初めての夜に
夕食を終え、俺達は宿の部屋まで転移してきた。
「みんな疲れているところ申し訳ないけど、アイラとクレハに俺のスキルを説明しておきたい」
あと女神からの依頼も皆に教えておかないといけないかな。
幸い、皆特に反対することなく俺の提案を受け入れてくれた。
「まず、俺の持つスキル・・・。というより、俺がこの世界に来たときに持っていたスキルはスキルを新しく作るスキル『特技生成』だ」
俺がこの世界に来る原因となった女神(自称)からもらったスキルである。
色々と制約はあるものの、かなり便利なスキルだ。むしろ、これが便利じゃなければ何が便利なスキルなんだって話なんだけどさ。
「スキルを作るスキルですか。色々なスキルを持っていると思いましたが、そういうことですかー。」
アイラは何やら納得してくれたようだ。クレハもわかってはくれているのかな?
「そういうことだよ。そして、俺がこの世界で一番始めに作ったスキルが『案内者』だ。このスキルは、俺の指示に従って色々と教えてくれるスキルだ。例えば、スキルの使い方や説明、敵がいる位置なんかも教えてくれるんだ」
案内者ことナイ先生にはこれまでお世話になりっぱなしだ。思えば、エコーリアまでの道や、ゴブリンの森での戦闘もナイがいなければもっと苦労していたであろう。そうなればここにいる皆と出会うこともなかったのかもしれない。
ナイの説明を簡単にしたが、どうやら二人とも理解してくれたようだ。
「その後に作ったスキルが『個人魔法』だ。このスキルは俺の魔力内で使える限り、俺のイメージした魔法が発動するスキルになっているんだ」
アイラとクレハはイグニス線やコルト山から下山するときに二人に掛けた回復魔法を思い出して納得したようだ。
「なるほどですねー。それで、あれだけ強力な魔法がいっぱい使えたんですか」
「お兄ちゃんの魔法すごかった」
このスキルも実際に見ていたのだから納得してくれたようだ。
それから、消費削減、特技再使用、特技転送、物理魔法、育成魔法、PT特技経験値上昇、PT必要経験値減少といった俺の持つユニークスキルについて簡単にだが説明をする。
「そういえば、アイラは魔力成長促進スキルを持っていたけど、クレハはなかったね。明日『特技再使用』が使えるようになるからクレハに魔力成長促進を渡すね」
「・・・ん」
フィーアとユイは既にこのスキルを持っている。
クレハの持つスキル的にも魔力成長促進はあったほうがいいからね。
「ユニークスキルはもう終わりだ。普通のスキル、コモンスキルで持っているのは収納と鑑定だね。一応、魔術構築もあるけどこれは個人魔法の補助スキルだから気にしないでくれ。収納はレベル4、鑑定はレベル9だったんだけど、今日俺をこの世界に連れてきた女神に会ってレベルがEXってなったよ」
せっかくスキルを作るのだから既存スキルより新規スキルを作りすぎてしまったのか、コモンスキルは2個しかない。鑑定はレベルEXとかいう謎のレベルになっている。
しかし、クロネコとフレデリックにレベルEXの鑑定を使用したら鑑定失敗という表示が出てきた。実はあの女神のせいでスキルが壊れたとかないよな。心配になってユイを鑑定するが問題なく鑑定できた。ナイの言った通り、スキルやアイテムで無効化されたのだろう。
「ケイさんは女神様にお会いしたのですか?」
鑑定スキルのことを考えていたらフィーアが女神に再度会ったことに対して質問してきた。
「ああ、あの女神の仕事がおざなりなおかげで密入してきている連中がいるみたいなんだ。その連中を見つけてくれと依頼された。一応、見つけたらご褒美もらえるらしいんだけどさ」
どんなご褒美なのかはこちらに決定権があるようだが、流石に限度はあるのだろうな。
「ご主人様をこの世界に送っている女神様の名前はなんて言うのかしら?」
「そういえば、あの女神名前教えてくれないな。今度会ったときに問い詰めてやろう」
人を殺して自分の仕事のミスを押し付けてきている張本人の名前を知らないというのも嫌なものだ。
「もしかしたら、ヴィナス様かもしれないですね」
ヴィナス?美の女神であるヴィーナスから取っているのか。あの女神、確かに見た目だけはいいからな。中身はお察しだけど。
