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ふたり  作者: 龍のすけ
5/7

自由

1週間後


僕は叔父と食事をする機会があった


「でもヒ素の入手ルートが解明されないんだ」


叔父は言った


「確かにでも遺書は院長の筆跡だったんでしょ」


「それは間違いない

自殺も本人の首つりで決まりだ 事件性は全くない

後はつめるだけなんだが」


叔父はそういいかけると

「ところで介護施設の方はどうなったんだ」


「もうやめましたよ 閉鎖して身売りするみたいだし」


「そうか まあいい経験になっただろ 社会勉強の一巻だ」


「きつい事件でした」 溜息をつきながら僕は言った


「あの女性はどうするって?」


「良子サンですか 何か施設をたたんだ後留学をするみたいです アメリカに」


良子サンはサンフランシスコの語学学校に行くらしい


友人が住んでいるようだ


「そうか ようやく自由になれたんだな」


「自由って?」


「そりゃあんな若くて綺麗な女性が介護施設に縛られていたんだ

本当はもっとやりたいことがたくさん有っただろ」


そうですねえ と僕は言った

確かに良子サンならもっと華やかな業界にも行けただろう

こんな綺麗な人が地味に介護業界で働いている事に違和感は有ったのだ。


「この事件のお陰で彼女は自由になれたんだな」


自由か でも彼女と惑っていたなあ

突然訪れた自由に




「ね 叔父さん ちょっと調べてほしい事が いや念のためです」





数日後 僕は良子サンの自宅に訪れた

「突然訪れて申し訳有りません」


「いやいいわ 後少しで出発なのよ 書類も整ったし」


良子サンは髪を茶色に染め化粧も派手になっていた

地味な彼女のイメージが大きく変わったが元々こういう

タイプだったのかもしれない


「施設も譲渡したわ なんか肩の荷が下りて少し派手になったかな」


「いやすてきですよ」僕は言った


「海外行くの 初めてなの おまけに海外生活楽しみだわ」 


良子サンは本当に楽しそうだ


「あの良子サン 川野サンってご存知ですよね」僕がそういうと


良子サンの顔色が変わった。


「良子サンが海外に行くって言ったら 彼 全部話しましたよ」



「薬剤師だそうですねえ 彼 野良猫かなんかに使うって言って

届け出もせずに 何回か ヒ素を渡したらしいですね でも今回の件でさすがに怪しいと思って 恋人のあなたをかばって居たらしいけれど あなたが海外に行くと聞いてね」


「別に庇ってくれるとは思ってみなかったけどね」


「あの自首して下さい 間もなく警察も来ます その前に」


僕は良子サンにそう告げた 彼女はしばらく無言で立ち尽くしていた。

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