遂に、ウワサの"アイツ"がやって来た…この人、だよね?
━━翌日━━
緊張を隠しきれない自分を落ち着かせ、あたしは教室で"転入生"を待っていた…
「皆さん、今日から転入生が入ります。よろしくお願いしますね」
担任がそう言いながら廊下に合図した。
((おおー!?))
入ってきたのは、見事としか言い様のない美少女。背中まである長い黒髪、零れそうなほど大きな瞳…華奢な体つきなのに出るところはきちんと出ていて…いや、お胸は少し・・・かなり残念だけど。
「蕪梨 愛瑠です。よろしくお願いします」
ぺこり。どことなく優雅なお辞儀に、皆も思わず頭を下げてしまったりして…
頭を上げた愛瑠さんは、いきなり厳しい目付きで周りを見渡し始めた。
「何処…!?悪魔の気配がしますっ!?」
ぎくっ!?あたしは一瞬固まった…
「そこですねッ!!」
愛瑠さんは、迷わずにすたすたと歩き出した。そして、クラス一のお人好しで人畜無害な佐武くんの前で止まった。
「悪魔ぁー!たいさぁーーーん!」
いきなり佐武くんの顔にビタっ!と十字架を押し付け、ポケットから出した小瓶の水を頭に振りかけた…
「この聖水と十字架によって、貴方に取り憑いた悪魔を払いますっ!」
何が起きたのか、誰も分からないまま時が流れた…
「あの…蕪梨さん…?」
担任が声をかけると、愛瑠さんは、ハッ!と我に返った。
「えっと…」
勿論、何も起きていない。みんなの視線に気づいて、佐武くんから十字架を離し、ポケットにしまい込む。
「……もう、大丈夫ですよ。貴方に取り憑いていた悪魔は払われました」
(この娘…厨二病なんじゃね?)
みんなの心がひとつになった瞬間だった…
「えっと…それでは蕪梨さん、あなたの席ですが…」
担任は、あたしの方を指さした。
「小鳥遊さんの隣に座って下さいね」
小鳥遊さん……あたしかいっ!?
そう、あたしは小鳥遊だった…誰も苗字呼ばないから忘れてた…(ノ∀`)タハー
「先生、ひとつお願いがあるんですけど…」
愛瑠さんは、あたしの方を指してこう言った…
「私は"左"の席にして頂けますか?」
やっぱ"左"に座るんかぁーい!?
「私、左利きなもので、手がぶつからない様に左の席をお願いしてるんです。」
なるほど、そうでしたか…って、それホントかな?さっき、十字架を右手で持ってたよね?
「そうですか、では、小鳥遊さんの左の席へ。」
そして、愛瑠さんは、あたしの隣りに座った。
「あたしは真琴、よろしくね。」
「よろしくお願いします、真琴さん」
ペコっと頭を下げる愛瑠さん。そして続いてこう付け加えた。
「アモーネさんにもよろしくお伝え下さいね…あ、でも校内に居られるんでしたよね?」
一気に、あたしの体温が下がっていくのが分かった━━
「あんた…やっぱり…」
「退屈しないで済むようになりますよ?きっと…」
これ、かなり大変なコトになってるような気が…
「ところで、さっきのは何だったの?」
そう、佐武くんの悪魔祓いは…
「あ、あれ?あれは素で間違えました。」
ぇぇえええええ!?この天使、かなりのうっかりさんなのぉ!?
━━何だか、天然素材な【天使】がやってきたようです…
やっと【天使】が来てくれました。でも、かなりの"素質"を発揮してくれそうですね( *˙ω˙*)و グッ!




