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事件の報酬

 イグニスを追い返した。いや、イグニスが帰った時には太陽が高く登りきっており、そろそろ昼時という時間になっていた。


「イグニスの件も片付いたし、武器の確認が中途半端だけど昼食にしようか。武器のチェックもある程度見れたから大丈夫だとは思うけど」


 大丈夫だとは思うが、一応全員の武器の状態を確認しておく。


「わたしは今回武器の手入れくらいでしたから問題ありませんよ。クレハちゃんも問題なさそうでした」

「ん、問題なし」


 クレハと手合わせをしていたフィーアからクレハの魔剣「伸びるん」は特に問題ないと解答をもらった。クレハも問題なしとサムズアップしながら返事をしてきた。


「私も問題ありませんよー」


 アイラも問題なさそうで安心した。後ろの丸太が穴だらけとなっているのは気にしないほうが良いのだろか。


「調子にのっていっぱいやりすぎちゃいましたねー」


 頭をかきつつアイラが答えた。視線で気が付かれたかな?


「久しぶりだったので楽しくてつい・・・」

「大丈夫だよ。多少穴が空いても薪にはつかえるからね」


 少し不格好な薪になるが仕方あるまい。丸太を提供した俺の責任でもある。そういえば、アイラに丸太を預けて殆どすぐにイグニス来たよね?一体どうしたらこの短時間でここまで穴だらけになるのやら・・・。


「私の鞭の確認がまだだけど、他の皆は確認取れたから大丈夫だと思うわ。一応鞭はサブの武器だから確認は後でも良いわよ」


 最後に、新しく鞭を購入したユイだが試すより前にイグニスが来てしまった。なんとも空気の読めない竜王である。


「それなら持ってみて違和感がなければ今は大丈夫かな?長さとかの調整もあるだろうからできるだけ早く確認できるようにするよ」


 鞭はただ長ければいいというものではない。どの武器でもそうだが、使用者が一番使いやすい長さというものは存在する。ユイの鞭は新品なのでその辺の調整はまだしていない状態だ。こればっかりは実際に使いながら調整するしかあるまい。


「ユイの鞭以外は特に問題なさそうだし、昼食にしようか」

「「「「はい!」」」」



 昼食を食べ終えた俺達は冒険者ギルドにやってきていた。

 因みに、本日のスキル生成はクレハへの魔力成長促進の譲渡に使っている。アイラは元からスキルを持っていたし、新しく加入した二人共魔術系スキルを保有していた。これでパーティー全員が魔力の成長速度が早くなるから俺は成長系スキルに集中できる。


「大満足」


 午前中の武器の練習で体力と魔力を消費したせいか、クレハはかなり空腹だったらしく、昼食をの量が凄まじかった。パーティーメンバーの中で一番小さい体なのに一番食べる。今後の食費は覚悟するべきなんだろうな。


「クレハちゃんの食事代を頑張って稼がないといけないですね」

「そうね、王都まで行く間にいい依頼があるかだけ探してみましょ。ご主人様がギルドマスターと話をしている間に私達で良さそうな依頼がないか見ておくわ」


 ユイの言う通り、何かいい依頼あるといいな。

 食費の心配をしながらギルドの受付嬢さんにハインツを呼んでもらった。


「昨日色々あったのに呼び出した形になって申し訳ないね」


 受付の奥にある部屋のソファーに座るとハインツが頭を下げた。


「今度の件はフレデリックが原因ですから気にしないでください。こちらとしても報酬さえ貰えれば問題ありませんから」

「そう言ってもらえると助かるよ。正直、今回の件はこちらにも非があるからね」

「そんなこと言ったらこちらも依頼を受ける時に報酬を確認してなかったですからね。おあいこということで」

「そう言ってもらえると助かるよ」


 まあ、依頼の詳細を決める時にフレデリックが帰ってしまったから結局奴が悪いんだけどね。今度あったら一発入れておくか。


「で、その報酬なんだけど、フォード殿からの慰謝料込でこれだけになる」


 そう言ってハインツが提示してきた金額はかなりの量だ。かつてゴブリン達を大量に狩った時の5倍、つまり2000万バルということになる。武具購入して懐が寂しかったから嬉しい。そしてクレハの食費代ゲットだぜ。


「思っていたより多いですね。半分くらいかと思いましたよ」


 予想外の金額で嬉しいが、ここで歓喜しても仕方ないので一応表情には出さずにおく。出てないよね?大丈夫だよね?


