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上位種

 異世界生活10日目はゴブリンを103体倒して終わった。消費削減(コストカット)で魔力消費が減ったためか、魔力を大量に使い続けているためなのか、一日狩りを行っても魔力消費に寄る疲労感は無かった。この日は消費削減(コストカット)のレベルを1つ上げた。


「そういえば、ゴブリン狩り続けているけどまだ大量にいるんだよな。そんなに大量にゴブリンいるのか?」

《ゴブリンを倒した夜には魔素からゴブリンが生成されているため全体的な数が殆ど変わっておりません》


 ここまで大量にゴブリンを狩り続けているが、一晩もあれば魔素からゴブリンが生まれるらしい。


《大量に魔物を狩る場合、その地域の上位種が生まれる場合もありますのでご注意ください》


 つまり、ゴブリンを大量に狩ると上位種であるジェネラルやキングが発生する可能性があるということだ。

 明日が最終日だし上位種には出会いたくないものだ。そう考えながら眠りについた。



 異世界生活11日目、今日でゴブリン集中討伐の完了日だ。1日狩りをして明日街まで帰る。依頼達成の金で宿に泊まって美味しい料理にちゃんとしたベッドで眠りたいところだ。ランクが上がればフィーアを迎えに行こう。


「それじゃあ、ゴブリン狩り最終日はりきっていこうか」


 そう呟くと森へと入っていく。


 森に入るとゴブリンを狩り続ける。ウインドカッターに追尾機能をつけたら面白いようにゴブリンを倒すことができた。ナイが個体把握をして、その位置に適当にウインドカッターを飛ばすだけの簡単なお仕事です。そんな感じで午前中だけで70体程を狩ることができた。ゴブリンが周囲にいない場所で簡単に食事を済ませると、食後の運動にゴブリンを倒し続けた。


《マスター、上位個体の出現を把握しました。出現個体はゴブリン・ジェネラルです》


 2時間程狩りをしたところでナイが上位個体の出現を伝えてきた。フラグ回収お疲れ様です。


「上位個体がどんな強さなのか気になるし、ちょっと戦ってみようかな」


 出現した原因多分俺だし。一応、消費削減(コストカット)のレベルを上げておくか。


《承知しました。ジェネラルの場所までご案内いたします》


 ナイに案内されながら森の中を進むと100m程先にそいつはいた。体長2m位だろうか、全身を鎧と兜で覆われており、左手に盾、右手にはロングソードが握られている。まさしく将軍ジェネラルといった風貌だ。俺がジェネラルを観察している間にジェネラルはこちらに気付いたようだ。


「があああああ。ぎゃああああ」


 うん、相変わらずゴブリンの言葉は分からない。ジェネラルはこちらを敵と認識したらしく、一直線でこちらに向かってきた。


『ウインドカッター』


 一直線に向かってくるジェネラルに風の刃をぶつけるが左手の盾で簡単に防がれてしまった。ウインドカッターを簡単に弾かれてしまったがジェネラルとの距離はまだある。俺は一呼吸着くと次の術を発動する。


『エア・キャノン』


 1mほどまでに圧縮した空気を相手にぶつける魔法をジェネラルに飛ばす。一応衝撃対策の為に前方に空気の壁を貼っておく。空気の塊が獲物ジェネラルに当たると上半身が消失した。ついでに周囲の木々が吹き飛ばされ半径50m程の更地が作られた。周囲に人がいる時に使っちゃいけないやつだコレ。


《ジェネラルの消失を確認しました》


 上半身消し飛んだからね。それで生きてたら流石に怖いよ。

 ウインドカッターを簡単に防がれたのには驚いたがエア・キャノンで簡単に倒せたな。あれそんなに強いのかな?


《エア・キャノンは推定レベル6かと思われます》


 ロックショットより威力上なんだ…。


《ゴブリン・ジェネラルでしたら、風魔法レベル4もあれば討伐可能です》


 完全に過剰火力でした。ちょうどいい火力の魔法作らないとな…。人がいなければいいんだけれども、人目がつく場所で

使える魔法も幾つか作っておく必要があるからね。

 消費削減(コストカット)のおかげかまだ魔力には余裕がありそうだから狩りを続けようかな。


《マスター、ゴブリン・キングの出現を確認しました》


 ジェネラルを倒したことで発生した魔素が原因らしい。因みに発生場所は目の前だ。目の前で黒い霧が発生し、やがてゴブリンの形になっていく。ゴブリン・キングは体長3m程のゴブリンで、頭に王冠を被っているザ・王様という風貌だ。ただし、ジェネラルと違い鎧や剣は装備しておらず、代わりに杖とマントを装備していた。見た目からして魔術師タイプなのだろう。


『ウインドカッター』


 盾が無いなら倒せるかなと風の刃を縦にしてキングへとぶつけた。一応魔力を多めに込めてある。


「があああああ!」


 何かを叫びながらキングが2つになる。物理的に、体的な意味で。そしてそのまま消滅した。


《キングの消失を確認しました》


 え、キング弱くね?


