瘉のてーきほーこく!
文香ちゃんと大事な"口約束"を取り付けて3日・・・
『そろそろ"アレ"しないといけないんだよねぇ・・・』
そう、ウチら【天使】に課せられている"義務"の[定期報告]をしないといけないのです。
『正直、"口約束"だけだと弱いんだよねぇ・・・』
ウチに課せられた本当の使命、【悪魔】を【天界】の味方につける事━━
『やっぱり、"おねぇ様"の協力も必要だよねぇ・・・』
そう、報告として上げるには、【堕天】の真琴おねぇ様の協力を取り付ける位しないとね・・・
『そうと決まれば・・・』
ウチは真琴おねぇ様を探して学校の中をウロウロしてみたけど、何故か今日に限っておねぇ様は見つからなくて━━
『何でぇ・・・?』
文香ちゃんも見つからないし、どうしよう・・・うう、負けるなウチ・・・
「瘉、あたしを探してたんだって〜?」
ひょっこりと真琴おねぇ様が目の前に現れて・・・はい、今おねぇ様に見つけてもらいました・・・
『おねぇ様にお願いがあるんですよォ〜』
とりあえず、ちょっと甘えた口調ですり寄っていく。すりすり・・・
「ちょ、ちょっと何なの!?」
驚いてるおねぇ様をそのまま引っ張るようにして連れ出す。
(『大事なお話があります、アモーネさん達に聞かれたくないのです』)
小声でそう言って、ふたりで学校を抜け出して街に向かって歩き出して━━
「それで?どんな話なの?」
いつもの喫茶店では無い甘味処でおねぇ様が話を切り出してくれました。
『おねぇ様は愛瑠とアモーネさんの事をどれ位聞いてますか?』
まずは、聖魔大戦を知っているかどうか・・・そこから確認しないといけないよね?
「それって、何で愛瑠がアモーネに懐いてるのかってコトだよねぇ・・・」
そのおねぇ様の様子を見れば分かります。すでに知ってるんですね・・・
『実は、【天界】には愛瑠のした事が知られています』
ピクリ。おねぇ様の肩が揺れた。やはり知っていましたね・・・
『大丈夫ですよ、その件で愛瑠に罰が下る事は有りませんから』
少し訝しげなおねぇ様・・・その何処か物憂げな表情もステキな━━
『(。゜ω゜) ハッ!・・・そ、それでですね・・・』
ウチはおねぇ様に自分が【人間界】に来た本当の理由、【天界】からの指示について話しました━━
『と、言うわけです』
おねぇ様なら、あの二人を見てきたおねぇ様ならきっと━━
「瘉、その話を愛瑠にした?」
思いもよらない反応。決して悪い話では無いはずなのに、どうしてそんなことを聞くんですか?
「まずは全部、包み隠さずに愛瑠に話しなさい・・・アモーネにも」
え?いや、そんな事したら━━
「本気で味方につけたいなら、本気で信じてもらえなければいけない」
おねぇ様の言葉は頭では理解できる。
「だったら、まずはあんたが本気で相手を信じなさい」
でも、相手は【悪魔】━━
「信じることも出来ない【悪魔】を味方につけたいなんて寝言は寝てから好きなだけ言いなさい」
そう言って、おねぇ様は伝票を持って席を立ってしまいました。
『あっ、おねぇ様待って━━』
そのまま、おねぇ様は店を出ていってしまって・・・
『どうして?どうしてこうなるの・・・?』
【天界】からの指示は、"間接的に該当の【堕天】達を味方に引き入れること"なのに━━
ガックリと肩を落として店を出ると、おねぇ様が店の前に立っていました。
「まあ、アモーネの事だから、まともに話しても聞くわけ無いからね・・・」
おねぇ様がウチの肩にぽん、と手を置いて・・・
「あたしがするのはあんた達が敵同士にならないように手伝うだけだからね」
ああ、やっぱり、おねぇ様はステキな人でした━━
『はい、ウチ、頑張ってみます・・・信じてもらう為に信じてみます』
目に浮かんだ涙でよく見えなかったけど、おねぇ様は微笑んでくれているみたいでした。
━━[定期報告]━━
該当の【堕天】は非常に気紛れな性分であり、直接的な懐柔は効果が薄いと思われる。
目的達成の初段階として、【天界】若しくは【天使】に対して"敵対しない"方向性に誘導する方針に決定。契約者の協力も見込み有り。
後の経過は状況の確定時に追って報告する。




