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ブラッドウルフ戦に向けて

 異世界生活23日目は簡単にユイの戦闘訓練を行いながらゴブリンの森を抜けた。

 ユイは後衛の為戦闘は遠距離からの攻撃だが、戦闘に対する恐怖が少しあったようでぎこちない動きをしていた。しかし、少しだけあったその恐怖も2回目からは殆ど無くなり、何度か戦ううちにフィーアとの連携も問題なくこなせるようになった。


「これで私も少しだけ役に立つかしら」


 ユイが使える魔法はライトショットとヒールだが、ヒールは回復魔法のため、今回の戦いでは使用していない。その為、ライトショットしか使えない状況でフィーアのサポートをする練習をしていた。

 何度か戦闘を行うだけでユイとフィーアの連携はかなり良くなったようで、最後の戦闘では6体のゴブリンを2人で倒しきったほどだ。


「明日光魔術をレベル3にするから、簡単にライトアローを使った連携の確認をしようか」

「そうね、フィーアの動きに合わせられるようなタイミングで打てるようにしておかないとね」


 後衛が前衛の動きを阻害する動きをするのはありえない。それに、フレンドリーファイアの可能性もあるのだ。


「わたしもユイさんの新しい魔法を確認しておいた方が動き方を決められますしね」


 前衛もまた後衛の動きを阻害しないように位置取りをする必要があるし、場合によっては位置取りで後衛に攻撃指示を出すこともできるようになる。

 まあ、槍はどちらかと言うと中衛になるのかな?位置取りが大切な武器だから完全な前衛ではないだろう。


「それじゃあ、明日はアトルスの森まで行って拠点を作って残り時間でアトルスの森で軽く狩りをしようか」


 ゴブリンの森を抜けた先にあるラルク平原からアトルスの森までは徒歩で8時間程度らしい。



 異世界生活24日目、俺達はユイのスキルレベルを上げつつ昼食を食べ終えていた。


「それじゃあ、ユイのスキルレベルも上げたし、試しに発動してみて。的はあそこにある岩で」

「わかったわ。いくわよ!『ライトアロー』」


 ユイが光魔術スキルレベル3で使用できるようになるライトアローを発動すると光の矢が現れ、一直線に岩に向かって飛んでいった。光の矢は岩に刺さると刺さった穴を残して霧散した。


「岩に刺さる程の威力はあるのか。結構強力だね」


 当たりどころが良ければゴブリンを一撃で倒せる威力を持ってそうだ。


「そうね。でも結構魔力消費大きいわ。戦闘を行う毎に使っていたらすぐに魔力が無くなっちゃいそうよ」

「そうか、魔力が増えるまでは必要な時にしか使わないようにな」

「わかったわ。でも、魔力なんてそう簡単に増えないわよ?ご主人様の魔力量が多すぎるのよね。増える速度も凄く早いみたいだし…」


 あの女神のおかげか、俺は魔力量が多く、魔力を増やしやすい体となっているようだ。


「後衛なのに魔力が少ないと不便だな。今度魔力を増やし易くするスキルや消費量を減らすスキルを渡そうか」


 パーティーメンバーには少しでも強く育ってもらいたいからね。何かあったら困るし。


「そういえばフィーアさんもご主人様からスキルを貰ったのよね。魔力が増え易くなるスキルなんて聞いたこと無いけど…。ご主人様なら何とかなりそうね」


 あれ?魔力が増やし易くなるスキル無いの?


《存在はしますが、一般的に認知されていないスキルです。極一部のエルフのみ所有するレアスキルとなっていますが、コモンスキルのため特技転送(スキルトランスファー)にて譲渡可能です》


