プロローグ
先に言っておきます。
蒼咲猫にVRMMOモノを書く才能はありません。
よって、あまり期待せずにお読みください。
<ーー長らくのご利用、ありがとうございました。『ユーティリティ・オンライン』、サービス終了まで、残り三分となりました。ユーザーの皆様は、お早めにログアウトをお願いします。ーー>
「ーー夢が終わる、か……」
アナウンスが響く中、小さく呟いたのは、燕尾服を着た、一人の男。
整った顔をした男は、頭上に蒼と金に輝く2つの月を見上げると、長い時を過ごした、自らの拠点に視線を向けた。
「……楽しかったさ、此処は」
今なお、男の脳裏に鮮やかに残るのは、この世界ーー『ユーティリティ』で過ごした記憶。
この拠点も、ギルドメンバー達と協力して得た『古代遺物』だった。
大半のギルメンは、所属する国の関係で、既にログアウトを終え、光る粒子となって消えていた。
一番長く残れるのが男だと知った時、彼ら全員が悔しがりながらも祝福したものだ。
<ーー残り一分となりました。ログアウトをしていないユーザー様は、お早めにログアウトをしてください。ーー>
「……あぁ、また何時かーー」
<ーー残り十秒となりました。ーー>
何かを言おうとした男の声は、アナウンスに遮られ、響くことはなかった。
『ユーティリティ』の景色を目に焼き付けた男は、静かに目を閉じた。
そしてそれ以降、目を開けることはなかったーー
<ーー『ユーティリティ・オンライン』、サービスを終了します。ありがとうございました。強制ログアウトを行いますーー>
そして男は、光の粒子になった。
«ーー適合者を確認»
«ーーユーザー名「神悧 凉架」、PNーー 『ラディアス・リューレ・シリカヴィルス』»
«適合完了ーーよい旅を。『ラディアス・リューレ・シリカヴィルス』»
ありがとうございました。
見切り発車&受験生のため、更新は超がつくほど不定期になります。
御了承ください。