「そうだね。その金額の中にはフレデリックが君を殺そうとしたことに対する口止め料も入っているんだ。領主の息子が殺人未遂を犯そうとしたなんて噂が流れるのを隠すためだ。悪いけど、この件は口外しないように頼むよ」


 成程、依頼報酬+慰謝料+口止め料といったところか。領主の家が起こした事件だから仕方あるまい。


「それと報酬だけど、依頼を頼んだ時に言ったと思うけどこの依頼はSランク相当の判断だからそれなりの報酬額になっているよ。まあ、竜王相手だったことを考えるとSSSランク扱いになるのだけどね。竜王の存在は秘匿されているから見た目通りレッドドラゴン扱いとなるけどね」


 Sランク扱いの依頼になったのはイグニスの見た目がレッドドラゴンなのが悪い。竜王なんだからもうちょっと威厳がある格好をしてほしいものだ。まあ、人間にまぎれている竜王もいるみたいだからそれよりは威厳があるのか。


「イグニスの件は納得しているので気にしないでください」

「そう言ってもらえると助かるよ。それと、今回君たちに王都まで運んでもらいたい手紙はこれだ」


 そう言いながらハインツが懐から手紙を出してきた。


「これを王都のギルドマスターに渡してほしい。この手紙の運搬はギルドマスターからの指名依頼扱いだから報酬は期待してくれ」


 成程、ギルドマスター直々の依頼の報酬か。いい食費・・・、いや、報酬になりそうだ。


「わかりました。ではこの手紙はお預かりします」


 そう言いながら手紙を収納に入れる。


「そういえば、王都に行く途中でなにか依頼があれば受けようと思うんですけどいいですかね?」

「王都までの依頼だと、コルト山かその先にある王都まで続くハスラー平原ですかね」


 コルト山による予定は無いからハスラー平原かな。あそこは面倒くさい竜王がいるから行っちゃダメだ。


「手紙の運搬も急ぎではないですけど、できるだけ早いほうがいいのでできれば馬車があればいいのですが」


 今後旅をするなら御者ができるフィーアもいることだし、馬車はあったほうが便利かもしれない。


「僕が紹介できる馬車と馬を売ってくれる店への紹介状を渡そう。少し高いかもしれないけどね」


 ハインツがそう言い簡単に紹介状を作ってくれた。


「その店までの簡単な地図がこれだね」


 そう言われ渡されたのがギルドから店までの地図だ。店の名前は【クラリスの何でも屋】というらしい。


「色々とありがとうございました」

「いえいえ、こちらも色々面倒事を押し付けてしまいましたからね。それでは、またこの街に来る機会がありましたらよろしくおねがいします」

「また来たらギルドに顔だしますよ」


 最後に挨拶だけして部屋を後にした。


「ケイさん、お疲れ様です。王都の手前にあるハスラー平原の依頼をいくつか見つけておきましたよ」


 皆のもとに戻ると既に良さそうな依頼を見つけていたようだ。


「皆ありがとう。それじゃあ、この依頼を受けてくるからちょっと待っててね」


 受付嬢さんに依頼を受けたい旨を伝えると、無事にハスラー平原までの依頼を受けることができた。

 次は今後使う馬車の仕入れかな。転移魔法があるとはいえ移動が楽になるに越したことはないからね。

日付変わる前に滑り込みセーフ!


そしてブクマ500件ありがとうございます!!!!!

更新遅くてすみません。あとでイグニス叱っておきます。

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