快適な異世界生活のために必要なもの
記念すべき異世界転生初日だが問題が発生した。
「さて、ここはどこだ。」
そう、地図がないから街の場所も分からないし現在の自分の居場所もわからない。今は大丈夫だけど食料問題も考えなければいけない。あの駄女神なんて場所に転生させてくれたんだ。
「とりあえず、早速スキルを作るか。」
今の俺に何ができるか、とりあえずスキルを作ることだろう。今欲しいスキルはマップ系か食料系か。魔力っていうのがどの程度あるのかは分からないが最低限の生活スキルはないと即死する。
転生して即死とか笑えない。前世(体は同じだけど)では痛みもなく死んだのに、今回は餓死とか全く笑えないな。
「マップと食料両方なんとかなるスキルはないものか…」
案内してくれる人がいればこんな悩みはいらないんだけどね。うーん。それならいっそ案内してくれる人をスキルとして作ってしまえばいいのかな。そんなことできるかは知らないけど。あとスキルの使い方分からない!あの駄女神教えてよ!今度あったら上司に言いつけてやる。
とりあえずよくある特技の発動方法としてスキル名を叫んでみるかな。
「特技生成!」
……
…
「何も起きないな失敗したか?」
スキルが発動したのかもわからない。成功しても失敗しても魔力量は減るはずだから不発なのかな。
《いえ、スキルは正常に作成されています。》
頭のなかに声が響いてきた。
「誰だ?俺の頭のなかに話しかけているのか?」
《スキル名『案内者』です。マスターのスキルにより作成されたユニークスキルです。》
いきなりユニークスキルの作成に成功しているらしい。でもスキル作成時に魔力減るって言ってたけど魔力消費って体感的に分からないものなのか?
《今回の魔力消費は0です。初回限定で消費魔力が0となる設定がされていたようです。》
あの駄女神大切なこと伝えろよ。初回0ならもっといいことできたかもしれないじゃないか。
「因みに案内者を普通に作ったらどうなっていたんだ?」
《マスターの現魔力量だと作成不可となります。》
「現魔力量だとどれくらい足りないんだ?」
《現魔力量の約239倍必要となる計算です。》
初回以外作る手段殆どなさそうな魔力量設定だな。案内者が消費魔力量わかるなら次回から
案内者に聞いてから作成すればいいや。
《了解しました。次回から作成時の消費魔力量の測定を行います。》
とりあえず案内者は呼びにくいな。案内者からとってナイって呼ぶか。ネーミングセンスの塊だね!
「さて、ナイここから一番近い街はどっちでどれ位の日数がかかるか教えてくれ。」
《現在地から西に言った所にエコーリアの街があり、最短ルートで向かえば7日程度で到着します。
しかし、現在地からエコーリアの森までの最短ルートにはゴブリンの森が存在しており、森を避けると3日ほど追加されます。》
ゴブリンの森ね。まあそのまんまな名前だからゴブリンがいっぱいいるんだろうな。
7日後の俺の力で突破できるのかな。
《取得するスキル次第ですがゴブリンの森程度であれば問題なく突破できると思います。》
それならゴブリンの森ルートでエコーリアの街まで行ってみようかな。
《了解です。現在地より西に向かってください。森までは川がありますので川沿いのルートを案内いたします。》
水場の近くってのは大切だね。今は飲み水もないんだから。ナイ案内よろしくね。
*****
異世界生活4日目
異世界生活って大変だね。現代っ子には歩き続けるの辛いよ。そんな愚痴っていても仕方ないから歩き続けるんだけどね。あるき続けていたら以外となれるもので昨日からは殆ど休憩を取らずにあるき続けることができた。
そういえば魔物ともまだ遭遇していない。ナイが随時回避してくれているらしく、いきなり休憩の提案をされることがある。因みにこの辺の魔物はそこそこの強さらしい。あの駄女ry。
さて、4日目のスキルを作成しよう。ここまで作成したスキルは『案内者』、『鑑定』、『収納』だ。『鑑定』はレベルに応じて視界に写るものの情報を取得できる。レベルが6以上になると他人のスキル情報を見ることができるらしい。レベル1の俺にできるのは自分のスキル構成を確認するくらいだ。『収納』はその名の通り物を収納する空間を作るスキルである。スキルレベルに応じて入れられる量が決まっており、レベル1では物置程度のサイズだがレベル10になると無制限となるらしい。鑑定も収納も異世界と言ったらコレ!というスキルだよね。
「そろそろ攻撃手段も欲しくなってきたし。何か攻撃系のスキルを覚えようかな。」
《マスターの現魔力量でしたら魔法系のスキルをオススメいたします。》
