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フィーアのいた村

 俺達はブラッドウルフを倒した後、アトルスの森を抜けフィーアの村にやってきていた。

 村は酷い有様で、火の手は上がらなかったようだが、所々に血の跡がある。住民の死体はブラッドウルフに食べられてしまったのか、骨すらも見当たらなかった。

 その為、俺達はフィーアが両親と暮らしていた家を訪れており、フィーアは両親の部屋で報告をしていた。


「お父さん、お母さん。わたし、ご主人様達と一緒に敵撃ったよ」


 家に入ったフィーアは両親の部屋へ行き二人に報告をしていた。写真等は無いが、フィーアの両親が過ごした場所だからここがベストなのだろう。


 俺達はフィーアが両親へ報告を済ませるとリビングに集まっていた。


「今日はこの村で一晩休んで明日アトシュに行こうか」


 二人共あの戦闘で疲れているだろうし、ここからアトシュまで徒歩で半日はかかる。朝一で出発すれば夕方には街に着くだろうし、ギルドへの報告も明日行おうかな。

 倒したブラッドウルフの魔素は回収できなかったが、俺の収納に収めているので後でギルドに引き取って貰う予定だ。因みに、ブラッドウルフを収納するためにレベルを1つ上げてある。どうせ上げるつもりではいたが、勿体無い気もしなくもない。


「わかりました。では、食事の準備をしますね」

「私は使うところだけ掃除しちゃうわ」


 今日はフィーアの住んでいた家に泊まる予定だ。ブラッドウルフの襲撃の影響で少し損傷しているが問題ないだろう。

 夕食はフィーア、寝るための片付けをユイがしてくれるようだ。二人共昼間の戦闘で疲れていると思うけど大丈夫かな?一応ユイの回復魔法で傷は癒えているはずだけど、回復魔法で体力は回復しないからな。





「フィーア、君の目的だったブラッドウルフを討伐をしたから、君を奴隷から解放しようと思う」

「はい、よろしくお願いします」


 夕食を食べ終えるとフィーアに以前約束した奴隷解放の件を伝える。

 奴隷から解放する方法はナイから聞いているから問題ない。契約には奴隷商のスキルが必要になるらしいが、解放は奴隷商抜きでもその奴隷の主人が行えるらしい。


「わかった。君を俺の奴隷から解放するよ」


 フィーアの額に手を当てて奴隷解放の宣言を行う。

 宣言を行うと共にフィーアの体が淡いピンク色の光に覆われたがその光はすぐに拡散した。


「これで大丈夫かな?」


 念のために鑑定スキルでフィーアを鑑定しておくか。


フィーア

 種属:人間

 所有スキル:槍術Lv6、魔槍術Lv1、料理Lv1、水魔術Lv1、???


