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フレデリックの依頼

 大声で騒ぐフレデリックを尻目に俺を待つ二人の元へ向かった。


「二人共おまたせ」

「ケイ様お疲れ様です」

「ご主人様おかえり。まだ気付かれてないわよ」


 どうやらフレデリックは自分のことに精一杯でユイの存在に気付いてないようだ


「あいつが何を騒いでいるのかわからないけど、用も済んだし宿屋・・・宿屋聞くの忘れた」


 魔族の話ですっかり頭から離れてしまったな。


「ちょっと聞いてくるから待ってて」


 この街のことは分からないから適当に宿を探すよりこの街に詳しいであろう受付嬢さんに聞いたほうがいい宿に泊まれそうだ。


「わかりました。ではここでもう少しお待ちしています」


 二人をこの場に残し、先程の受付嬢さんのもとへ向かう。


「あれ?ケイ様どうかいたしました?」


 さっきの今で戻ってきたから何かあったと思うよね。


「この辺でいい宿を教えてほしいんです。この街は初めてなもので」

「宿ですか。そうですね…」


 受付嬢さんにおすすめの宿屋を幾つか教えてもらった。後で二人と話してどこに泊まるか決めよう。


「そうだ!ケイ様、申し訳ありませんが少しよろしいでしょうか?」


 受付嬢さんが何かを思いついたようだ。


「待たせている人達がいるので長くなければ…」


 何のことかわからないが、長居する気は無いので手短にお願いしたい。


「マスター!ケイ様が少し大丈夫なようですけどどうでしょうか?」


 受付嬢さんがいつの間にかに隣の受付にいたギルドマスターのハインツに声を掛ける。ん?隣の受付?


