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一人部屋になり気楽に生活しているが寮母さんの1か月数回のカウンセリングは継続中である。
高校生活にも慣れてきたので週末をダンジョンで生活費を稼ぐことにした。魔道具だ魔石がある世の中なのでダンジョンはある。ただし小さいものは地域住民や資格保有者限定なので大きいところに行かねばならない。ちょうど良いことに近くに大きいダンジョンが有るのでそこに潜ることにした
まあ、魔道具学科があるから近場にダンジョンがないと素材を確保するのが大変なので、大体近場に大きめのダンジョンが有るのは常識なのだが
素材は学校で売っても良いし現地で売ってもいいが値段が微妙に違う。学校で売れば売り上げの何割か学生ローン返済に当てられると入学式の時に説明を受けた。魔石は学校に売っているがダンジョンの方は現地にしようかなとは思っている。学校の敷地内でもダンジョン直営の場外買い取りをしてくれているので混んでいたらそこで買い取ってもらえば良いしなーと考えながら寮母さんに外泊許可を貰いにいく
かなり渋々であるが土曜日の早朝から日曜日の夕方までの外泊許可を出してくれた。実家にいる時は度々地元の小さなダンジョンで小遣い稼ぎをしていたので大丈夫なんだが、細身だから心配なんだろうか?
早朝荷物を持ち軽い武装をしていく。歩いて1時間くらいの位置に有るのでの、んびり歩きながらダンジョンに向かう。早朝でも開いているダンジョン事務所で素材屋として登録する。以前、実家の方で登録していたのでスムーズに登録できた。軽く体慣らしのために浅い場所だけにすると決めて潜る
浅い場所では犬系とかコウモリとかをターゲットにする。犬系もコウモリも群で襲ってくるのでソロでやるのは危ないとされているが、慣れているので程よい緊張をしながらダンジョンを歩く。森みたいな感じなので薬草も採るかと叢に近づいて見ると草影から一角ウサギが向かってきたので体を少しずらして避けながら腰に吊るしていたナイフで首を切り裂く。ほぼ条件反射なので無意識であるが首から血を出して事切れたウサギが有った。血抜きのために木に逆さにして吊っておくこれを目印にしながら薬草を採集する。ダンジョンだから魔力が沢山有るから質の良い薬草が取れた。薬草と言っても魔道具を作るために使ったり魔法を使うために使ったりするために高く売れる種類もある
目印にしたウサギはヒルに血を吸われていたのでちょうど良い感じになっているので、美味しく頂けそうだ。薬草とウサギを別袋に入れて道を進んでいくとコウモリが大群で襲撃してきたので持っていた雷撃の呪符を発動し私の周りだけ雷が迸る。大群が過ぎていったら10匹ほど事切れて落ちていたのでこれも拾って別袋に入れて再び歩いていく
時計を見るとお昼の時間になっていたので、隅に引っ込みご飯休憩にする。火の魔石を使い乾燥肉と野菜を入れてスープを作る。腐食を防止する入れ物に入れていたので無事だが魔力が多い場所に置いていると腐食の進みが早い
そのため乾燥肉やパンを持ち歩いているが多いがそれだと美味しくないので私は煮炊きするのだが、少数派ではある。もう少ししたら出ようと決めて歩を進めいると見覚えがある一団が見えたので即刻帰ることにした。荷物もある程度あるし今日は協会の隅を借りて寝泊まりするつもりだし面倒後とは避けたいとさっさと地上に戻り人が少ない買い取り場所でお願いする。ウサギは角と毛皮は売るが肉は食べるため戻してもらうようにする。解体代は代金から天引きしてもらう事にした
買い取り価格をちょろまかしている場合もあるが、ある程度なら問題ないが許容範囲を越える場合は出るとこに出ようかと考えながらのんびり趣味となりつつある魔道具の本を読んでいると解体・査定が終わったようだ
薬草やコウモリが合計で5万、ウサギの毛皮と角で1万。合計で6万の買い取り査定だった。まあ、許容範囲ないだから問題無いのでサインをしてお金を受け取り事務所ないの銀行支店に入れておく。手元にあれば間違って使ってしまうかもしれないし掏られる危険性もある。
近場の銭湯で汗を流し神殿に顔を出す。旅人や金欠病でダンジョンに挑戦する人のために解放しているスペースの片隅に陣取り持ってきた教科書を開き勉強を始める。精製の方は大体大丈夫だが一般の方は気を緩めるとヤバい?みたいな感じである。一週間学んだことを時をり聞こえる聖歌を何となく聞きながら復習していると
「こんなところでも勉強してるのか」呆れた声が降ってきた。顔を上げると同じ学科の人だった。学園にいる人で金欠病になると大体ダンジョンでお金を稼いでいることが多いので別段驚くことではないのだが、昼間でしかも教会の隅っこにいる私に話しかけてくる人がいるとは思ってもいなかった。
