62/80
探偵
夏が終わり、だんだんと涼しくなってきた。またカメムシが発生し始めた。
嫌がらせがおさまり、まひる先生は下駄箱の見張りをしなくなっていたが、ある日の放課後、また私の下足にカメムシが入れられていた。それを、そのとき一緒にいた千里にも見られた。
「いったい誰の仕業なのよ…」
叫んでやりたい。クラスの連中全員の前で。でも、そうやって感情を高ぶらせてる私を、クラスの誰かは心の中でほくそ笑っている。そう思うと、できなかった。
「絶対、このことはまひる先生以外、誰にも言わないでね」
千里に念をおした。しかし結局、千里はその約束を守らなかった。
これは後から知ったことだが、千里のいとこは探偵らしく、その探偵に私のことを相談したそうだ。しかし、私に口止めをしたため、私の両親がその探偵に相談したことにし、捜査が始まった。そのとき私は、そんなことになっているとは知らなかった。
ある日、わたしは偶然千里の机の中を見てしまった。カメムシが大量に入っていた。




