救急車とパトカー
笹井が僕の家に訪ねてきた翌朝、僕と真奈美は学園の校門で一緒になった。『寄生蜂』の事件以来、真奈美も早く登校するようになったようだ。校門を通ったとき、学園の裏の森へ救急車が一台走っていった音を聞いた。
「亀梨アンタ…誰にも言ってないでしょうね?あの朝のこと…警察にも」
「言ってないよ…」
「まさか、見つかったの?アイツの死体…」
校庭では、いつものように安室さんが枯葉を集めていた。こちらに気づくと、ニヤニヤしながら近づいてきた。
「おや?お二人さん、最近なんか仲いいね。付き合ってるのかい?」
「違うわよ!たまたま一緒になっただけよ」
「そうかい」
三人で話していると、今度はパトカーの音が聞こえた。真奈美も僕もその音がする方に顔をむけた。
「近くでなにかあったようだね。救急車にパトカー…まさか殺人事件か!?」
安室のその一言に、真奈美の顔色が変わった。まさか、本当に見つかったのだろうか。室井千里の兄の死体が…!
「どうした二人とも?顔色悪いぞ。まあ、そりゃあ近くで事件があったと思うとヒヤリとするもんだな」
知りたい。何故森の方に救急車とパトカーが向かったのか、ものすごく知りたい。真奈美は特にだろう。
「さ、君たちは校舎に行きなさい。ひょっとしたら、この辺を殺人犯か何かが彷徨いているかもしれないからね」
安室にそう言われ、僕と真奈美は校舎に入った。
「いい?亀梨…絶対内緒よ」
「わかってるよ」