《マスターの発動したウインドカッターの威力が高かった為です。風魔法レベル6程度の威力がありました》


 エア・キャノンと同じ威力かよ!確かにキングの後ろの木がないからね。仕方ないね。

 キングとの戦いが消化不良だが一つだけ良い事があった。キングのドロップアイテムがあったのだ。【王の杖】というキングが装備していた杖だ。魔法の威力を高める効果があるとのこと。

 とりあえず、ゴブリンを狩りますか。


 残り時間でゴブリンをめちゃくちゃ狩った。


 拠点に戻り最後の睡眠を取り、街へと戻る。異世界生活12日目は戦闘をせずに街まで戻り、依頼の確認をしてもらう予定だ。拠点はいつ使うかわからないためそのままにしてある。


 街へ戻ると一直線に冒険者ギルドへ向かった。


「ゴブリン討伐依頼の確認をお願いします」


 受付嬢さんにそう言ってギルドカードを渡す。


「只今確認いたします。少々お待ち下さい」


 2分程たった時。


「あ、あの…」


 受付嬢さんが話しかけてくる。


「どうしました?」

「カードに記録されている魔素にゴブリン・ジェネラルとゴブリン・キングがあるのですが、倒されたのですか?」

「はい、倒しましたよ」

「お、お1人ででしょうか」

「恥ずかしながら、パーティーは組んでいません」

「そ、そうですか。報酬の件ですが、ギルドマスターに確認いたしますので、少々お待ち下さい」


 受付嬢さんはそういうと、席を立って後ろの階段を登っていった。

 10分程たった頃、受付嬢さんが帰ってきた。


「あの、ギルドマスターがお話があるらしく一緒についてきて頂いてよろしいでしょうか」


 ギルドマスターが俺に話がある?何故だろう。とりあえず、受付嬢さんには二つ返事でOKしておく。


「それではこちらへどうぞ」


 そう言って階段を登り、二階にある一室の前まで案内された。受付嬢さんがノックして部屋に入る。


「ギルドマスター、ケイさんをお呼びしました」

「ありがとう。キミは下がって良いよ」


 受付嬢さんは一礼すると部屋から出ていった。残された俺とギルドマスターが目を合わせた。


「急に呼び出してすまない。少し確認したいことがあってね」

「いえいえ、今日は予定もないので大丈夫ですよ」

「そう言ってもらえると助かるよ。わたしの名前はアインと言う。エコーリアの冒険者ギルドマスターを勤めさせてもらっている。キミはケイ君でいいのかな?」

「ケイでいいですよ」

「それではケイ、キミに幾つか質問するよ」


 アインはそう言うと数点質問をしてきた。パーティーは本当に組んでいないのか、ジェネラルとキングとはいつ接敵したのか、武器の類を装備していないので魔術師で間違っていないか。以上3点がメインの質問だったようだ。


「ふむ、ソロで合計500体以上のゴブリンを倒しつつ、ジェネラルとキングを倒したのか」

「6日間篭ったからな。それくらい行くんじゃないか?」

「まさか。普通は篭ったとしてもソロなら100体がやっとだよ。ゴブリンといえど6日で500体も倒すのは少なくてもAランク以上だ。それに、ジェネラルとキングは共にCランクのパーティー推奨モンスターだ。ソロで倒すならこちらも同じくAランクが必要になってくる」


 モンスターのランクは冒険者が6人揃った時のランクと同等らしい。つまり、ジェネラルもキングもCランクの魔物となる。


「それ故にキミへの報酬をどうしようか難しいところでね」


 つまり、実際はAランク相当の仕事となるが、ケイのランクはFの為渡す報酬がどうしても低くなってしまうとのこと。


「別に報酬は低くてもいいさ。その分俺のランクを上げてもらえると助かるんだけどね」

「それなら心配しないでくれ。わたしの権限で上げられる最高ランクまで上げさせてもらうよ」


 ギルドマスターが個人の権限で上げられる最高ランク。つまりBランクまで上げてもらえるらしい。


「申し訳ないが、Aランクへ上げるには4つのギルドマスターの承認が必要になるので、わたしの権限ではあげることができない」

「Bまで上げてもらえるんだ。文句は言えないよ」


 因みに、Sランクへ上がるにはギルドマスターを通して国へ依頼し王に承認して貰う必要がある。SSランクは大陸4カ国のうち3カ国の承認が必要になるらしい。


「そう言ってもらえると助かる。報酬も多少上乗せしておくから安心してくれ」

「それも助かるよ。ありがとう」


 俺はアインに礼を言って部屋を出て行く。受付嬢さんに戻ってきたことを伝えると報酬等の処理をしてくれた。今回の依頼で貰える報酬は400万バルらしい。1バル1円だから僅か6日で400万円稼いだことになる。ジェネラルとキングの討伐報酬が殆どらしいけどね。ギルドカードに刻まれているランクもBとなっていることを確認した。

 受付嬢さんに礼を言ってギルドから出ると、ついでに教えてもらった宿屋に向けて歩きだす。異世界に来て初めての宿だ。思わず足早になってしまう。

 そうだ、明日フィーアを迎えに行こう。





**********


 高木 京 (タカギ ケイ)

 種属:人間(転生者)

 冒険者ランク:B

 所有スキル

 ユニーク:特技生成(スキルクリエイト)Lv--、案内者(ガイド)Lv--、個人魔法(オリジナルスペル)Lv--、消費削減(コストカット)Lv3

 コモン :鑑定Lv3、収納Lv1


ゴブリンさんの出番はここで終わりです。

次回はフィーアの出番ですよ!

お楽しみに!

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