「その辺も含めて今度聞いておくよ」
俺のスキルについてはこれで終わりである。
「これからここにいるメンバーでパーティーを組む予定だから各々のスキルを説明しておこうか」
パーティーメンバーのスキルを知らないで戦闘を行うのはありえない。そのために全員で共有しておく必要がある。
「では、わたしからですね。元はケイ様の奴隷でしたが、今は開放されています。」
そう言ってフィーアが自分のスキルや武器等について話す。
フィーアの持つスキルは槍術Lv6、魔槍術Lv1、料理Lv1、水魔術Lv1、魔力成長促進Lv1である。
料理は気がついたら増えていたので、旅の途中で料理をしていたら増えたのだろう。
「次は私ね。」
フィーアに続き、ユイも自身の持つスキル等を伝えた。
ユイの持つスキルは光魔術Lv3、状態異常耐性Lv1、歌唱Lv3、魔力成長促進Lv1だ。先程倒れるまでヒールを使い続けたようだが、残念なことに先程鑑定したときにはどのスキルもスキルレベルは上がっていなかった。
ユイは俺の鑑定に気がついているのだろう。何も言わない俺を見ながら少し悲しそうな表情をしていた。
「二人共ありがとう。アイラとクレハについては俺から説明するね」
「そうですねー。私が鑑定したのはちょっと前なので助かります!」
「そもそも鑑定したことないから問題ないよ」
許可が下りたので二人が持つスキルを伝える。
アイラが持つスキルは、土魔術Lv2、召喚術Lv1、魔力成長促進Lv3、弓術Lv4だ。
召喚術は基本的に契約スキルを使用する必要があるが、魔族や高位の竜種であればそのスキルは不要となる。今回アイラとクレハが俺達の仲間になった一因でもある。
「前に鑑定してもらったときより弓術のレベルが1個上がっていました。やっぱりマスターに見てもらってよかったですねー」
どうやら前回の鑑定よりもスキルレベルが上がっていたようだ。
「そうなると、アイラの武器は弓でいいのかな?明日アイラとクレハの武具も調達しないといけないね」
今日は時間が遅かったので服のみであるが、武具も必要になる。
「弓でお願いします!できれば魔力弓があればいいんですけど」
「魔力弓?」
魔力弓とはその名の通り、魔力を矢として放つ弓のことらしい。攻撃判定としては魔法攻撃判定になるらしいが、普通の矢も打てる為、物魔両方に対応している武器でもある。
「矢の心配が無くなるなら便利だからあったら買おうね。」
「やったー!」
魔力弓を買ってもらえることが嬉しいようで。アイラが飛び跳ねている。あったらだからね。
飛び跳ねているアイラの体の一部が上下に弾んでいるが、何も言わない。紳士だからね
「あれで、弓打てるのかしら」
上下に揺れる2つの山を見ながらユイがつぶやく。確かに、あれでは山脈が邪魔をして打ちにくいのではなかろうか。
隣りにいたフィーアにもユイのつぶやきが聞こえたようで苦笑いをしているが、当の本人であるアイラには聞こえなかったようだ。
「えっと・・・、次にクレハだけど」
アイラの胸について触れると約二名から何か言われそうなので、スルーしてクレハの説明をする。
クレハの持つスキルは、火魔術Lv1、剣術Lv1そして、ユニークスキルである金狐化Lv1だ。
「金狐化はクレハの種族の身体強化系のユニークスキルだね。レベルが上がるとより強化されるみたいだから、頑張ってレベルあげようね。」
使用するために魔力を消費するスキルだが、レベルが上がれば消費量が減るようなので頑張ってもらいたい。
「ん、頑張る」
これで全員の紹介は終わりかな。
「あと、アイラとクレハをパーティーメンバーにするにあたって皆に大切な話があるんだ。」
そう前置きすると、4人の表情が少し硬くなった。
「パーティー名どうしようか?」
そう言った俺を呆れた表情で見てくる4人・・・。
やめて皆そんな顔で俺を見ないで!
タイトル詐欺ですごめんなさい。
実際はただのステータス振返り回でした。
本当はパーティー名を決めるとこまで書こうと思っていたんですが
中々いい名前が思い浮かばずに・・・(ネーミングセンスください)
かなり前の後書きでも書きましたが、パーティー名募集しています!!!!
感想に書いていただけると助かります。




