ユイの装備品
クリスティーナの店に行くとユイの服選びをクリスティーナとフィーアに頼んだ。
男の俺が一緒に服を選んでも仕方ないからね。クリスティーナ?心は乙女だから大丈夫。
「ご主人様、お待たせしました」
これからの予定を考えながら待っていると着替えを終えたユイがやってきた。
「どうかしら?」
やってきたユイの格好は黒いゴスロリ服だった。元貴族の気品と儚げな彼女の体に合った服装だ。
「うん、とても似合っているよ」
意見を聞かれても似合ってるとしか言えないからね。それ以外聞かれると困るんだよね。
「本当?それならよかったわ」
そっけない言葉だがその表情は嬉しそうな顔をしていた。
「クリスティーナも何度も助かるよ」
「いいのよ、ウチの店を使ってくれるならね」
今回もクリスティーナには1セット3万バルで注文している。それにしても、ゴスロリ服って3万バルで収まるのか?もう少しするイメージがあるんだけど。
「そういえば、あの子ブラ要らないって言っていたけど本当に良いの?その分服に回したいって言ってたわ」
安い理由がわかったよ…。確かに必要なサイズには見えないけど、一応女の子だしね?
「追加料金出すからそれもつけてくれ」
「分かったわ。あの子達は優しいご主人様を持って幸せものね」
クリスティーナは笑いながらユイの下着を探しにいった。
精算を済ませて店を出ると防具屋へ向けて移動していた。今日中にユイの装備を整えてしまう予定だ。
「ご主人様。さっきはありがと…」
ユイが顔を少し赤くしながら言ってきた。さっきのこととは恐らく下着の件だろう。
「気にしなくてもいいよ。でも、一応相談はして欲しかったかな。一応予算はあったけど上限って分けでも無いからね」
俺に言いにくいこともあるだろうけど、
「ええ、分かったわ。今度から何かあったら相談させてもらうわね」
「だめですよ、ユイさん。わたしたちはご主人様の奴隷なのですから、何かあったらご主人様にすぐ報告をしないと…」
「俺に言いにくいこともあるだろうから無理に俺に報告はする必要はないよ。」
奴隷とは言え二人は女の子なんだからプライベートも必要だ。
「本当にご主人様は優しいですね」
「本当ね、奴隷の私達からすると嬉しいけどちょっと心配になるくらいだわ」
奴隷に心配されてしまった。もっとちゃんとしないといけないらしい…
「その辺は俺も気をつけるけど、二人とも俺を支えてくれると助かるよ」
一人で全てを気をつけるのは難しいからな。二人にも手伝ってもらえれば俺も助かる。
《ケイ様、わたしもサポートいたしますのでご安心下さい》
ナイに関しては一番信頼しているよ、なんでも知ってるからね。
そんなことを話しながら歩いていると目的の防具屋についた。
「買うのは防具だけなの?確かに光魔術を使って戦う予定だから武器は必要にならないと思うけど…」
「ああ、武器はこれを使ってもらおうと思ってるからね」
そう言いながら俺は王の杖を取り出した。
「これは王の杖と言って、魔法の威力を上げる効果があるらしい。今は俺が持っているから街を出る時にユイに渡すよ」
「杖があったのね。それなら武器屋に用がないのも納得だわ」
武器について解決した為防具屋に入っていく。
「いらっしゃい、兄ちゃんまた来てくれたんだな」
防具屋の店員は俺のことを覚えていてくれたらしい。
「ここしか防具屋知らないからな。今回はこの子に防具を買ってあげようと思ってね」
ユイを指しながら防具屋の店員にある程度の指定をしていく。
「成程、そっちの嬢ちゃんは魔法使いなのか。それならピッタリのローブがあるよ」
そう言いながら防具屋の店員がローブを一着取り出した。
「これは減魔のローブと言って、魔法攻撃を受けた時に威力を軽減してくれる効果がある。勿論、普通の攻撃に対する防御力もしっかりある」
後衛にいるなら魔法による被弾や弓等の遠距離攻撃に気をつける必要があるから、丁度いい防具と言えるだろう。
「それじゃあ、それを頼むよ」
精算を済ませてローブを受け取り収納スキルでしまっておく。
「毎度あり、また機会があれば来てくれ」
「ああ、また使わせてもらうよ」
ここしか防具屋しらないからね。
俺達は店員にお礼を言うと店から出た。
「それじゃあ、今日の買い物はこれくらいにして宿屋に向かおうか。」