確かに、武器はないから武術系を取得しても仕方ないし、いきなり魔物を殴り殺す気もないからね。
《魔法を使用することにより、最大魔力量が上昇するため今後のスキル作成でも有用かと思います。》
最大魔力量って魔法使うと増えるんだね。魔法使わない人からすると魔力なんて不要な物だもんね。
「でもそうならもっと早く知りたかったかな。鑑定とか今はいらないから魔法覚えちゃえばよかったよ。」
《申し訳ありません。次回からのスキル作成時に助言をいたしますか。》
「毎回助言貰っているとつまらないから有用そうなスキルとかあったら教えてくれればいいよ。最大魔力量とか俺分からないし。」
《承知いたしました。魔力量による変動で有用なスキル取得可能時にご助言いたします。》
「そうしてもらえると助かるよ。」
よし、それじゃあ新しいスキルを作るぞ。作るスキルは元々決めていたし、ナイに作成可能かも確かめている。
「特技生成!」
《スキルの作成を確認しました。ユニークスキル『個人魔法』が登録されました。》
魔法だ。ただの魔法じゃない。俺の、俺による、俺だけの魔法だ。ユニークスキルであるオリジナル魔法を作るスキルが何故こんなにも簡単に作れるかというと。通常、魔法のスキルは対象の魔法を発現する補佐をする役目をもっている。例えば火魔法スキルを使って火魔法であるファイアボールを使った場合、ファイアボールの魔法をスキルが魔術構築をして使用者が放つ形になる。その為、術者が複雑な魔術を構築する必要がない。
しかし、今回俺が作った個人魔法は魔法の構築を術者本人が行うことにしている。その為、複雑な魔術を構築する必要があり発動に時間を有するというデメリットが存在する。
特技生成にはスキル生成時にマイナス要素が含まれると作成時の魔力消費量が減るというある種の抜け技が存在する。そこで今回はマイナス要素が大きければ大きいだけ作成時の消費魔力量は減るのを利用してみた。
「明日魔法構築のスキル取得するまで死にスキルになるんだけどね。」
魔法構築を補佐するスキルが無ければ作ればいい。ただ魔法構築を行うだけのスキルなら大した魔力消費もなく作成することが可能である。
「一応どんなものか試し打ちしてみるか。」
個人魔法は個人魔法と名前が付いているが既存の魔法も使用することができる。まあ、既存の魔法通りに構築できればだけどね。魔術構築なんてやったこと無いけど、ナイの助けを借りながら初めての魔法を放つ。
『ファイアボール』
手広げて前に伸ばし、火魔法スキルLv1のファイアボールを発動する。術の構築をナイの補助を受けつつ魔法を発動したため、30秒程度手を前に突き出していると、手のひらから拳大の炎が前方に飛び出した。そして放たれた魔法は5m程先の空間で消失した。
「おお!これが魔法か!」
人生初魔法である。これは少し癖になりそうだな。明日のスキル作成が楽しみになってきたよ。
《因みに、火魔法スキル保有者であれば発動を念じるだけで即座に魔法の発動が可能です。》
やはり魔術構築を行うスキルは大切らしい。今のままだと殆ど役に立たないからね。
とりあえず、今日はこの位にして後は明日の楽しみにしようかな。
「さて、食料調達の時間だ」
現在川沿いを歩いているため水は大量にある。川を流れる水も透き通っていて時折泳ぐ魚が見えるくらいだ。一応、この辺りは水棲の魔物は存在していないらしい(ナイ曰く)。
《100メートル程先に食用の木の実があります。本日の食事はそちらでよろしいでしょうか。》
早速ナイから食料情報が提供されている。この4日間ナイから食料情報を貰っているため、今のところ餓死とは縁遠そうだ。一応非常食として『収納』にこれまでに入手したある程度の食料と水は入れてある。
因みに睡眠もナイの案内でオススメの場所で寝ているため夜に魔物に襲われる心配もない。
ナイさまさまだな!快適な異世界生活のために一家に1スキル『案内者』があると便利だね。
明日は魔術構築スキルを作るぞ!
それじゃあおやすみなさい。
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高木 京
種属:人間(転生者)
所有スキル:特技生成(ユニーク)Lv--、案内者(ユニーク)Lv--、鑑定Lv1、収納Lv1、個人魔法(ユニーク)Lv1
基本週一更新を予定していますが、一章終了までは週2~3本ペースで更新したいと思っています。
初めての作品でまだまだ未熟ですが、生暖かく見下してください。
誤字脱字報告でもいいのでコメントいただけたら更新速度上がるかもです。