アトシュの街へ
異世界生活26日目、俺達はアトシュへ向けて歩いている途中だ。
《特技生成、特技再使用のクールタイムが終了しました。再利用可能です》
昼食を取り、1時間程歩いているとナイからスキルのクールタイムが終了した報告が脳内に響く。
「スキルのクールタイムが終わったみたい。これで特技再使用を使える様になるから特技転送を使おうか。ちょっと早いけど、ここで一旦休憩にしようか」
「わかったわ。確か魔力を増やしやすくするスキルだったわよね」
今回作る予定のスキルは魔力成長促進スキルだ。特技再使用で特技転送を再利用可能な状態にし、ユイへ渡すつもりだ。勿論フィーアにも渡すつもりだが、今は後衛で魔法を使う機会が多いユイが優先となる。
「そうだよ。フィーアは明後日渡すからもうちょっとだけ待ってて」
「わかりました。わたしは槍での戦いがメインですからね」
どうやらフィーアも理解してくれているようなのでこちらとしても助かる。
「それじゃ、ユイに魔力成長促進を渡すよ」
そう宣言するとスキルを順番に発動させていく。
『特技生成』、『特技再使用』、『特技転送』
スキルを全て発動してユイに魔力成長促進スキルを渡す。鑑定スキルで譲渡できているか確認して問題ないことをユイに伝える。
「問題なく魔力成長促進を渡せたよ。まだレベル1だから恩恵は少ないと思うから特技再使用に余裕ができたら特技成長でレベルを上げていこうか」
俺のスキルでスキルレベルを上げることは出来るけどそれだけだと効率があんまり良くないんだよな。スキルレベルを上げられるのは魅力的だけど最短で2日に一回だけだから二人を交互に上げるとなると4日に一回となる。しかも上げられるのは1つのスキルのみだ。
そう考えると以前女神が言っていた取得経験値○倍や必要経験値○分の1のスキルを譲渡するのも良いかもしれない。因みに倍率の最高はいくつなんだろう。
《倍率を固定するのはユニークスキルとなります。コモンすきるでしたら、取得経験値上昇、必要経験値減少スキルとなります。共にレベル×1倍となります》
倍率固定はユニークスキルになるのか。一応スキル経験値に関与するスキルは存在するみたいだかけどレベル1じゃ全く役に立たないな。これらのスキルレベルも上げないといけなくなってしまう。
それならいっそ俺のユニークスキルとしてパーティーメンバーの取得経験値上昇や必要経験値減少のスキルを覚えられないだろうか。
《スキル自体は作成可能ですが現在のケイ様の魔力量では足りない為、少しデメリットをもたせる必要があります》
作成自体は可能なようだ。デメリット部分も少しでいいみたいだ。例えば消費削減みたいにレベル制にしてしまうのはどうだろうか。
《レベル制でしたら問題ありませんが、スキルレベルにかかる倍率はコモンスキルと同様のレベル×1となります》
スキルを上げるのに必要な経験値がどれ位になるか知らないけどせめてレベル×2にはしたいな。
《倍率をレベル×2に上げる場合はもう少しデメリットを付与する必要があります》
こっちも後少しでいいのか。どの程度のデメリットがいいのだろうか。
《一番無難なデメリットとしてはこのスキルのレベル上昇を特技生成に限るもので問題ないでしょう》
どうせ特技生成でしかスキルレベルを上げる予定は無いし、それなら実質デメリットは無いといえるかな。明日は取得経験値上昇スキルを取得しようかな。
「ケイ様?どうしました?」
ナイと脳内で会話していたらフィーアが声をかけてきた。じっと固まっているから心配してしまったようだ。
「ごめんごめん。ナイとスキルについてちょっと確認していたんだ」
二人にナイとの会話の内容と明日の取得予定スキルについて伝える。昨日俺のスキルを伝えた際にナイの存在も伝えている。