 一応スキル自体は存在しているのか。ていうかエルフも存在するのね…、流石異世界。


「そういうスキルもあるみたいだから今度渡すよ。ブラッドウルフ戦までには間に合わなさそうだから、今は魔力消費を考えながら戦おうか」


 今無いものをいつまでも考えていても仕方ないからね。


「そうね。そんな素敵なスキルがあるなら欲しいけど、今は無いのだから今ある手札で頑張るわ」


 ユイは聞き分けが良く、状況判断もしっかりできているようだな。


「それじゃあ、アトルスの森に向おうか。森で少し戦闘をするから魔力消費を止めて温存しようか」

「「はい」」


 森に着くまでに魔力使い切っても仕方ないからね。



 それから暫く歩くと大きな森が見えてきた。


「あれがアトルスの森かな?」

「はい」


 少し前までフィーア暮らしていた村の近くにある森だからか、フィーアの返事は少し暗い。


「フィーア、気になるなら一回村に行っても良いんだよ?」

「いえ、今は大丈夫です。でも…、ブラッドウルフを倒した後に村に行ってもいいですか?お父さんとお母さんに報告をしたいので」

「勿論だよ」


 フィーアの帰郷は森を抜けた先にあるようなのでどのみちブラッドウルフを倒してから行こうと思っていたんだけどね。


「それじゃあ、ここに拠点を作ろうか。ちょっとまってて」


 拠点を作るのも4度目だから少し楽をさせてもらおうかな。ナイ、フォローお願い。


《承知いたしました。前回拠点作成時の構造を出力、魔術構築へ干渉…・・・・・・。準備完了しました》


『アースクリエイト』


 ナイにアシストをしてもらい、いつも作ってた拠点を一瞬で造り上げた。ナイありがと。


「よし、上手く行ったな。二人共おまたせ」


 大して時間は掛からなかったけどね。


「え?もう終わりですか?いつもはもう少しかかっていたような気がしますが…」

「魔術構築にちょっと手を入れてね。いつも作ってる拠点の形になるようにしたんだ」


 やったのは俺じゃなくてナイだけどね。まあ、俺のスキルだから俺がやったようなもんだよね。


「流石ご主人様です!」

「本当凄いわ。スキルの魔術構築に干渉なんてどうやってやるのかしら…」


 俺はやってないですごめんなさい。


「ま、まあ、その辺もそのうちね」


 どうせ二人には俺が転生者だって伝えるつもりだからね。ナイについても教えて問題ないだろう。


「拠点もできたし、連携の確認をしながらブラックウルフを倒そうか」

「「はい!」」


 森に入るが、今日はブラッドウルフと戦う気はないからね。

 ブラッドウルフを避けながらブラックウルフ討伐を行う予定だ。勿論、ナイにサポートしてもらってね。



 森に入るとナイにブラックウルフを探してもらうが、大半がブラッドウルフの近くに居るらしい。どうやらブラックウルフはブラッドウルフの支配下にあるようだ。


「フィーア、君の街をブラッドウルフが襲った時は一緒にブラックウルフがいたかい?」

「いえ、わたしの村が襲われた時はブラックウルフはいませんでした。もし居たらわたしは死んでいたと思います」


 成程、ブラッドウルフが配下を持つようになったのは最近ということか。それに、もう少し保つと思われたブラッドウルフの滞在期間が短くなった原因も同じだろう。


「ブラッドウルフと少し距離がある個体を狙おうか。今日は事を構える気がないからね」

「わかりました」


 本当は複数個体と戦いたかったが、仕方無い。


「群れと戦うことはないと思うけど気をつけてね」


 連携確認の為にフィーアとユイの二人で戦って貰う予定だからね。



 森に入るとナイの案内に従ってブラックウルフを見つけ戦闘を行っていた。ブラックウルフはその名の通り、全身が真っ黒な全長2m程の狼だ。

 フィーアが槍でブラックウルフの動きを撹乱している間にユイがフィーアに当たらない位置から機会を伺って魔法を打ち続ける。しかし、ブラックウルフの方が上手のようで魔力を感じると直ぐに後退して回避行動を取る為、なかなか決定打を与えられない。


「フィーアさん大丈夫?」


 一度ライトアローを放ち、大きくブラックウルフが離れた隙にユイがフィーアに近づき、簡単に作戦会議を行う。


「まだ大丈夫です。でも、魔力を感知して回避されるのは厄介ですね。動きも素早いので槍で致命傷も与えられませんし…」

「そうね、それなら私が魔法で誘導するから、私に気が向いている間に攻撃してもらえるかしら?」

「わかりました。ユイさん、気をつけてくださいね」


 どうやらユイが敵を引き付け、その間にフィーアが攻撃を行うらしい。しかし、ユイは前衛としての戦いを全く積んでいないので半分賭けであろう。一応俺も何かあった時に護れるように待機しておくか。


「いくわよ!『ライトショット』!」


 光の玉をブラックウルフに向けて放つ。しかし、ブラックウルフは放たれた魔法を回避する。


『ライトショット』『ライトショット』『ライトショット』


 ユイは回避されるのも構わずにライトショットをうち続ける。いや、回避される前提で打ち続けている。


「…っ『ライトショット』!」


 ユイが放つライトショットが一瞬遅れて発動され、ブラックウルフはその隙を突いてユイに突進した。


「フィーアさん!今です!」

「はい!」


 ユイはわざと隙を作りブラックウルフの行動を単調にしたようだ。真っ直ぐユイに向かって突き進むブラックウルフにフィーアが横から突きを繰り出す。

 ユイに向かって勢いをつけて突進していたブラックウルフはフィーアの突きを回避することができず、槍の一閃により足を負傷する。足を負傷した狼など二人の敵ではない為、程無くこの戦闘は二人の勝利で終了した。


「二人共お疲れ様。ちょっと危なかった部分もあるけど無事勝ててよかったよ。反省会は拠点でするとして、今日はもう終わりにしようか」


 この一戦で思ったより時間を消費してしまったので、今日は拠点で休んだほうがいいだろう。二人を連れて拠点へと戻る。

 いよいよ明日はブラッドウルフ戦だ

 


**********


 高木 京 (タカギ ケイ)

 種属:人間(転生者)

 冒険者ランク:B

 パーティーランク:D

 装備:火鼠のローブ

 所有スキル

 ユニーク:特技生成(スキルクリエイト)Lv--、案内者(ガイド)Lv--、個人魔法(オリジナルスペル)Lv--、消費削減(コストカット)Lv4、特技再使用(スキルリユース)Lv-、特技転送(スキルトランスファー)Lv-、物理魔法(フィジカルマジック)Lv-、育成魔法(レベルアップマジック)Lv-

 コモン :魔術構築Lv-、鑑定Lv9、収納Lv3


 フィーア

 種属:人間(奴隷)

 パーティーランク:D

 装備:ミスリルの槍、ウォータードラゴンの鎧

 所有スキル

 コモン:槍術Lv6、魔槍術Lv1、料理Lv1、水魔術Lv1

 鑑定不能:???


 ユイ

 種属:人間(奴隷)

 パーティーランク:D

 装備:王の杖、減魔のローブ

 所有スキル

 コモン:光魔術Lv3、状態異常耐性Lv1、歌唱Lv3


ひっそりと収納と消費削減のスキルレベルが上っています…。



仕事が始まったので投稿が少し遅くなってしまいました。

楽しみに待っていてくださった方申し訳ありません・・・。


え?楽しみになんか待ってない?

またまた~ご冗談を。

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