西の森2
本日3話目です。
ご注意ください。
異世界生活19日目、午前中にオークを3体討伐してきた俺達は拠点の直ぐ外にいた。
「それじゃあ今からフィーアに水魔術スキルを覚えてもらうよ」
「わかりました」
フィーアの顔は未だに半信半疑といったところだ。その表情を直ぐに歪めてやろう。笑顔に。
『特技生成』
特技生成で水魔術を作った。続いて…。
『特技転送』
これでフィーアに水魔術が渡ったはずだ。一応鑑定しておく。
【
フィーア
種属:人間(奴隷)
所有スキル:槍術Lv5、魔槍術Lv1、料理Lv1、???、水魔術Lv1
】
よし、問題なく水魔術スキルが作成されたようだ。
「フィーア、終わったよ。水魔術を無事覚えられたみたいだから試しに使ってみてくれる?」
「わ、わかりました。い、いきます!えっと…『ウォーターボール』」
フィーアがスキルを発動するとゴルフボールサイズの水の玉が現れ木へとぶつかった。
「本当に使えました!すごいです!」
先程までの半信半疑だった表情から一点、フィーアは満面の笑みを浮かべていた。守りたい、この笑顔。
「これでフィーアは水魔術を使えるようになったから頑張って魔力量を増やしてくれ。勿論水魔術スキルレベルを上げてもいい」
「がんばって魔力量を増やします!もっともっと強くなるんです!」
フィーアのやる気が上がってきたようだ。もう一つだけ提案してみようか。
「フィーア、君のスキルレベルを明日1つだけあげることができる。何を上げて欲しい?」
明日になればフィーアのスキルレベルを上げるスキルが作れる。そうしたらフィーアのスキルレベルを一つだけ上げる予定だ。一応特技再使用を使えばもう一つ上げることが可能になるが、明日は俺のスキルレベル上げを優先する予定だ。
「わたしのスキルレベルを上げられるんですか?それでは、槍術スキルのレベルをおねがいします」
「槍術か、一番お世話になるスキルだろうからね。うん、いいと思うよ」
現時点でフィーアが魔槍術や水魔術のスキルレベルを上げても魔力量の問題で使用回数が限られている。それなら、使用回数が限られていない槍術のレベルを上げるのが一番であろう。料理は戦闘スキルじゃないので除外だ。
「水魔術を覚えても体への負担は少ないみたいだし、午後ももう少し狩りをしておこうか。予定では明日まで狩りを行う予定だから余裕はあるけどね」
ブラッドウルフの期限まであと3週間程度だろうか、期間としてはギリギリだがまだ余裕はある。少なくともあと1つはフィーアのスキルを増やせるし、レベルも上げられるはずだ。
「10日後にもう一つだけスキルを増やせるけど、それまでに何にしたいか決めてくれ。」
「わかりました。もう一つあたらいしスキルをいただけるのですね。ご主人様は本当にいったい…」
「俺が何かっていうのはそのうちね」
ブラッドウルフの件が片付いたら教えてもいいかもしれないな。
「それよりブラッドウルフの件だけど、20日後にフィーアがいた村の近くまで行く予定だ」
「20日後…。わかりました。それまでにわたしもっと強くなります!」
フィーアにブラッドウルフの予定を伝えるとやる気が出たようだ。
やる気が出たところで午後の狩りを行った。午後の成果はオーク2体だ。時間も少ないし仕方無い。
「それじゃあ今日はこれで終わりだね。フィーアは魔力量上げかな?」
「そうですね。昨日作った料理があるので今日は料理する必要ありませんし、このまま水魔術使ってきます」
昨日は結構多めに料理を作っていたから今日は作る必要無いみたいだ。
「わかった。でも少しでも疲れたら今日はやめること」
「わかりました!終わったら拠点に戻りますね」
水魔術レベル1ならあまり魔力消費はないからいきなり倒れることはないだろう。そもそも魔槍術の消費量が多すぎるのだ。魔槍術1回でウォーターボールなら20発は打てる魔力を消耗するのだから。
武術系スキルであり、後から習得可能なのが要因だろうか。
その後、1時間程でフィーアは帰ってきた。休憩しながら使っていたため時間がかかってしまったらしい。
「そういえばフィーアのウォーターボールは俺が使うやつより小さいけど大きくできないの?」
夕食を食べながらフィーアの魔法に対する質問をした。
「魔術系スキルはレベルによって新しい魔法を覚えますけど、威力は変わらないはずです。ですので、わたしのウォーターボールはあのサイズ以外打てませんよ」
成程、俺は個人魔法で好きに火力調整ができるけど普通の魔術スキルでは威力がある程度固定になるのか。
「そうだったのか。それは知らなかったよ」
「ご主人様の魔法は凄いですからね。魔法だけじゃなくて色々なスキルをお持ちですし」
最近、フィーアからの眼差しが眩しい。美少女から見つめられて嬉しいんだけどね。じっと見つめられるのは恥ずかしいわけで…。
