旅の準備
俺たちはユイのパーティー登録を行うために冒険者ギルドへ訪れた。
「おはようございます、ケイさん。今回はどういったご用件ですか?」
いつもの受付嬢さんの所へいくと声をかけてくれた。
「今日はパーティーメンバーの追加をしたいんだけど、お願いできますか?」
「パーティーメンバーの追加ですね、畏まりました。こちらに追加登録される方の詳細をご記入下さい」
受付嬢さんに渡された用紙にユイの情報を記入して渡す。
「ありがとうございます。登録するので少々お待ち下さい」
少し待つと作成されたユイのカードを渡してくれた。
「これでパーティーメンバーが3人になりましたね。4人以上になるとパーティー名が必要になるので次回パーティーメンバーの追加をする時に一緒に登録してください。勿論、今登録しても大丈夫ですよ」
「いや、次回にしておくよ」
どうせ決めるなら皆で話し合って決めたいからね。
「わかりました。次回のメンバー追加時にパーティー名の登録をお願い致します」
次のメンバーがいつ増えるのかわからないけど、それまでにパーティー名を考えておかないとな。
「これからアトルスの森に行こうと思うんだけど、そっち方面で何か依頼ありますか?」
アトルスの森はブラッドウルフの潜む森の名前である。
「アトルスの森ですか?あそこはアトシュの管轄になりますので、こちらでの受注は可能ですが報告先はアトシュになります。よろしいですか?」
アトシュの街はアトルスの森を抜けた先にあるらしい。
「受注はこっちでできるのに報告はアトシュなんですか?」
「冒険者ギルドにも管轄がありますので…」
受付嬢さんが苦笑いで答える。ギルド職員も大変みたいだ。
「わかりました。報告はアトシュのギルドにします。それで、何の依頼があるんですか?」
「アトルスの森周囲でしたら、アトルスの森内に出現しているブラックウルフの討伐依頼があります。それと…、これはAランクの依頼となるのですが、Bランク冒険者のケイさんでしたら大丈夫かと思いますが…」
どうやらAランク依頼もあるようだ。パーティーランクはDの為Aランク依頼を受けることができないが、俺のランクはBの為受けることができるようだ。
「現在アトルスの森にブラッドウルフが潜伏しているようなのでその討伐依頼が出ています。ブラッドウルフなら最低でもCランクパーティーに依頼するのですが、受けてくれるパーティーが無いもので…。勿論、ケイさんさえよろしければですが…」
そのブラッドウルフは倒す予定なのだ。この依頼は受けてしまってもいいだろう。
「その2つの依頼を受けますよ。どうせ同じ場所ですから」
「わかりました。受付の手続きはこちらで行っておきます。ケイさん、無理はしないでくださいね」
依頼受注はギルド経由で行ってもらえるらしい。受付嬢さんは心配もしてくれたしこれは負けられないな。負けるつもりもないけどね。
「色々とありがとうございます。それでは行ってきます」
いつものように受付嬢さんにお礼を言ってギルドを後にした。
「それじゃあ、アトルスの森に行こうか。何か欲しい物や必要なものはある?」
「必要なものではないですけど、拠点で使う寝具があるとうれしいですね」
成程、今まで草のベッドで寝ていたからね。俺の収納レベルを上げれば寝具を入れるスペースは確保できるだろう。
「寝具だね、分かった。昼食を食べたら寝具を買いに行こうか」
朝が少し遅かったおかげで今は少し早い昼時だからね。
「ありがとうございます!ユイさんは何かありますか?」
フィーアはもう無いようだ。
「そうね、私は初めてだから必要なものは分からないわ。次の時にあれば言うわね」
「分かった。二人共寝具以外に無いようだから昼食を食べに行こうか。前にフィーアと食べに行った所でいいかな?」
ちょっと高い店だけど美味しかったからね。二人共異存は無いようなので店に向かった。
店に着くと先日対応してくれたイケメン店員さんに案内された。
先日とは違うランチを食べながら収納スキルを上げておく。これで寝具がギリギリ入るかな?今後のことを考えて一応明日も収納のレベルを上げておこうかな。何に使うかわからないからね。
