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他の人達より抜きん出たものがない私が唯一上手に出来るのが魔石を精製すること。生成陣は確立されていて魔力が有るところに置いとけば勝手にできるという優れものがある。置いておけば1ヶ月で直径1センチ位になる。
生活で魔石を動力にする魔道具が主流であり大体直径1センチ程で千円位で売買される。ただし、精製したものは倍額で取引されるため精製技術を学ぶために専門学科が確立されている
中学生のときから独学で魔石を精製する方法を会得していた。情報は図書館でインターネットを使ったり専門書を読んだりして得たがやはりきちんと指導してもらいたいと思い
そちらの方に力をいれている高校に進学を決めたが、如何せん貧乏な我が家ではもろもろの費用が払えないと親に言われた。行きたいが金がない。借りたりすることが出来るだろうか?と悩んでいたら
ちょうど良いことに志望校では卒業してから1年後に払い始める学生ローンがあった
条件として基本教科がテストで最低学年の半分位の位置をキープすること
寮生・魔石精製学科又は魔道具学科を希望することとなっていた。家から学校に通うのは物理的に無理なので入学できたら寮生になるのは決定済みだし希望学科が魔石精製学科だったので学生ローンを受けられる事になった
両親にお金は借りれたし、日常生活の必要経費は自分で稼ぐと約束しての高校進学
基本教科は苦手だが反復勉強と基本的な所を復習すれば何とか学力をキープ出来るだろう。将来のために高校3年間は余り遊ぶことは出来ないが…
近場に小さなダンジョンがあるらしいので、気分転換とか金策しに行けるからなんとかなるだろうと思い入学して2ヶ月がたった。
勉強は解らないところは先生にしつこく質問しにいき休み時間も予習・復習に費やした。
友人など皆無だが人見知りで一人でも気にならない性格のため苦にはならずに生活出来ている。
魔石精製学科での授業はインターネットでの情報や専門書で学んだ事でよく解らない所を詳しく分かりやすく教えてくれるため魔石精製にムラがなくなって良質な魔石を精製出来るようになってきた。
寮でも自分のスペースでは最大10個の魔石を生成陣を置けるので、ポピュラーな太陽と月の魔石を生成したり部屋に入ってくる風・自分で使う水・料理で使う火の魔石をチマチマ生成している。気分転換で朝晩散歩しているのでその際に大地と木の魔石を生成している
1ヶ月かけて作った各種魔石をゆっくり調節しながら融合させて精製させた魔石を作る。なぜか出来た魔石は太極図が浮かび上がる
普通に太陽・月だけなら何にも浮かばないし他の属性の魔石を融合しても何も浮かばないのだが
ちなみに余り力が強すぎるため融合時に制御できなくなることもしばしば有るため半月毎に出来た魔石を回収して落ち着かせて精製しているので出来るのは2個づつである
普通のを売りに出したり提出物として出して残った太極図が浮かび上がったのを虎の子として取っておいている
その日いつも通りに寮に帰って勉強しようと思ったが嫌な感じがしたので寮母さんと軽く話をした。寮内でも孤立している私を心配して月に数回面談をしてくれているのだ。
性格的な物と勉学に忙しいと言うのは理解してくれているらしいがやはり心配らしい。そのまま寮母室で勉強しているとドカンと大きな音と共にけたたましい警戒音が響き渡る
何事か!と寮母さんについていくと私の部屋の前で暴れる同室者
寮の間取りとして風呂トイレ台所は共有。部屋は個室となっている二人部屋だ。同室者は共有スペースで私の部屋のドアを焼き払おうとしたらしく壁やドアが無惨な姿になっているが崩れ落ちることはない不思議な状態
先生が同室者を拘束したのを確認してからドアに防犯用に四方につけていた自前の呪符を剥がすとドアが無惨に崩れ落ちる。呪符に自分の魔力を流しながら慰労の念を送りつつ入れ物にしまう。入れ物は呪符ががってに発動しないようにする様になっている市販品である
簡単な呪符や陣なら自前で作れるのだが、複雑な物は無理だ。そもそも買った方が安い上がりだからそうしている
何か後ろで驚いているみたいだが気にしないで室内を確認。ざっと見ただけでは盗まれたものもないので問題ないと寮母さんに伝えた
「ドアをどうにかしてもらえれば嬉しいのですが」寮母さんに相談すると
「修復不可能みたいだから違う部屋に移動してもらった方が良いわね」と言われた。ドアも壁も黒こげでいつ崩れてもおかしくない感じだし防犯上安全とは言わないしドアがない部屋では安心して生活できないのはわかりきっている
しかしながら魔石を生成している場所を移動すれば質が代わり売買される価格が下がってしまうからな〜
でも背に腹は変えられないか。仕方がない移動することに同意する
「出来れば同じような部屋にしてください。あと、その人とは同室は無理ですので」お願いも同時にしておくと
「わかった。今一人部屋しか空いていないからそこに移動して貰うよ。来年度に部屋移動を希望する人や同室者の変更希望を取るときに一緒に移動になるから」と暫定的に狭い一人部屋になる事が決定した。
一人部屋は勉強机とベッドでぎゅうぎゅうであり更にそこに衣服を入れたら足の踏み場も無いような感じではある。どうしても一人部屋じゃないとという人向けの部屋でありシャワーとトイレ・台所が申し訳程度についている
荷物も少ない方なので台車を借りてさっさと移動することにした。一人で引っ越し出来るので荷物を台車にのせて何回か往復したら引っ越し終了である。
元同室者がなぜ私の部屋を攻撃したかは興味がないのでどうでも良いが風の噂で自分が欲しいものを私が持っていたのが気にくわないとか言う理由らしい
高校生にもなってそんな理由で人様に迷惑かけるなよとは思ってしまう