悪魔と百合のユルい話だと思っていたけど、悪魔推しな気配がしている。
「ちょっと、アモーネ…なにやってんの!?」
突然、学校に教師として現れたアモーネ。
「しかも、明日足って、あんたの名前じゃないじゃない」
『ああ、アレ?あれは苗字。ハーフのアモーネ・明日足先生よ♡』
そっかー、悪魔に苗字とか無さそうだもんね…
『あるわよ。でも長いから簡単な偽名にしただけ』
「ふーん」
『そこ興味無し!?』
まあ、気にならなくもないんだけど…
「苗字よりも、どうして学校にまで顔を出したのかの方が気になるわね」
アモーネの顔が急に真面目になる。
『【天使】の気配を感じたのよ、だからアンタ達を護るために来たのよ…』
え、何…!?……護る?
「そういえば、この間も言ってたよね?【天使】はあたし達を救わないって」
『きちんと説明した方が良いわよね…まず、アタシ達が元々【天使】だったのは話したわよね?まあ、有名な話でもあるし』
たしかに。【魔王】は、元々【天使】のトップだった筈だよね…
『この事実を信じるかどうかはアンタ達に任せるわ。』
そう言ってから、アモーネは話し始めた。
『そもそも【天使】は神の御使いと思われがちだけどね、ちょっと違うのよ』
「待って、その話は帰ってからにしよう」
アモーネが話の腰を折るあたしに怪訝な表情を向ける。
「そういう大事な話なら、文香にも聞かせたいし、学校だと【天使】に見つかるかもしれないでしょ?」
アモーネも気づいたのか、いつもの顔に戻っていた。
『アンタの事、見直したわよ〜意外にずる賢いのね♡』
「"ずる"を付けるなッ!」
━━でも、さっきのアモーネの表情…
どうして、アモーネ達は【天使】から【悪魔】になったんだろう…?
ふと、そんな疑問が湧いた…
━━それと時を同じくして……
「文香、おはよう」
「おはよ、ゆかりん」
隣の席の仲良し、ゆかりんが妙に浮かれてるみたい…?
「あのね、今日から副担任が来るんだって〜」
「そうなんだ?」
「しかも、かなりのイケメンらしいよ〜♡」
私には興味無い話ね…
「あ、来たみたい━━」
担任と一緒に、ひとりの男の人が入って来る。女子たち(私を除く)の黄色い歓声が教室を埋める。
「キャー、まじイケだぁ♡」
「ちょ、これマジ卍〜♡」
私はというと━━
「ぇぇえええええ!?」
そして、教室の声を抑えるために大げさにジェスチャーをしながら、
「はい、皆さん抑えて抑えて…」
「本日よりこのクラスの副担任の先生が来られました。では、お願いします」
担任に促されて教卓の前に立ったその男の人は…
『本日より皆さんの副担任を務めます、天羽音です。よろしくお願いしますね』
━━は?アモーネ?あんたアスタルじゃない!?
どういう事なの?何で悪魔が学校の先生なんてやってるの!?
そして、HRが終わると、私はアスタルに急行しつつ、
「ちょっとアスタル、なにしてんのよ!?」
『詳しい事情は後ほど御説明いたします。まずは兄と合流して今後の対策を練らなければなりませんので失礼致します…』
そう小声で私に告げると、アスタルは足早に教室を出ていった。
「何?文香、あのイケメン先生の事知ってるの!?」
ゆかりんが凄い勢いで食いついてきた…これ、親友と言えども説明出来ないよねぇ…どうしよ?
〔お父さんの研究室にいたとでも言っておきなさい〕
不意に、頭の中にアモーネの声が響いた。ここはその方がごまかせそうだね…
「うん、うちのパパの研究室にいた人なんだけど、まさか先生になってたなんて驚いたよ〜」
ゆかりんはどうやら納得したみたいで、
「何か、そういうの似合いそうな人だもんね〜いいなぁ、イケメンの知り合いがいるとか、綺麗なお姉ちゃんがいるとか…」
イケメンはとにかく、綺麗なお姉ちゃんはイイよね…うん。
でも、さっきアモーネも居るような口ぶりだったよね?何が起きてるんだろう?帰ったら詳しく聞いてみないとね…
━━〔兄上、それらしき者がひとり、こちらに居りました…〕
━━〔コッチにはまだ手は伸びてないわね…恐らく彼にまだ誰も接触してないからだと思うわ…〕
━━〔しかし、【天使】がこんなにも迅速な対応をするとは…〕
━━〔そうね、こんなケースは今までも無かったと思うわよ…〕
━━〔それだけ、あの兄妹の魂が……〕
━━〔アタシ達が見つけた事で【天使】にもバレちゃったのかもね…〕
━━〔互いに"直接的な接触"が出来ないと言っても、油断は出来ませんね〕
━━〔そうね、とりあえずそのマークしてる奴には気をつけておいてね〕
━━〔勿論ですよ、兄上〕
━━━━〔たまには"お姉ちゃん"って呼んでくれてもイイのに…〕
━━〔無理です、兄上〕
━━〔いけずぅ〜〕
少年漫画「っぽい」雰囲気が欲しくて、先ずはバトルテイストな雰囲気を出してますが、作者はそんなに素直では無いこともご了承ください┏○ペコッ




