が出来るってコト?
『悪魔の契約によって変えられたモノは戻せない…でも、どんなモノにも例外は存在するの』
「例外?」
ニヤッと、文字通り悪魔的な笑いを浮かべて悪魔は言った。
『アタシと契約しなさい。完全には戻れなくても、戻る為の"条件"を与えてあげるわ』
「いや、それはいいや」
カクッ、悪魔がこける。
『ちょっとぉぉぉぉ!せめて話くらい聞いてから決めてもいいじゃない〜』
だって、そんな事したら魂持ってかれちゃうやん!
『あー、アンタも勘違いしてるクチなのねぇ…』
額に手を当てて、ゆっくりと首を横に振る悪魔。
『まずは色々と説明する必要があるみたいね…』
どうやら、思ってたような事にはならないみたい…なのかな?
『いいわ、"悪魔との契約"について話してあげるから、契約するかはアンタが決めなさい』
━━そして、意外な話が悪魔から聞かされることになりました…
花粉症です。とても執筆どころじゃ無いくらい花粉症です。何ともはや…