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西の森1

本日2話目です。

ご注意ください。

 異世界生活18日目、西の森に入っていた。


「それじゃあオーク討伐を始めようか。合計でオーク10体が目的だけど、多く倒してもいいしそれ以外の魔物を倒しても問題はないからね」


 森の中に入ると人の手は殆ど加えられていないためか、少し暗くなった。


《前方よりスモールバット5匹来ます。ご注意ください》


 10分ほど歩いたところで第一魔物発見だ。


「フィーア、前方からスモールバットが来る。戦闘態勢に入ってくれ。いつも通り俺が数を減らすから残りを頼むよ」

「はい!」


 フィーアが槍を構えて直ぐに正面から蝙蝠の群れがやってきた。


『エアカッター』


 風の刃を発生させて蝙蝠を真っ二つに切り裂く。スモールバットは風属性だが森の中なので火属性魔法は使えない。その為、使い慣れた風の刃で攻撃した。今回残した敵の数は1匹。


「フィーア、後は任せたよ」

「わかりました!」


 そう言ってフィーアは前に出た。

 仲間を倒された蝙蝠だが逃げるようなことはなく、そのままフィーアへと突っ込んでいく。

 一直線にフィーアへ向かっていく蝙蝠だが、単純な直線軌道の突進攻撃などフィーアの前では無謀とも言える攻撃だったのだろう。槍を蝙蝠の正面に突き出しそのまま蝙蝠の体を貫通した。

 体を突かれた蝙蝠はそのまま魔素へと戻っていった。


「おつかれ。これくらいの敵じゃ1人で大丈夫だったかな?」

「はい。スモールバットは3、4体までなら1人で行けそうです」

「次にスモールバットが出てきたら4体まで残してみようか」


 スモールバットを倒してから少し進むと目的の魔物がそこにいた。

 豚の顔を持った体長3メートルほどの魔物だ。


「あれがオークか。フィーア、戦ってみる?」

「一応戦ってみてもいいですか?」

「危なかったら助けるし、交代もするけど無理だけはしないでくれ」


 無理なら無理で仕方無い。無理って言わなきゃできるとか言ってた奴いたなあ…。無理だから!


「わかりました。出来るところまでやってみます」


 そう言うとフィーアは前に出た。オークは反対側を向いているため背後からの攻撃になる。

 フィーアはオークに見つからないように進み、そのまま槍をオークの頭部に突き刺した。


「ぶぎゃあああああ」


 頭部に槍を受けたが貫通することはなく、オークにダメージを与えるだけに留まった。どうやらフィーアの身長からだと狙った位置が高すぎて威力が落ちてしまったみたいだ。

 フィーアを認識したオークは「ブーブー」鳴いている。完全に豚のそれである。

 見たところオークは獲物を持っていないが、体が大きいためその分腕の長さがある。フィーアの攻撃範囲よりは短いが攻撃の仕方によっては十分脅威となる。


「はあ!」


 フィーアが声を出してオークの右足に突きを出す。オークも足への攻撃を察知し、回避をしようとしたがフィーアの槍のほうが早かった。


「ぴぎゃあああ」


 今度はしっかり威力が乗った攻撃がオークの右足に刺さった。ていうか「ぴぎゃあああ」って…。


「っ!」


 気がつくと攻撃をしたフィーアの表情が焦りに変わっていた。


「ぶうううひいいいいいいいいい」


 オークは一瞬の焦りを見逃さず腕を振ってフィーアに攻撃を繰り出した。

 フィーアは槍を手から離してその場から飛び退く。その直後、オークの腕がフィーアがいた場所を通っていた。


「ご主人様、申し訳ありません。槍がオークに刺さってしまって動かないのでこれ以上戦闘は難しいです」


 成程、オークに刺さった槍が思ったより刺さってしまったらしく、穂の部分を通り過ぎて口金の部分まで刺さったようだ。刺されたオークは筋肉で槍を止めてフィーアの武器を無力化したということか。


「わかった。『ウインドカッター』」


 オークは土属性だ。慣れ親しんだ風の刃なら一撃で倒せるだろう。そう思っていた時期が俺にもありました。


「ぶおおおおおおおおお」


 オークの首を狙った風の刃はオークが咄嗟に腕でガードしたために腕を切断したところで止まってしまった。

 

