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ナコトちゃん

「沢口にとって、遠山はクラスで唯一の理解者だったようだな。だから遠山が死んで、辻に暴言を吐いてしまった。そしたら辻が死んだ。いま、沢口はかなり自分を責めているだろうな」


笹井は僕を連れて、このあいだのラーメン屋『くせんこ』に来ている。カウンター席で二人揃って煮干しラーメンをすすっていると、ラーメン屋の店長が笹井に話しかけた。


「ナコトちゃん、聞いたよ。また臨時で姉湖学園で先生やってるんだって?隣の彼は生徒かい?」


「ああ。ワタシの教え子だ」



この店長と笹井はどうやら知り合いらしい。しかし今、店長が言った『また臨時で』という言葉が気になった。


「あの、笹井さんは前にも先生やってたんですか?」


すると店長はニコリと僕の方を見ながら答えた。


「ああ。五年くらい前だったかな。当時あの学園で、クラスを受け持ってたひとりの先生が急死してね。代わりの先生が見つかるまでの間、ナコトちゃんが急遽担任をやったんだよ。もともとナコトちゃんは大学出てて、教員免許も持っていたんだ」


「じゃあなんで、そのまま先生にならずに探偵なんてやってるんです?」


「それはだな…」


僕はまずい質問をしたのだろうか。店長は僕の質問に答えるのを躊躇している。そして、笹井の方をチラッとみた。

さっきから僕の質問には店長が答えていて、笹井本人はひたすら麺をすすっている。


ブーン

ポチャンッ!



「あー!!」


笹井の食べてるラーメンに、またカメムシが入り込んだ。


「店長!カメムシはちゃんと駆除しとけってあれほど…!」


「してるよ!でも客と一緒に店に入ってきちゃうんだから仕方ないじゃないか。それに中には、カメムシがラーメンに入っても、苦味があって大人の味だって喜ぶ客もいるんだよ。カメムシのなかには食用カメムシもいるらしいぞ」


「聞きたくねーよそんなトリビア!」



笹井のラーメンにカメムシが落ちたせいで、店長から笹井についての話をあまり聞けなかった。笹井はなぜ、先生にならずに探偵をしていたのだろうか。





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