「俺のスキルについてはそのうちね。それより、明日は午前中に残りのオークを狩ってしまおうと思う。」
残り2体のオークなら苦労せず倒せるだろう。
「午前後はフィーアの水魔術の練習と休憩かな」
「休憩ですか?わたし、まだ大丈夫ですけど…」
「休めるうちに休むのも大切だよ。自分が気が付かないうちに疲労が溜まって大切な時にベストなコンディションで動けなくなる可能性もあるからね」
体調管理大切。いや本当に。
「わかりました。それでは明日の午後は魔術を使い終えたら休憩しますね」
簡単に明日の予定を決めると床についた。
異世界生活20日目は昨日決めたとおり、午前中にオークの討伐を終えた。
「それでは水魔術つかってきます」
昼食を食べるとフィーアは魔力を増やすために水魔術を使いに行った。
「さて、今後の為にスキルを作っておくか」
今俺が持っているスキルは…
ユニーク:特技生成Lv--、案内者Lv--、個人魔法Lv--、消費削減Lv3、特技再使用Lv-、特技転送
コモン :魔術構築Lv-、鑑定Lv8、収納Lv1
こんな感じだ。
自分のスキルを見直すと攻撃用スキルが個人魔法しかない。後は全て補助スキルだ。
しかし、個人魔法は使い勝手がかなり良いからな。魔法さえ使える環境なら攻撃バリエーションは無限大だろう。問題は現状相対はしていないが、スライムの反対で魔法攻撃を無効化する敵だ。そういう敵の対策が優先だろう。その後に消費削減のレベルを増やしたり別のスキルを覚えようかな。
よし、先ずは魔法攻撃無効化対策だな。ナイなにかある?
《この世界の概念では存在しないスキルになりますが、デメリットを付与することで取得可能です》
やっぱりデメリットはあるのか。因みにどんなデメリット?
《消費魔力を2倍にするだけで大丈夫です》
消費魔力が倍になるだけなら問題はない。どうせ消費削減で消費魔力減るんだし、魔法向こうの敵がそんなに大量にでるわけじゃないだろうから。
というわけで、早速作りましょうか。
『特技生成』
《スキルの作成を確認しました。スキル『物理魔法』が登録されました。》
物理魔法ね。その名の通り攻撃した魔法の判定が魔法から物理に変わる魔法のようだ。
それじゃあ続いて…。
『特技再使用』
からの。
『特技生成』
《スキルの作成を確認しました。スキル『育成魔法』が登録されました。》
育成魔法、昨日フィーアに伝えていたスキルレベルを上げる魔法だ。これでフィーアの望んでいた槍術のレベルをあげることが出来る。
「只今戻りました」
スキルが完成して直ぐにフィーアが戻ってきた。
「スキルのレベルを上げてくださるとのことでしたので、少し早めにもどってきちゃいました」
まだ余裕はあったのだろうか、スキルのレベルを上げてもらえるのが楽しみで早めに戻ってきたらしい。可愛いやつめ。
「丁度良かった。早速スキルレベルを上げるね」
「はい、お願いします!」
フィーアがお辞儀をしてお礼をしてきた。俺が嘘なんてつかないと信じ切っている。まあ嘘じゃないんですけどね。
「それじゃあいくよ『育成魔法』」
育成魔法を発動すると拠点の中が光で包まれた。
その光が収まってからフィーアのスキルを確認すると槍術スキルのレベルは6になっていた。
「フィーア終わったよ。成功して槍術スキルのレベルが6になっている」
「えっと、わたしからはわからないですけど、ご主人様が言うのであれば信じます!」
スキルを自分で確認できないのだから仕方ないな。それでも俺を信じて自分のスキルが上がったと確信しているのだろう。
「これでわたしももっと戦えます!あと3週間もないですけどもっと頑張ってご主人様と一緒に戦いますから!」
「ああ、一緒に戦おうな」
ブラッドウルフ戦まで残り19日。
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高木 京 (タカギ ケイ)
種属:人間(転生者)
冒険者ランク:B
パーティーランク:D
装備:火鼠のローブ
所有スキル
ユニーク:特技生成Lv--、案内者Lv--、個人魔法Lv--、消費削減Lv3、特技再使用Lv-、特技転送Lv-、物理魔法Lv-、育成魔法Lv-
コモン :魔術構築Lv-、鑑定Lv8、収納Lv1
フィーア
種属:人間(奴隷)
パーティーランク:D
装備:ミスリルの槍、ウォータードラゴンの鎧
所有スキル
コモン:槍術Lv6、魔槍術Lv1、料理Lv1、水魔術Lv1
鑑定不能:???
西の森とかいうサブタイにしておきながら森ほとんど関係なやつ(おい)。
そしてスキル見直していたら魔術構築がステータスに入っていなかったorz
これが本日最後の投稿になります。
それでは皆さんメリークリスマス!
投稿してから物理魔法がステータスに入ってないことに気が付きましたごめんなさい。