ランチを食べ終えると寝具店に向かった。
「やっぱりあのお店は美味しいですね。また機会があったら行きましょうね」
「美味しい店だったわね。家に居たときもあそこまでの料理は出てこなかったわ。…まあ、私に周ってくる料理なんて残飯みたいなものだったけど…」
フィーアとユイもランチに満足したようで何よりだ。ユイの実家の生活は奴隷以下と言っていたけど流石に残飯レベルの料理が出てくるのはちょっと…。
ユイの過去に同情しているとやがて寝具店に到着した。
店に着くなりフィーアとユイは品定めを始めたようだ。
「やっぱりご主人様と一緒に寝るならこのサイズは必要よね?」
寝具店でユイが指差すのはダブルサイズの寝具だ。
「いいえユイさん、これくらいのサイズは合ったほうが良いと思いますよ」
そう言いながらフィーアが指差すのはキングサイズのベッドだ。
「でもそれじゃ大きすぎない?どうせご主人様にくっついて寝るのに」
やっぱり一緒に寝る気なのか。いや、一緒に寝るのは良いんだけどね。寧ろウェルカムですよ。
「今はわたし達だけですけど、パーティーメンバーは6人まで増やせるのですからこれからのことを考えると大きい方が良いかと…」
フィーアさん、未来まで考えすぎですよ。ハーレム容認してくれるのは嬉しいんだけどね。
「そうね、ご主人様の魅力ならあと3人位簡単に女の子が増えそうだから大きい方が良いわね。流石フィーアね!」
ユイもハーレム容認なのか。もしかしてこの世界はそっち方向は容認してくれるのかな?
「二人共自分達以外の女の子が増えてもいいの?」
「勿論です。素晴らしい殿方はたくさん女性を抱えているものですよ?」
「一人でも多く子供を残してもらわないといけないわ」
この世界そのものが一夫多妻を推奨しているようだ。
「そっか…、でも今のところは二人以外考えられないから大丈夫かな。それでもそのサイズでいいかい?」
「いつ必要になるかわかりませんからね。後から違うサイズを買うともったいないので最初からこのサイズで良いと思いますよ」
フィーアがこのサイズがいいなら俺がなにか言うこともないな。
「分かった、このサイズを買おうか」
購入した寝具を格納すると旅の準備は完了した。
「準備も終わったし行こうか。アトルスの森はゴブリンの森を抜けてラルク平原を北に進んだところだっけ?」
「はい、ここからですと2日もあればつくと思います」
「今日はゴブリンの森前の拠点で休んで明日ユイの戦闘訓練をしながらゴブリンの森を抜けようか」
街の門へ向かいながら簡単に今日と明日の予定をたてていく。
「そうですね。日数に少し余裕があるので、そのペースで問題ないと思いますよ」
「それじゃ、行こうか…。その前にユイの光魔術のレベルを上げておこうか」
ユイにスキルレベルを上げることを伝えて、特技再使用と育成魔法を発動して光魔術スキルを上げておく。
「よし、これでユイの光魔術はレベル2になったよ」
スキルのレベルアップが終わったことをユイに伝える。
「え?もう?なんか随分あっさり上がるものなのね…。試しに使ってみようかしら『ヒール』」
ユイがヒールの魔法を発動すると淡い光がユイの体を包んだ。本来は怪我を治すスキルだが、怪我をしていないため特に効果は発動していないが、魔法の発動は成功しているようだ。
「ほ、本当に私光魔術のスキルがレベル2になっているのね」
ユイは自身のスキルに光魔法があり、それがレベル2に上がったということで感極まっているようだ。
「ユイ、使ってみて魔力はどんな感じかな?」
「今のところ問題ないわね。何回使えるか確かめておく必要あるし、ゴブリンの森に向かいながら使い続けるわ。魔力量も上がって一石二鳥ね」
「街の中だと目立つから歩きながらにしてね。それと、無茶して倒れないように気をつけて」
街の中で光り続けるのは目立つからね。
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