「スキルレベルのレベルアップ効率を上げるスキルね。一応存在は聞いたことあるし、ナイさんが言っているようにスキルレベル1では役に立たないって聞いたことがあるわ」
ユイはスキル成長促進系スキルの存在を知っているようだが、やはりレベル1で役に立たないので殆ど死にスキルとなっているようだ。
「スキルレベルが上がりやすくなるならご主人様の考え通りわたし達のスキル成長の効率ももっと上がると思うわ」
「そうですね。ケイさんの負担を少しでも減らせるといいのですが…」
二人共スキルの取得には肯定的なようだ。フィーアは俺の負担を減らしたいようだが二人共大切な仲間だから少しでも強くなってもらいたいから、負担でも何でもないんだけどね。
「明日はさっき言ったスキルを取ろうと思う。明後日はフィーアに魔力成長促進スキルを渡すことになるから、もう一つのスキルはその後かな」
ちょっと先になってしまうが仕方無い。
「しばらくはこの2つのレベルを上げようと思うけど、他にいいスキルあったりするのかな?」
今まで俺の考えだけでスキルを作ってきたから二人の意見も確認したい。
「そうですね。ケイ様は魔術をメインで使って戦うので、並列思考のスキルなんてどうでしょうか」
並列思考があれば同時に複数の魔術を使用できるようになるらしい。果たして俺の個人魔法にも適応されるのかは不明だが考えておく余地はありそうだ。ダメならナイに相談してユニークスキルとして作ってしまえばいいのだから。
「一応考えておくよ、ありがと。ユイは何かある?」
「急に聞かれても直ぐにはでてこないわね。新しいスキルはまだ先になるのよね?それなら思いついたら言うようにするわ」
流石に急に言っても直ぐには出てこないから仕方無い。
「そうだね、何かあったら頼むよ。休憩ももう大丈夫かな?」
俺のスキルに関して今後の予定もついたし、休憩もそこそこ取れただろう。
「大丈夫ですよ」
「私も問題ないわ」
「それじゃ、そろそろ出発しようか」
「「はい!」」
俺達はアトシュの街へ向かって歩き出した。
それから何度か休憩を取りつつあるき続けるとなんとか日が暮れる前にアトシュの街へたどり着いた。
着いたはいいが、街に入る門の前に列ができている。どうやら検問にかなり時間が掛かりそうだ。
「アトシュじゃこれくらいは普通よ。今日は少ないくらいかもしれないわね」
アトシュはワンフォード王国で首都であるフォーカスに次ぐ都市らしい。その為商人の入りも多く、入るだけで一苦労らしい。
「こればっかりは仕方ないさ。並んで待つしか無いね」
ギルドカードを門番に見せて街に入る頃には間もなく日が落ちる頃になっていた。
「街に入るのに思ったより時間掛かっちゃったな。時間的に遅いけど一応冒険者ギルドに向かってみようか」
「そうですね。ギルドへの報告は今日中に済ませて明日は簡単な買い出しだけにしたほうがいいと思います。宿もおすすめを教えて貰えるかもしれませんし」
「私の都合で本当ごめんね?」
冒険者ギルドへ行けばある程度信頼できる宿の情報も得られるからな。それにユイは何も悪くないので気にしなくてもいいだろう。
「それじゃ、冒険者ギルドへ行こうか。ユイももう気にしないこと」
「わかったわ。ありがと」
ギルドまでの道は街に入る際に門番に確認してある。
冒険者ギルドへついた俺たちを迎えたのは若い貴族の叫び声だった。
「僕はこの街の領主の息子だぞ!何故僕の依頼が受けられないんだ!」
それは現在俺たちが一番会いたくない相手だった。
超高速でフラグ回収しました。
こっちのフレデリック君は死んだフレデリック君と別人物なのでちゃんと生きています。
仕事の都合で平日投稿がきつくなってきたので、基本土日の投稿になると思います。
3月まで繁忙期なのでそれが過ぎれば平日も投稿できるようになるはずです。




