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止まない雨
雨が降ってきた。
俺が甘那の元へ向かうのを邪魔するかのように、雨粒がフロントガラスに突き刺さる。
次第に雨は強まり、滝のように降ってきた。車のワイパーを高速にしても、拭き取るのが追い付かない。
電話が鳴った。部下からだ。甘那の元へ先に向かわせた部下から電話が来た。
「…え?」
現場に到着した。
「甘那…?」
甘那が倒れている。胸から血を流して倒れている。少し離れた所に、前田彩香も背中にナイフが刺さり、倒れている。
雨はその血を洗い流すかのように降り続けている。
「笹井ナコトは学園裏の森へと逃げた模様!」
「なんでだよ…」
部下の報告を無視するかのように、俺はつぶやいた。
「なんで、こんなことになるんだよ………甘那が何をしたってんだよ…?」
「け、警部…」
「うおおおあああああああああああ!!」
笹井ナコトはその後、学園裏の森の中で足を滑らせて転落。死亡が確認された。
翌朝まで、雨は止まなかった。




