僕らの新居は三食悪魔付き
「ふーん、結構広いのね」
文香とあたしは大きなお屋敷の前にいます…結局、悪魔と暮らすことになってしまったので。
文香は何故かノリノリな感じですけどね、あたしはまだ納得出来てないんだからね!
『まあ、そんな事言わないで、仲良くやっていきましょ?』
屋敷の玄関先にアモーネとアスタルが待っていました。これから、執事悪魔とおネエ悪魔とガチ百合妹との生活が始まるのです…
『お待ち致しておりました。こちらへどうぞ』
アスタルは執事を通すつもりらしい。ま、その方がこちらとしても助かるんだけどね…
「ひ、広い……」
ホテルのロビーみたいな広さの玄関…こんなお屋敷に住むなんて…
『どぉ〜お?すごいでしょ〜』
アモーネは腰に手を当ててふんぞり返ってるけど、屋敷用意したの、アスタルだって言ってたよね?…よね?
『御安心下さい。御二方の生活のお世話は私と『使役魔』が致します。』
アスタルがパチン!と指を鳴らすと、三人の可愛いメイドさん達が現れた。
セミロングの少しキツめのメガネ美人。
ロングのふわふわブロンドを揺らしたおっとり系ぽい巨乳ちゃん。
赤髪のショートが目を引く元気印のちっぱいちゃん。
『何かございましたらこの者達に何なりとお申し付け下さい。』
何と頼もしい━━( ゜д゜)ハッ!
横を見ると、文香は……
「メイドさん…メガネ、巨乳、ちっぱい……じゅるり…」
目が…危険だ。コイツは縛り付けて部屋の隅にでも転がしておいた方がいいかも知れない、うん。
『アタシからもプレゼントがあるのよ〜ま、引越し祝いってとこね』
そう言って、アモーネは玄関から見える扉のひとつを指さして…
『その扉は、アンタ達の学校の中に繋がってるの』
ぇぇえええええ!?そんなコトできるのぉ!?
『そりゃ悪魔ですもの。どこにだって現れるためにはこれくらい出来ないと、ね』
それは有難く使わせて貰おうかしら、ね
『あ、それからね』
アモーネはさらにご機嫌な声で続けて言った。
『食事とかも心配要らないわよ。アスタル達に任せてあるから。』
それよりも、実は心配な事があるんですけど…?
『あ、アンタ達の親御さんなら心配要らないからね〜』
そう、それ!って…ええっ!?
『ふたりをお願いしますって、頭を下げられちゃって恐縮しちゃったわ〜』
それならいいかな…
『あ、ご両親からアンタ達に言伝があるわ』
『あのね…"こっちは心配しなくてもいいからね、もしかしたら弟か妹が増えるかも、なんてね♡"だってさ』
━━あの両親があああ!?
『ホントに増えそうよね……』
そうね…確かに、ね…
「ところでさ、私たちの部屋はどこー?」
文香はもう屋敷内を歩き回り始めてるみたい。あたしも荷物を部屋に置かなきゃね…
『では、ご案内させていただきます…』
メガネちゃんに連れられて文香は行ってしまいました。
『さて、アンタにはちょっと話しておきたい事があるのよ』
アモーネがあたしの方を向いて言った。
『アンタは姿が変わった時、【天使】を探す、と言ったわね…』
あたしは素直に頷いた。ま、その通りだったからね。
『それはもうやめなさい』
まあ、そう言うと思った…
『おそらく、その理由をアンタは勘違いしてるわよ』
ん?どういう事なの?
『あの【天使】どもはアンタを救わない』
「えっ!?」
『【天使】ってね、悪魔と契約するような人間を救うことは無いのよ…』
「まさか、そんな…」
『ま、それは追追教えてあげるから、とりあえずはこの生活を楽しみなさい』
うーん、何か腑に落ちないけど…まあとりあえず、この"三食悪魔付き"の生活をどんなもんか試してみよう…
ここから【同居編】が始まります。僕としてはメイドさん達が気になってます(笑




