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兄と妹
「あれから宍戸甘那さん、学園内でいろいろ聞きまわってるわ。さすが、あなたの妹ね」
俺は保健室に来た。桐谷まひるに話があったからだ。
「無理もないさ。同級生があんなことになっちゃな」
「まだ見つかってないんでしょ?笹井さん…」
「ああ。だから安心できない」
「それで、今日は何を聞きに来たの?」
「いや、聞きにきたんじゃないよ。話しに来たんだよ。この二週間、調べ尽くして明らかになったことをな」
「明らかになったこと…?」
そう。わかったんだ。調べていくうちに、次々と…。
妹は人一倍、正義感が強い。気になることがあればとことん調べるタイプ。別にそれは悪いことではない。おかげで俺は、真相に近づくことができた。そうなんだ。けっして悪いことではないんだ…。
しかし、触れてはならないものに触れてしまうのではないかと、そればかりを心配している。俺の目の届かないところで、触れてはならないものに触れてしまい、悪臭を嗅いでしまうのではないかと…。