「反復勉強は大切ですよ」そういう私の横に座って何やらしているが、友達というほど仲が良いわけではないため放置して勉強を継続する
「俺もさ。どうしてもできないところがあって勉強しにここに来たんだ」そういっている彼の周りには魔石を精製するために必要不可欠な調整用の結界を引く準備である。入学当初にならうもので苦手な人のために学校では補助するための部ピンも用意されている。よくそこで見かけていたので苦手なんだなとは思っていたのだが
「聖なる空間だとやりやすいって聞いて。神父さんには結界を張る練習のために場所を貸してほしいと申請したらここでなら大丈夫だと許可を貰った。よくよく見ていたらここに荷物を置いている人たちは荷物の近くに結界を張っているし。ある程度のものならここでは大丈夫なんだな。で、ずうずうしいお願いなんだが結界の張り方を教えてほしい」そういってきた。真剣な顔をしているので嫌な感じはしない。コツさえつかめば簡単なものだから特に練習に付き合う程度なら問題ないし
「手順は教科書の通りできる所まで自分でやってみて。つまずいたら教えて」そういって勉強に戻る。隣では教科書通りのきれいな結界が出来上がっている。発動のスペルも間違っていないみたいだし・・・
「ここまではできるんだけどこの先が出来ないんだよ」そういっているので用意している結界を固定する楔という呪具を取り出しているが各属性の楔を出しているが見える
「なんでそんなに楔持っているの?自分の属性と同じ奴じゃないと結界は作れないのだけど」教科書にも載っているし入学の時に自分の属性を調べてもらっているのだからわかっている筈なんだけど・・・
私にそういわれて驚いたような顔をしているのを見ている
「え?初回の授業でそう教わったでしょ?」そう聞くと苦虫を潰したような顔をしている。そういえば初回の授業は出席率がかなり低かったような気がする。みんな2回目・3回目の授業からでは占めているから基本中の基礎が出来ていないがちらほらいたりするのはそのせいかと納得する
「入学式の時に教わった自分の属性はわかるでしょ?それを楔にするんだよ」そういって自分の属性と同じ楔を置いて結界を発動させる。初めて自分で発動させた結界に感動しているような表情をしている
「良かったね。結界を維持する練習と発動の練習すれば?ここなら結界を張りやすいし練習ならちょうどいいのでは」そう提案すると頷いて維持の練習と発動を繰り返している。張りなれると準備が少なくて済むから楽ちんである
隣で壊れたら張って。と繰り返しているのを気にせず勉強を続ける。日が沈み初めて勉強が出来なくなってきたら夕食にすることに。煮炊きも許可されているので昼に買ったパンと昼に作ったのと同じ野菜スープを作って食べる私の隣では自分で用意した食料を食べている同級生。明日も同じように結界を練習する話をしている
明日も朝早くからダンジョンに潜ることにしていることを話すと興味を引かれているみたいだが、少し考えてから興味を断ち切ったようだ。慣れない人を連れて行くのは疲れるし人と一緒に行動をするのは苦手なので断念してくれたのはうれしい。
「結界を張る練習のついでに調節の練習をすればいいと思うよ。維持の練習をするのにぼーっとしているのもどうかと思うし。教会で調節した魔石は寄付すれば文句言われないから小さいのを精製して練習すればいいんじゃないんでは?」そうアドバイスれば頷いている。そんな夕飯をしているとざわめきがある。ざわめきの発生源を見てみると昼間に見た面倒な人たちが入口で騒いでる。どうせ宿に泊まることが出来る程度の稼ぎがなかったのだろう。そのために無料の教会に来たのだろうが教会では、夫婦・家族・兄妹以外の異性パーティーを泊まらせないのは常識だろう。私と同級生も夕飯後は教会が決めている宿泊スペースに移動する事になっている。
「常識知らづが」そう言い捨てている同級生。その呟きは周りの人間が思っていることを雄弁に語っているようで眉をひそめている人たちが多い。
広場スペースでご飯を食べている男女混合チームを指差して未だにきゃんきゃん言っているが。そういうチームは夕飯後は別の宿泊スペースに泊まることに手はずになっている。そのことを教会の人に説明されている。そもそもここに泊まるのは昼間のうちに申請しないと泊まれない事も常識と言えば常識である。しかも学校でもそのことを教えてダンジョンに送り出すのはずなのにそんなことも知らないということは指導を聞いていないのだろう。
「この一件で学校の信用が落ちたらどうすんだろうな」私の呟きを聞いて
「それは困るなー」と呟いている同級生