冒険者はじめました
ケイは依頼ボードを確認する。今あるFランク用依頼は…。
【飼い犬探し】【薬草納品】【ペンキ塗り】【壁殴り代行】
冒険者と言うより便利屋みたいなばっかりだ。壁殴り代行ってなんだよ。
「そこのにーちゃん。もしかして新人か?依頼でもさがしてんのか?」
異世界の冒険者お決まりの先輩冒険者からの絡みかな?
「新人だし、依頼探しているけどなにか?」
「そうかそうか、やっぱり新人だったか。俺の名前はガルドって言うんだ。よろしくな」
「そうか、よろしく」
それだけ言うと俺は依頼ボードを再度見直す。
「依頼目的か。Fランク依頼なんか只の便利屋だぜ。それなら1ランク上のEランク依頼を受けたほうがいい。それから…」
ガルドは見た目山賊なのに親切に色々と教えてくれた。冒険者のランクアップはBランクまでは達成ポイントを一定数稼ぐことでランクアップ出来るとのこと。その際、ランクが上の依頼を受けることにより達成ポイントが倍手に入るらしい。デメリットとして、依頼失敗した場合通常達成ポイントは同ランクで得られるポイント分マイナスとなるが、上のランクだと通常の3倍マイナスになる。ただし、Eランクの依頼であればそうそう失敗することは無い為、FランクからEランクへなるなら効率的とのこと。
「成程、確かにそれならEランク依頼受けたほうが良さそうだな。色々ありがと」
ガルドに礼を言うと、Eランク用の依頼を確認する。
【ゴブリン討伐】【魔力草納品】【壁の修理募集】
・・・ゴブリン討伐かな、魔力草とかしらないし。壁の修理依頼は壁殴り代行に壊されたやつなのか、なんで壁壊すより直すほうが依頼ランク高いんだよ。
ゴブリン討伐の依頼書を受付嬢に渡す。
「ゴブリン討伐ですね。承知しました。ゴブリンの森でゴブリンを10体討伐していただければ大丈夫です。また、こちらは常時依頼ですので、20体倒せば2回分の依頼達成として扱えます」
「討伐するゴブリンの種類はなんでもいいのか」
「ゴブリンの種類に制限はありません。しかし、ジェネラルやキングが出現した場合は適応ランクが上がる可能性があるため、無理に戦闘をせずギルドまで連絡してください」
「了解、俺も死にたくはないからな」
そう言ってギルドを出る。受付嬢さんからお気をつけてと一言貰った。
またゴブリンの森に戻るのか。一応食料はある程度あるし、野宿も異世界に来てからずっとしていたから特に抵抗はない。10日以内にEランクにならなくてはいけないのだ。どうせならゴブリンを狩りまくって一気に稼がせてもらおう。そう決めたらゴブリンの森へと再度向かうことにした。
半日ほど歩くとゴブリンの森が見えてきた。しかし、もう日も落ちかけている。流石に日が落ちてから森に入る勇気はない。仕方がないので、今日は拠点を作ることにした。これから6日間かけてゴブリンを狩るつもりなのだ。夜の森は何が起きるか分からない為、森の外に拠点を作る。
『アースクリエイト』
個人魔法で地属性魔術を使って簡単な地下洞窟を作る。勿論入り口は空気穴を除いて魔法で閉じる。これで夜間の拠点はできた。ベッドの代わりに集めておいた適当な草を敷き詰めれば問題なく寝れるだろう。収納スキル内にある果実で腹をふくらませると眠りについた。
《マスター、右方向にアーチャー4です。》
「オッケー。『ウインドカッター』」
翌日森に入るとナイの指示の下ゴブリンを狩り続けていた。
《アーチャーの全滅を確認しました。左方向300m程先にゴブリンの5体を確認しました。》
ナイにゴブリンを見つけてもらって遠距離からウインドカッターで倒し続ける。
異世界生活7日目、今日一日でどれだけのゴブリンを倒しただろうか…。魔力切れさえ起こさなかったが魔力の使いすぎのせいか、一日森の中を移動していたせいか、疲労感が凄まじい。
《本日討伐したゴブリンは合計83体となります。また、体の疲労感は魔力の枯渇が原因かと思われます。》
疲労感は魔力枯渇が原因らしい。今日の分のスキル作成はゴブリンを討伐しながら鑑定スキルのレベルを上げていた。スキルレベルを上げる時は、スキルレベルに関わらず魔力消費量は少量で済む。
魔力の使いすぎでこの疲労感であれば、明日は魔力関係の新しいスキルが欲しい。魔力関係のスキルで何かいいのあるかな?
