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クソジジイ

亜留絵を不愉快にさせた自分に苛立ちながら、新次郎は自分の家に帰ってきた。

家の玄関のドアを開けた瞬間、新次郎は鼻を指で摘まんだ。酒が腐ったような異臭が立ち込めているのに気づいたからだ。


「あのクソジジイ!また…」


新次郎は靴を脱ぐと、スリッパに履き替えて家の廊下を進んだ。そして真っ暗な居間に入り、電気のスイッチを押した。すると、父親がイビキをかいて寝転んでいた。ズボンの又の部分が濡れている。ニオイの元はそれだ。


「ふざけんなよてめえ…」


新次郎は、父親を蹴り起こした。


「ん~?ああ…」


蹴られた父親は痛がる様子もなく、ゆっくりと寝返りをうった。それが、新次郎を更に苛立たせた。


「起きろよてめえ!」


新次郎は再び蹴りをいれた。


「ああ~」


父親は目をあけ、新次郎を細目でジィっと睨んだ。


「何してんだって聞いてんだよ…いったいいくら飲んだらこんだけ酔うんだ?仕事もしねえでよ!クソジジイ」


父親は起き上がると、ふらふらしながら居間をでて、玄関から外に出た。


「しばらく帰ってくんな…」


父親がいなくなると、新次郎は父親が寝ていた所に臭い消しを吹き掛けた。そのあと部屋中に満遍なく吹き掛けた。


「こんなとこに…アイツ連れてこれねえよ…」


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