日も傾き始めたので宿屋へと向かう。
「宿屋に向かいながら簡単に明日からのことを伝えようと思う」
宿屋までは少し距離があるため明日からの行動について話し合いを行っておく。
「明日はユイのパーティーメンバー登録をしたら、フィーアのいた村まで行こうと思う。ギルドに行った時にフィーアの村の近くで依頼があれば受ける予定だ」
「随分急なのね。もう少し準備とかするのだと思っていたわ」
ユイが当然の質問をしてくる。
「俺の収納スキルに食料はある程度入っているからね。水も魔法で出せるから何も問題ないよ」
ブラッドウルフ討伐が完了する頃にはコテの実なくなるかもしれないからその時はある程度の食料を買い溜めておく必要があるかもな。
「ご主人様は鑑定だけじゃなくて収納も使えて魔法も使えるのね。一体いくつレアスキルもっているのかしら」
鑑定も収納もコモンスキルだが魔術スキルと同じで生まれつきでしか所有できないレアスキルらしい。
「ご主人様は素晴らしい方なのでなんだってできますよ」
だからフィーア、それは説明になっていない。
「俺についてはそのうち教えるよ。とりあえず今回の事を片付けたらかな」
俺が異世界人だということはこの二人なら教えても大丈夫だろう。
「それじゃあ、教えてもらえる時を楽しみにしているわ」
「そうですね。わたしも楽しみにしています!」
そう言ってフィーアとユイがニコっと笑った。美少女二人の笑顔を同時に見れるなんて幸せだな。
宿につくと部屋を取ろうと大将に話しかけた。
「悪いな、またあの部屋しかないんだよ。3人で少し狭いかもしれないけどいいかい?」
フィーアとユイと一緒の部屋らしい。二人とは部屋を別にしていたからな…。
「わたしはご主人様と同じ部屋で大丈夫ですよ?」
「私も問題ないわ。奴隷に気なんて使わなくて大丈夫よ」
二人はOKらしいな…。仕方ない、今回も彼女たちと同室だな。
「それじゃ、一部屋借りるよ」
「悪いな。値段は少し割り引かせてもらうよ」
大将が気を利かせて宿泊代を少し安くしてくれた。
部屋へ行くとこれからのことについて話し始める。
「ユイ、俺達はこれからフィーアの村の仇であるブラッドウルフを討伐する予定だ。ランクAの魔物だから今回は無理についてくる必要はないよ。一応、近くに安全な拠点を作る予定だから、ブラッドウルフと戦う時はそこで待機してもらってもかまわない」
ユイにブラッドウルフと戦う事とフィーアの過去を告げる。
「そのブラッドウルフっていうのがフィーアさんのご両親と村の方々の仇なのね。それなら私もパーティーメンバーとして参加するわ。私が戦闘の邪魔になる様なら教えて頂戴。その時は別の所で待っているから」
「ユイさん…。ありがとうございます!」
「フィーアさんの為だからね」
ユイも参加してくれるよだ。自身が足手まといになるようなら置いて行ってくれと言うくらいの覚悟も持ち合わせているようだ。
「それじゃあ、明日はユイにも少しだけ戦闘に参加してもらおうか。光魔術のレベル1で使える魔法ってライトショットだっけ?」
「そうよ。レベル2でヒール、レベル3でライトアローが使えるようになるから、そこまでレベルが上っていればある程度戦えるのだけど…」
光魔術レベル3まで上げれば戦力として期待できるらしい。
「それなら、ユイの光魔術スキルのレベルを2つ上げようか。5日後であればギリギリ間に合いそうだし」
特技再使用を使えば2つレベルを上げられそうだからね。光魔術レベル3ならなんとか届きそうだ。
「え?私のスキルレベルを上げられるの?本当に?」
フィーアと同じ反応をするユイ。
「ご主人様はなんでもできるんですよ。私もスキルレベル上げてもらいました」
「本当になんでもできるのね…。早くご主人様の秘密を知りたいわ」
フィーアは完全に俺を信頼しているみたいだな。嬉しいんだけだどね、そんな真っ直ぐ見られると恥ずかしいよ…。
「それじゃあ、明日の為に早く食事を済ませて寝ようか」
ベッドは相変わらず1つだけ。さあ、今夜どうしようか。
今年最後の投稿です。
11月から始めた投稿ですが、ここまで見てくださった読者の方々、
どうもありがとうございました。
来年もよろしくお願いします!
それでは良いお年を!




