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詩*見つめて*

作者: a i o

ただ、どこか一点

天井の隅

壁紙の傷

そんなものに心をやって

途方に暮れた思いを

仕舞い込んだこともありました


塞き止めてもこぼれてしまう

夕日に照らされ

何かを諦めたこともありました


それでも不意に湧き上がる

会いたい、という言葉は軽い

あまりにも

一人で放てば軽すぎるのです


だから

それは天井の隅から

壁紙の傷の隙間から

逃げ出して行きました


くたくたになって帰る

母親の頬を撫で

ふるさとを離れた

若い娘の寝息を掠めながら


焦燥に急き立てられても

ふわふわと

鈍くされどしぶとく

ゆらゆらと


会いに

(会いに)

誰かに

(あなたに)

どこかに

(あの場所に)



ぐるりとまわった陽が

また落ちたとき

かすかに

懐かしい遠い街の

潮の匂いがしました


会いたい、という言葉は軽い

一人で放てば軽すぎるのです

あまりにも

だから、

どこまでもーー



わたしは

会いたい、と小さく呟き

わたしの住む古い町の

静かな夕時の佇まいを乗せるのです






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