「ああ、ケイ君申し訳ないね。こちらの方の依頼について君にお願いできたらと思うんだけどどうだろうか」


 そう言いながらハインツが指す相手はフレデリック・レストホルンだ。依頼の内容は分からないが、ユイのこともあるしできるだけ回避したい。


「こんな若いやつで大丈夫なのか?僕の依頼を受けられるんだろうな?」

「それに関しては問題ありませんよ。彼は若いですが現在Bランクの冒険者でAランクへの推薦も私を含め二人分ある将来有望な若者ですよ」

「それならいいだろう。だが、僕の依頼を受けて失敗したらただじゃ置かないからな」


 ハインツやめて推さないで。俺はこいつとあまり関わりたくないんだよ。 


「どうして俺なんですか?」

「彼の依頼内容はギルド的にはSランク相当なんだが、今この依頼を受けられる冒険者がいないんだよね」

「俺もBランクだけど良いんですか?パーティーランクもDでSランクの依頼を受ける権利ないと思うんですが」


 冒険者ランクは一つ上、パーティーランクは二つ上の依頼しか受けられない。俺は現在BランクでパーティーランクはDの為、Aランクの依頼までしか受けることはできない。


「君の実力なら今回の依頼は大丈夫だと思ってね」


 恐らく魔族を討伐した実績を見て考えているのだろう。


《魔族化したブラッドウルフを討伐依頼するとしたらSランク相当となります。ケイ様の実力なら問題ないと判断したのだと思います。魔族は最低でもSランク扱いになります》


 あのブラッドウルフのランクはSなのか。そして、魔族は最低Sランクになるのか。


「取り敢えず、内容だけ聞いてもいいですか?依頼内容知らずに受けることもできないので」


 本当は断りたいけど、何も聞かずに断ると隣の貴族が何を言うかわからないからね。


「そうだね。依頼内容も伝えずに受けてくれなんて言えないか」


 そう言いながらハインツが俺に依頼内容を伝える。


 ハインツから聞いたフレデリックの依頼内容は、竜種に連れ去られたフレデリックの奴隷達を連れ戻すという内容だ。

 奴隷を取り戻したいと言うだけなら良いやつに思えるな。


「あの奴隷達に一体幾ら掛けたと思う?竜種に連れ去られたと言え冒険者が取り返せばいいんだよ!それなら新しく奴隷を買うより安く済むだろ?」


 前言撤回、こいつ自分の事しか考えてない。ユイが言っていた傲慢な奴というのも納得できる。


「竜種とは戦ったことが無いので、急に戦えと言われても難しいですね。今回の依頼を達成できる可能性はかなり低いと思うので申し訳ないですが今回は…」

「何を言っているんだお前?」


 いや、お前が何言ってるんだよ。


「おいギルドマスターこいつ以外に依頼受けられる奴はいないんだろ?」

「ええ、この街に現在居る冒険者で受けられる難易度を凌駕しています。そもそもAランク以上の冒険者は数も少ないですからね。Bランクパーティーならそこそこ数はいますが生憎今はこの街にいません」

「それならこいつに受けさせるしかないんだろ?それなら決まりだ。お前、この街の領主の息子であるフレデリック・レストホルンが命じる。竜種へ挑み僕の奴隷を連れ帰るんだ!」


 どうやら拒否することはできないようだ。仕方無い、フィーアとユイは表に出さないように俺が1人で受注する形にしておこう。


「わかりました。ただ、今回の依頼内容ですと俺のパーティーには荷が重いと思うので俺1人で行います」

「何人でやろうが構わないさ。僕の奴隷さえ取り戻せればいい」


 俺のパーティーメンバーには興味無いようだな。それなら二人に興味を持つ可能性も少ないか。


「それで、竜種の情報を教えてもらえますか?」


 竜種というくらいだからドラゴンとかなのか?


「いいだろう。今回お前が相手する竜種はレッドドラゴンだ」


 レッドドラゴン?どれ位の強さなんだ?


《レッドドラゴンは火属性の上位竜種です。依頼難易度としてはSランクが妥当ですが、所有スキルや年齢によってはSSランク扱いになる可能性もあります》


 SSランクの可能性があるのかよ!


「レッドドラゴンでSランク扱いになるんですか?」

「うむ。今回相手するレッドドラゴンは比較的若い個体だったようだからSランクでも問題ないという判断だ。それに、討伐ではなく奴隷の奪還が依頼となるから討伐より多少は安全になるからね」


 いや、奴隷を連れて帰るなら討伐とセットになるだろ。流石に奴隷二人を連れてレッドドラゴンから逃げ切れる気が一切しないよ。


「わかりました。連れ去られたと思われる場所を教えてもらえますか?」

「場所はコルト山だ。僕の奴隷が乗った馬車を抱えて飛んでいったのがコルト山だから間違いない」


 その山どこにあるんだ?


《コルト山はアトシュの街の東にある山です。馬車で1日程の距離になります》


 ナイさんナイスサポート。


「コルト山ですか。わかりました」

「それと今回の依頼の期限だが3日以内だ」

「3日ですか?それはなぜ」


 3日とか無理だろ、準備もできないしスキルも作る余裕ないじゃん。


「レッドドラゴンは人類を攫うと餓死するまで待つという習性があるんです。フレデリック殿の奴隷が攫われたのが3日前らしくね。あと2日程度が限度だと思われるんだ」


 餓死するまで待ってから食べるとか何その習性怖い。


「確かに、それなら急がないといけないか。他になにか情報はあるかい?」

「いや、これで全てのはずだ。急に依頼して申し訳ない。仮に失敗した場合のすべての責任はギルドが負うことを約束するよ」

「失敗してみろ。奴隷の代金は最低でも保証させてやるからな!」


 急に高難易度の依頼を押し付けた負い目なのか、失敗しても俺に非はないようにしてもらえるらしい。


「いいか!絶対失敗するんじゃないぞ!」


 そう叫んでフレデリックがギルドから出ていった。


「ふう…。君には悪いけど無理だけはしないでくれ」

「わかりました。それでは準備をするのでこれで失礼します」


 ハインツに挨拶をして俺を待つ二人の元へ向かう。

 面倒な依頼を受けてしまったものだが、なんて説明しようかね。


繁忙期早くお~われ!

来週の土日で2話上げられるかもしれないです。


ストックを年末年始で放出しきったので

そろそろ貯めたいですね…

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