それはソレでアレなんですけどね〜
━━そりゃあもう、ワクワクしながら偽文香の事を待っていたのよ、真琴ってば。
折角、アタシとの"契約"で男に戻れる筈だったのにあの【天使】ってば、【悪魔】の手助けになるからって、わざわざ変身を解いちゃったのよ!?
しかもあの【天使】ってば、真琴を見つけた途端に目の色を変えちゃってさ、
『お、おねぇ様ぁ〜』
なんて言いながらデレまくったのよ!?ありえなく無い!?
もう、呆れたからアタシはそこで"遠視"のをやめちゃったんだけどね…
━━ウチ、初めは文香ちゃんのお姉ちゃんを『お兄ちゃん』に戻そうと思ったのよ…実はね、あの兄妹、かなりの【強魂】でね…天界でも結構なウワサになってたのよ。
なのにさ、よりによって【悪魔】に誑かされちゃってさ…まさか【堕天】にされちゃうなんて思いもしなかったわよ…
だから、とりあえず『お兄ちゃん』に戻してから【天使】との【折衝】に持ち込もうと思ってたんだけどね…
〔突然ですが、ご無礼を致します〕
うわ、この癇に障る声…
(何?【悪魔】が何の用なの?)
〔佐伯様、とお呼びさせていただきますがよろしいでしょうか?〕
(構わないよ。それで?)
〔私、文香様と"ご契約"頂いておりますアスタル、と申します〕
(知ってるわよ…今は忙しいから後にしてくんない?)
〔その『忙しい』ご用件についてのお話なのです〕
(…手短にするなら聞いてあげるわよ)
〔恐れ入ります。佐伯様は今、真琴様を元のお姿に戻そうとされているご様子ですが…〕
(それがどうしたってのよ!?)
〔佐伯様の目的は真琴様のご希望にも沿うものですが、問題なのはその手段なのでございます〕
(どういう事よ!?)
〔その方法は私の愚兄との"契約"を利用したものにございます…則ち〕
(【天使】が【悪魔】に手を貸す事になる、か…)
〔佐伯様はやはりご聡明な【天使】でございますね〕
(下手なお世辞は要らないわよ…コレは手を考え直さなきゃダメかぁ…)
【悪魔】の言うことを聞くのは癪に障るけど、確かにコレは上手くないよね…仕方ない、まずはそのままの真琴と話してみるか…
『まずは、ウチが元に戻らないとね…』
変身を解除して元の姿に戻して、と…
さて、真琴を探さなきゃ…誰かに聞いてみようかな…?
「え?小鳥遊さん?今なら教室にいるんじゃない?」
「あなたも真琴ファンなのね!?」
「後輩にもファンは多いもんねー」
教室か。急いで行かなきゃ…でも、すぐに分かるかな…?
━━すぐに分かった…廊下に人だかり、しかも女子ばかり…
「あ、今マコ様がこっち見た〜」
……そんなに人気あるの!?何者なのよ!?
人だかりをすり抜けて教室の中を見ると━━
『あ…』
何!?あの美少女はぁ!?まさか【天使】ですかァ!?
「ねえ、マコ…あの子もファンじゃない?見たことないけど、ウワサの転入生かな?」
「え?どこ!?」
こっちを向いたその顔を見た瞬間…
『お、おねぇ様〜』
ウチとした事が、腕に抱きついてしまった…
「だ、誰!?」
『カブねぇがお世話になってますぅ〜』
めっちゃ困惑した顔でウチを見るおねぇ様…素敵です……なんか、ウチこの人と離れたくないよォ〜♡
「あの…後で話を聞くから、家に来てもらえる?」
マジっすか!?
『行きます〜絶対に行きます〜!!』
ドンパチは起きません!(笑)いや、ある意味『百合戦争』は起きるかもしれませんが草




