天使の『超』理実習
今日は調理実習。ってか、高校になってまさか『カレー』を作るなんて…
よし、どうせなら普通じゃない、スペシャルな『一皿』を作ってやろうじゃない!
「マコちゃん、気合い入ってるね〜」
同じ班のマドカが声をかけてくる。ふふふっ、実はあたしは『男』の頃から料理が得意…あたしにかかればまさに!『インド人もドッキリ!』なカレーを作ってみせる…いや、魅せる!
『うぅ…包丁、こわいですぅ…』
ここに"危険人物"がいる…
「まさか、愛瑠って料理とかした事…」
『全く無い、ですぅ〜』
だよねー、包丁を逆手に持ってじゃが芋の皮を剥こうとするのですぐに分かりましたよ、ええ。
「愛瑠…そっちで野菜を洗って。絶対に包丁を持たないで」
すごすごとシンクへ向かう愛瑠。ちょっと可愛そうだけど、美味しいカレーの為に今は耐えて…そして、愛瑠が野菜を洗い始めて間もなく━━
『きゃあっ!?』
ありえないシンクからの悲鳴…ゴキブリでも出たのかとシンクを向くと━━
「何で野菜洗っただけで水が紫色に!?」
確か、人参を洗ってもらってたはずなのに…シンクから紫色の水が溢れだしている━━
『どうして、でしょうか?』
いや、コッチが知りたいわ!何でそんな色の水が溢れだしているわけ!?
愛瑠…間違いなく"爆弾魔"なんだ…料理に関しては……
「あー、もうそこはいいから、とりあえずその水抜いて……」
それ位なら大丈夫、だよね?
『はい…』
ゴボゴボ…ズゴゴゴ…物凄い勢いで水が抜けているみたい。とりあえずは落ち着けそうなので、自分の調理に戻ろうとしたら━━
ズガバガボゴドドーン!!
『ぇぇえええ!?』
絶対に聞こえるはずのない爆音にギギギ…と音が鳴りそうな角度で首を向けると…
「愛瑠…何がどうなったらこうなるのか説明してくれる?」
シンクから紫色と緑色、そしてピンク色の水が噴水の様に吹き出してる…
『私にも分からないです…ふえぇ…』
あんたの異常発生値どんだけなの!?
「マドカ、噴水止めて」
「はぁい」
ぴたっ。マドカが何かしたらすぐに噴水が止まった…お見事ッス。
そして、愛瑠は隅っこで小さくなり、あたしは料理人モードで作り始めた━━
「よし、コレで…」
牛ひき肉でキーマカレーを作り上げて、サイコロステーキを乗せる。横には牛ハラミのデミソース煮込みを添えて…
「さ、愛瑠、食べようよ〜」
『はい、です…』
まだ元気の無い愛瑠を呼んで、出来たカレーを食べる。
『くすん、美味しい…』
「でしょ〜♡」
そして、食べ終わって…
『あ、お皿は私が洗います〜』
これなら大丈夫だよね?…よね?
ドンガラガッシャーン!!…何故か、マンガみたいな音を立ててお皿が飛び散っていた━━
「あんた…そこまできたら『神がかってる』よね…」
愛瑠はきっと『料理不可能体質』だよね……




