やっちまったモンは仕方ない、それよりもどうお茶を濁すかだ。
━━ただいま、絶賛苦悩中です。勘違いから身についてしまった"異能"という特殊な能力・・・そう、もうお分かりですよね?
この"異能"の呼称を何にしようか、これが今抱えている難問なんです・・・
『そうね〜"衣装室"なんてどう?』
いきなりアモーネからナイスなアイディアが出ました(ノ∀`)タハー
「それ、イイかもね〜、でも、まんますぎない?」
どうせならもっと小洒落た呼称にしたいよね〜
『んー、それもそうね〜』
アモーネは本気で考え込んでいるみたい・・・
あたしも何か浮かばないか、考えていた・・・すると、
『おねぇ様〜どうしたんですかぁ?』
愛瑠と瘉が部屋に来た。
「あのね〜あたしの"異能"の呼称を考えてるのよ〜」
『あ、マコ!?何喋ってんのよ!!』
アモーネがめちゃくちゃ慌ててあたしの口を塞いだけど、遅かった。
『"異能"を与えたんですか・・・!?』
愛瑠の目付きが変わった・・・瘉も顔色を変えている・・・
『そんなコトしたら・・・【天界】が黙っていられなくなるじゃないですかぁ!!』
愛瑠が悲鳴に近い叫びを上げる。
アモーネは愛瑠達をじっと見つめた。
『アンタ達が報告いれなければ大丈夫よ〜♡』
そして、サラッとそう言ってのけた。
『いやいや、そういう問題じゃないですよ・・・』
愛瑠の顔はもう真っ青になっている・・・どうやら、相当まずいことを言ってしまったみたいだけど・・・
━━(相当、と言うよりも最悪、と申し上げた方がいいかも知れません)
アスタル!?最悪って・・・!?
━━(【悪魔】から"異能"を与えられるという事は、ただ一つの目的の為がある場合なのです)
まあ、勘違いだったとはいえ、仕方なかったわよね・・・
━━(ところが、勘違いでは済まされないのでございます)
ああ、そっか・・・【神様】には勘違いとか分かんないもんね・・・
━━(はい、つまり今回の件は【天界】への敵対行為と認識されてしまうのです)
それって、【天魔戦争】が起きかねないって━━!?
━━(その通りでございます)
これは何としてもふたりの口を塞がないとイケないって事だよね!?
━━(はい、左様でございます)
「よし、ふたりをずっとチューさせておこう!」
コレで解決( *˙ω˙*)و グッ!
━━(そういうコトではございません・・・お分かりですよね・・・?)
あはは、やっぱダメ?
アスタルとそんな精神交信をしている間に、アモーネが愛瑠達に今回の顛末を話して聞かせたらしい・・・
『そんな・・・ウチのせいでそんな事になってたなんて・・・』
瘉がショックを受け、愛瑠が困った顔をしている━━
『分かるわよね、愛瑠・・・コレを【天界】に報告すると、原因が瘉にあるという事も報告しないといけないわよね・・・』
愛瑠は無言で頷く。瘉の顔色は青からさらに血の気が引いて白くなっていた。
「だったら、この件はここだけの話にすればいいじゃない」
あたしは愛瑠と瘉の顔を見て言った。そう、ここだけの話にしてしまえばいい。ふたりは何も知らないし、もしこの"異能"がバレても、"契約"の時に付随したものとしてしまえばいい。
『瘉は勿論、私もそれがいいと思いますけど・・・』
「なら、それで決まり!!」
ビシッと指を突きつけてあたしは断言した。こういう時は一気に押し切るしかない!
『でも・・・』
「でも、とかしかし、とか・・・」
あたしはここで決めることにした。
「そんなのイイから!!コレはここだけの話なの!!それともあんた達はアモーネやあたし達と戦争始めたいの!?」
愛瑠はぷるぷると頭を横に振った。コレで解決できる。
『分かりました・・・』
愛瑠がそうつぶやき、瘉がほっとした顔を見せた。
「さて、と・・・」
あたしは愛瑠達にウインクして言った。
「あたしとアモーネはナイショの話があるからふたりは食堂でお茶でも飲んでてくれる?」
ふたりは頷いて部屋を出ていった。
「さあ、アモーネ・・・」
あたしはアモーネにとびっきりの笑顔を向けた。
「最高にお洒落な呼称、付けようね!」
アモーネが呆れたような顔であたしの顔を見つめていたけど、お構い無しにあたしは自分の"異能"の呼称を考え始めていた━━
「衣装交換ってどうかな?"お色直し"を英語で言っただけだけど」
『別に結婚式じゃないわよ?』
「そっか〜・・・んじゃ・・・」
『装飾祭典って、どう?』
「それだ!」
こうして、あたしの"異能"の呼称が決まったのでした。