 フィーアにあった奴隷の文字が消えていた。問題なく奴隷解放が行えたらしい。


「どうやら成功したみたいだ。フィーアはもう俺の奴隷じゃないから、自由に生きてくれ」

「ご主人様、今までありがとうございました」


 そう言いながらフィーアが頭を下げた。

 ブラッドウルフを倒すという目的も達成できたし、これからは自由に過ごして欲しい。


「それではケイさん。これからよろしくお願いします!」

「これからよろしくということは一緒に来るの?」

「はい。これからは奴隷としてでなく、フィーアとして付いていきます」


 フィーアの中で奴隷から解放されて一区切り着いたのだろう。今度は俺の奴隷としてでなく、1人の少女のフィーアとして付いてくると言う。


「わかった。それじゃあこれからもよろしく頼むよ」

「フィーアさん。これからもよろしくね」


 ユイもこれからもフィーアが一緒にいるのが嬉しいらしく満面の笑みだ。


「ユイさんもこれからよろしくお願いします」

「フィーアさん、貴方は奴隷から解放されたんだから奴隷の私にさん付けなんて無くていいわよ。本当なら敬語も止めてほしいんだけどね」

「わかりました。ユイちゃんでいいですか?敬語は…話し方がこれで慣れてしまったのですいません」

「フィーアさんが呼びやすければそれでもいいけど呼び捨てでも良いのよ?」


 ユイは奴隷である自分とフィーアをしっかり分けたいのだろう。


「明日は朝早めにここを出発すれば夕方にはアトシュに着くと思う。それでいいかな?」

「わかったわ。でも、約束していたご主人様について教えてもらえる?」


 ブラッドウルフを倒したら俺のことについて教えると約束していたからね。


「わかった。これから話すことは嘘偽りのない本当のことだ」


 そう前置きして俺が別の世界で死んでこの世界に転生したこと、俺の持っているスキルについて二人に説明をした。


「ケイさんは伝説の勇者様と同じ別世界の方だったのですね」

「それに、スキルを作るスキルなんて凄いスキルよね。作るだけじゃなくてレベルアップまで出来るなんて」


 話を聞いた二人は最初は驚いていたが、これまでの俺を思い出して納得したようだ。


「そういうわけだから、一応他の人には言わないでくれ。それと、これから二人にもスキルを覚えて貰う予定だからスキルについて見つかると面倒なことになると思うから頑張って隠してくれ」


 スキルを他人に与えることができたり、スキルレベルを自由に上げることが権力者にバレたら面倒臭そうだしね。


「わかりました。これはわたし達だけの秘密ということですね」


 大切な話だが、何故かフィーアは嬉しそうにしている。


「私はご主人様の奴隷だから絶対に言わないわ。だから安心していいわよ」


 ユイも絶対に言わないと誓っているようだ。


「二人共ありがとう」


 簡単にだが、俺のことは伝えることができた。二人共いい子だからちゃんと秘密にしてくれそうだ。


「えっと、明日のことと言うよりアトシュでのことなんだけど…。奴隷の私が言うのもおかしいのは分かっているわ。でも、私はアトシュについたらギルドと宿屋以外の場所にあまり行きたくないんだけど良いかしら?」


 話し合いを終了しようとしていた俺達にユイが発言した。


「それは構わないけど、一応理由を聞いてもいいかい?」

「そんなに大した理由じゃないんだけど、あの街に私の家の知り合いの貴族の家があるのよ。そこの跡継ぎの息子がしつこくって…。私が奴隷になるって時もあいつにバレていたらどうなっていたか…」


 どうやらユイに熱心だった貴族の息子がいたようだ。確かに貴族の息子に今のユイが見つかるといろいろと面倒臭そうだ。


「そういう理由なら仕方ないか。俺も貴族と関わりたいと思っていないからね」

「私のことでごめんなさい。一応私も貴族の娘だったから、付き合いがあった貴族はそんなにいないけど一部交流があった貴族は今後も枷になるかもしれないわ」


 ユイは自身が過去に貴族であり、それが原因で俺に危害が加わる可能性を考えてくれているのだろう。


「それはユイを買った時に覚悟していたことだから気にしないでくれ」


 元貴族だというユイを買ったのだ。それくらい覚悟している。


「そう言ってもらえると助かるわ。一応アトシュにいる私に執着している貴族の情報だけ伝えておくわ」


 ユイに教えてもらった貴族の息子の名前はレストホルン伯爵家の息子であるフレデリック・レストホルンというらしい。

 フレデリックとかゴブリンに殺された冒険者がいた気がする。


「伯爵家でぬくぬくと育てられた息子だからかかなり傲慢な性格よ」


 そんな息子なら本格的に出会わないほうがいいな。一応貴族だから俺達が行く範囲内なら出会う確率も低いと思うけど、長居は禁物だな。


「アトシュはギルドに行って宿で一晩明かしたら直ぐにエコーリアに戻ろうか」

「そうしてもらえると助かるわ」


 アトシュで観光はできないが、貴族と面倒な関わりを持つよりましだ。


「他には何もないかな?それじゃあ、明日は早いから簡単に体を拭いて寝ようか」


 明日の朝は早いため今日はもう休もう。


暫く平日投稿が難しいかもしれません。

主に魔物(仕事)のせいですが・・・。


この話から二章開始です。どうぞお楽しみに。

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