まさか、いきなり"左"出しますかぁ!?
緊張に満ちた一日をどうにか終えて…
夕食前の食堂に皆が集まって━━
『さて、どうにか今日は乗り切ったみたいね…』
アモーネが心底ほっとしたように言うと、
「それとなく彼女を観察してみたけど…特におかしい様子はなかったよ、うん」
文香も特に違和感を感じる事は無かったようで…
『そうですね…確かに、"契約者"である事は間違いないですが、特に"影響"を受けている様子はありませんでした。』
アスタルが言うなら間違いないよね。
『それよりも怪しいのはさ…』
「アモーネの女装がバレてるってこと?」
あたしの言葉に、何故かひどく狼狽えるアモーネ…
『そうなの!?あれだけ完璧に女になってるのに!?』
『兄上、今はそれよりも…』
アスタルがさらっと話題を切り替える。
『そうね、今は【天使】の事よね…』
「えっと…ちょっといいかな?」
あたしは午後の間考えていた疑問を聞いてみた。
「今日の集団の中に、本当に【天使】はいなかったんだよね?」
『間違いございません。』
「アスタルなら間違いないよね…でもさ、文香の友達はいたんだよね?」
文香は少し思い出して頷いた。
「うん、確かに居たよ…」
あたしは、自分の考えていた事を話す事にした。
「あのさ、もしかして【天使】は、その友達を通してあたしの事を確認してたって事は無いかな?」
『━━!?そういう事も有り得るわね…』
「だって、あたしの顔も分からないから、お昼の時に文香がくっついてるのがあたしって確認出来るんじゃない?」
全員の目が文香に集まる━━
「だって、まだあの時はそんな事聞いて無かったじゃない!」
「いやいや、文香を責めてるんじゃ無くて…あの集団を利用したんじゃないかって言いたいのよ」
アスタルがあたしの言葉に頷く。
『充分に有り得るお話ですね…【天使】ならばそれ位造作もない…』
アモーネも思案顔で、
『恐らく、その読みは当たってると思うわよ。多分、数日以内には動き出す筈』
だとするならば━━
「次にあたしのクラスに現れる転入生、とかが怪しくなるね…」
『あ━━』
アモーネが突然思い出したように、
『明日、転入生が入ってくるわね…確か名前が━━蕪梨…』
『愛瑠、ですよ兄上。』
ガタッ!あたしはその名前を聞いて思わず立ち上がった。
「ちょ、ちょっとそれって…かなりの"大物"じゃないの!?」
アスタルもアモーネも、文香までキョトンとした顔をしている…
「ホントに分かんないの!?それって"神の左"に座してる【大天使】じゃないの!?」
3人の顔がお互いを見て━━
『なんで気づかなかったの!?アスタルまで━━』
『兄上こそ、どうして━━?』
「何でそれ早く言わなかったの!?」
3人でわいわいやってるのを尻目にあたしはどうしようかと考えていた…
勿論、その【天使】ならば元に戻す事が出来るんじゃないか、と━━
困った事に、このおネエ悪魔さんがシスコンチート兄の話を書かせてくれません(笑)
無理に書こうとしてみたら、新しい話が出来始めてしまいました…(・∀・;)