《魔力関係のスキルでしたら、『消費魔力減』、『魔力回復増加』、『魔力吸収』、『魔力置換』がこの世界に存在いたします。》
『消費魔力減』は、スキルレベルに応じて魔術の消費魔力量を減らせるスキル。『魔力回復増加』は魔力の回復量を増やすスキルでスキルレベルが上がると低レベルの魔術なら回復量の方が多くなるとかならないとか。『魔力吸収』は倒した相手から魔力を吸収するスキルだが、吸収できる魔力は相手依存となるため使い勝手は良くない。『魔力置換』は体力を魔力に変換する諸刃の剣すぎるスキルだ。
「この中なら魔力消費減かな。魔術だけじゃなくてスキル使用時の魔力や体力消費も減らせれば良いんだけどそんなスキル作れそう?」
《ユニークスキルとして作成可能です。マスターの現魔力量で作成可能ですが、スキル作成をする場合明日は半日程度しか狩りをできないです。》
今後の為だし、明後日以降の効率も考えたら消費を抑えるスキルがあったほうが良いだろう。明日は半日で切り上げてスキル作成をして大人しくしているか。そう簡単に翌日の予定を決めながら果実で腹を満たすと草のベッドに横になる。疲労感のおかげか直ぐに眠りについた。
異世界生活8日目は昨日の半分ほどゴブリンを狩った後に拠点へと戻ってきていた。
「特技生成!」
《スキルの作成を確認しました。スキル『消費削減』が登録されました。》
そんなナイの言葉を聞きながら意識が薄れていった。
異世界生活9日目
「完全にぶっ倒れたよ…。魔力すっからかんになったよ」
ケイは昨日のスキル作成で魔力を全て使い切ってしまったため、魔力不足で倒れてしまった。流石に半日以上倒れていただけあって魔力は最大まで回復しているらしい。腹のゲージは尽きかけているが…。
何時もの如く果実を食べながら意識を失う前に作成したスキルを確認する。ナイが。
《スキル『消費削減』は全ての魔術、スキルの魔力消費、体力消費を軽減可能です。軽減率はスキルレベル毎に変化しますが、Lv1で10%消費減でレベルが上がる毎に5%ずつ増えて行き、最終的にLv9で50%に達成します。》
軽減率は通常の魔力消費減スキルと同じらしい。スキルにも適応していたり、体力消費も減らせるのはユニークスキル所以だろう。『消費削減』は他のユニークスキルと違いレベルを持っているのでスキル育成もしないといけない。今後の戦闘のためにある程度はレベルを上げて置きたいところだ。
「あらゆるスキルと言っていたが『特技生成』にも反映されるのかな?」
《『特技生成』には反映されません。同じユニークスキルでも階級が違う為だと思われます。》
ユニークスキルの中にもランクが存在するんだ。もうユニークスキルじゃなくて違う名前にしちゃえよ究極スキルとかさ。
さて、新しいスキルもできたし、今日は昨日の分までゴブリンを狩るとしましょうか。
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高木 京 (タカギ ケイ)
種属:人間(転生者)
冒険者ランク:F
所有スキル
ユニーク: 特技生成Lv--、案内者Lv--、個人魔法Lv--、消費削減Lv1
コモン :魔術構築Lv-、鑑定Lv3、収納Lv1
ステータスの表記を一部修正
ユニークスキルとコモンスキルで分けました。
個人魔法のレベルを無しに修正しました。
過去分は修正しません。ご了承ください。
ヒロイン?残念ながらしばらく出番ないですよ?
某死に戻りのヒロインほど忘れ去られないので安心してください。
メイドが本妻にはなりません。