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ちょ、ちょっと待って…これって『百合』なのぉ!?

そして、昼休みが来て━━

「お姉ちゃん、ご飯食べに行こー!」

文香が迎えに来て、とりあえず急ぎ足で教室を離れる。

「…で?どうだった!?」

文香が不安気に聞いてくるのに、無言で頷いてから答える。

「今、後ろにいるよ……」

「え"っ…!?」

そう、蕪梨 愛瑠はぴったりと後ろに着いてきていた…

「だって、この後…アモーネも来るよ、ね…?」

文香の言葉が終わらないうちに、アモーネが来てしまった━━

『はぁい、おふたりさん♡』

その姿を見た途端━━

『おネエ様ぁー!』

愛瑠さんが、アモーネに飛びかかり、思いっきり抱きついていた…

『な、何!?何なのこの娘ぉ〜!?』

ここまで狼狽えるアモーネさん…新鮮ッスよ…

『おネエ様だ、おネエ様だぁ〜♡』

尚もアモーネにすりすりしている愛瑠…

「アモーネってば、こんな可愛い彼女がいたんだぁ〜♡」

ちょっと羨ましげな文香を余所に、あたしはアモーネをじっと見る。

「どういう事なのかな?」

アモーネも困り果てているみたいだし…

「ちょっと愛瑠さん?何をされてるんですか?」

あたしの声に愛瑠さんは、ハッ!と我に返ったらしい。

『ご、ごめんなさい…久しぶりにおネエ様に会ってしまったので、つい……』

あの…愛瑠さん?あなた、【天使】じゃないんですか?

『アンタねぇ…幾ら敵対行為じゃないにしても、不意打ちすぎでしょ〜』

そんなアモーネの腕にしがみついたまま、愛瑠さんがニッコリと笑う。

『おネエ様は私の憧れなんですぅ〜♡』

はい?何を仰ってるのかまるで分からないですけど…

「【悪魔】にメロメロな【天使】って…」

何!?【悪魔】と【天使】って、敵対してるんじゃなかったの!?

『厳密には、敵対してるのよ…でもね、この娘は特別だから…』

「じゃあ、愛瑠さんは、やっぱり【天使】ではあるんだね…?」

アモーネは首を縦に降って、

『まあ、詳しいことは後で話すわね』

そう言いながら愛瑠を腕から引きはがそうとしている。でも、愛瑠はその腕をなかなか離そうとしない。

『んふふ〜、おネエ様だぁ〜♡』

この(える)の姿、どこかで見たことあるような…

同じ様にあたしの腕を離そうとしない文香を見ながらあたしは食堂に入っていった。

「おっ、マコちゃん!いつものにするかい?」

食堂のおばちゃんがニッコリと笑って声をかけてくれる。

「うん、そうしようかな」

「私も"お姉ちゃんランチ"にするー!」

文香がすかさず言う。

「はいよ、ナポリタン、ネギだく肉増しとポテサラー!」

途端に、食堂で一斉にナポリタンの注文が鳴り響き始める…

「ところで、文香?」

ご飯を食べながら、あたしは文香に聞いてみた。

「あんたと会ってた【天使】ってあの娘だった?」

文香は首を横に激しく振りながら…

「私に声をかけてきたのはイケメン風の【天使】だったよ?」

と、言うことは…【天使(える)】はただのアモーネの追っかけだって事なのかな?じゃあ、他の【天使】が現れるかも知れない…

━━〔いえ、そうではございません〕

「!?」

いきなり頭に直接響くアスタルの声。

━━〔その者こそ、おふたりを狙う【天使】に間違いございません〕

でも、この【天使(ひと)】は女の子だよ?文香の前に現れたのは男だったって…

━━〔ええ、確かに…恐らくはお気づきでないと思われますが…〕

何?何か困った事態が起きてるの!?

━━〔あの者は"男"でございます〕

「はあああああ!?」

突然大声をあげたあたしに視線が集中する。

「あ、何でもないよ…」

周りの視線を外しながら今の言葉を咀嚼する。

つまり、蕪梨 愛瑠は【オトコの娘】だって事…そして、おネエのアモーネにぞっこんだと…

「それって、百合なの?薔薇なの?」

なんかすっごいこじらせてるんじゃない?悪魔天使(コイツら)



だんだんと【天使】が壊れはじめてきました…いや、僕が壊れはじめてきたのかも知れませんね…( ゜∀゜)・∵ブハッ!!

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