「ゴブリンを倒す程度の魔力じゃオークは倒れないか」


《オークはゴブリンよりランクが上のため各ステータスもゴブリンより高いです》


 成程、ゴブリンはEランクだけどオークはDランクだもんね。それなら確かに一撃で倒せなくても不思議じゃないな。

 それでももう自身を守るための腕は存在しない。もう一発打ち込めば倒せるだろう


『ウインドカッター』


 予想通り、オークは今度の風の刃を防ぐことができずに首が飛んでいった。次から威力上げておこうかな。どうせ2発打つなら2発分の魔力込めた方が効率的だ。

 フィーアはオークが魔素に戻った後に残った槍を回収してから戻ってきた。


「ご主人様、ありがとうございました。」

「武器を取られちゃったら仕方ないよ。あそこで無理して戦闘していたら危なかったね」


 あそこで槍にこだわって手を離さなければ大ダメージを受けていた可能性があったのだ。


「槍術レベルが5だったから少し油断してしまったのかもしれません。わたし、もっと強くなりたいです!」


 槍術レベル5がどれ位凄いのかよくわからないけど、フィーアがやる気になったのはいいことだ。


《武術系スキルであればレベル5は城の騎士と同じくらいです。十分に練度を積んでいると言えます。冒険者で言えばBランク相当です》


 騎士レベルなのか。騎士がどれ位強いのか知らないけど、城の騎士であれば練度は相当だと考えていいだろう。

 それでもフィーアには圧倒的に経験値が足りない。それに小さい少女であるが故、男が扱う槍とはまた別のものと考えるべきだろう。


「巨大な敵の場合は突き刺すより切り裂いた方がいいかもしれないね。突き刺して抜けなくなったらさっきみたいなことになるかもしれないし」

「そうですね。大きな敵を突き刺すのは慣れるまであまりしないようにします」


 先程の戦闘の反省を簡単に終えて次の獲物を探し出した。



 今日の狩りの結果は、オーク3、スモールバット20だった。思った以上にオークが少ない。



「それじゃあ、最後に魔槍術の確認をしようか。実戦で使うのは危ないから、森の入口で木に向かって使ってみよう」

「はい!」


 森の入口まで来ると、手頃な木に向かってフィーアに魔槍術を何度か打ってもらった。

 結論からいうと、戦闘に影響が出ない範囲で使用できたのは2回だけだ。3回目を発動したところでフィーアが倒れてしまったのだ。


「ん、にゃあ。ごしゅじんしゃま?」


 気絶していたフィーアが気がついたようだ。


「魔力切れで倒れちゃったみたいだね。体は大丈夫?」

「はひ、だいじょうぶれす」


 あまり大丈夫そうじゃないけど…。


「普通に使えそうなのは2回だね。3回目は倒れるから使っちゃ駄目だ」

「2回ですか…。それじゃああまり役に立たないですね」


 魔槍術が2回だけ使えた所でたいして役には立たないだろう。恐らく今のフィーアの魔槍術で2回攻撃してもスライムは倒せない。その程度なのである。

 しかし、今の俺には昼の間に取得していたスキルがあるおかげでフィーアを強化することが出来る。


「フィーア、俺は君をもっと強くすることが出来る。その代わり、君は普通の人と違ってしまうかもしれない」

「ご主人様…。わたし、もっと強くなりたいです!お願いします。わたしを強くして下さい。」


 フィーアは殆ど時間を置かずに俺の提案を受け入れた。


「そっか。それじゃあフィーアに魔術系スキルを覚えてもらうんだけど、属性は何がいい?」

「魔術系スキルですか?でも魔術系スキルは生まれたときにしか覚えられないのでは…」


 魔術系スキルは才能であり、生まれた時にしか手に入らないスキルだ。普通の認識ではそうだろう。


「俺はフィーアに魔術系スキルを与えることが出来るんだ。もう一度聞くよ、属性はないがいい?」

「本当ですか?えっと…それじゃあ水属性でお願いします」


 フィーアは完全に疑っている状態だ。それはそうだろう。この世界で魔術系スキルを後天的に取得する人は殆どいないのだから。


「水属性だね分かった。ただ、特技を渡せるのは明日の昼過ぎになるからそれまで待ってね」


 今日は特技を再度使用するスキルを作成後に譲渡スキルを作成してある。明日の昼になれば水魔術スキルを作ってフィーアに渡すことが出来る。


「明日の昼過ぎですね。わかりました」


 フィーアは特に期待してもいない返事を返してきている。完全に信じていないようだ。

 明日絶対驚かせてやる!



**********


 高木 京 (タカギ ケイ)

 種属:人間(転生者)

 冒険者ランク:B

 パーティーランク:D

 装備:火鼠のローブ

 所有スキル

 ユニーク:特技生成(スキルクリエイト)Lv--、案内者(ガイド)Lv--、個人魔法(オリジナルスペル)Lv--、消費削減(コストカット)Lv3、特技再使用(スキルリユース)Lv-、特技転送(スキルトランスファー)

 コモン :鑑定Lv8、収納Lv1


 フィーア

 種属:人間(奴隷)

 パーティーランク:D

 装備:ミスリルの槍、ウォータードラゴンの鎧

 所有スキル

 コモン:槍術Lv5、魔槍術Lv1、料理Lv1

 鑑定不能:???


1万PV達成しました。

多くの方に観て頂けて嬉しいです。

また、ブクマ100件も達成しました!

本当にありがとうございます。


次は日間ランキングですかね…ハードルが高い!

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